一度味わうと癖になりがち 「スポットライト症候群」
「スポットライト症候群」 とは、世の中や周囲の人たちから大きな注目や称賛を一度浴びてしまうと、その感覚が忘れられずに 「もう一度あの晴れがましさや恍惚感を味わいたい」 との欲求に駆られてしまう状態のことです。
芸能人や著名人などが、舞台上で スポットライト を一身に浴びた快感を忘れられず、いつまでもそのポジションに居座ろうとしがみついたり、いったんは 引退 しても目立ちたいがあまりに話題となるような奇行に走る、しばらくすると 引退を撤回して復帰する姿を指した言葉であり、一般的な言葉では 「過去の栄光にすがる」 といった ニュアンス になります。
人は一度絶頂や頂点を迎えると、その時の快感がいつまでも忘れられなくなるものです。 それは人からの注目を浴びると云った部分だけでなく、若々しさとか異性からモテるとか、社会的地位や経済的な豊かさなど、「今現在の自分が失ってしまったもの」 全てに当てはまるものです。 人はそれが何であれ 「失うこと」 に強いストレスを感じるものですし、実際に失ってしまうと喪失感を覚えるだけでなく、自らが落ちぶれた惨めな存在だと感じたり、誰からも必要とされていないのではないかとの不安だって覚えるようになるでしょう。
こうした感覚は誰でも多かれ少なかれ持っているものですし、輝かしい過去が自己肯定感につながり心や人生を豊かにしたり、さらなる高みへと昇る努力のモチベーションになるなど、別に必ずしも悪いことばかりでもありません。 しかしあまりに過去のスポットライトが強烈かつ甘美で、かつ現在の自分の状況が不本意だったり不遇だったりすると、未来ではなく過去ばかりを見て生きていくことになってしまうのでしょう。
ネットで一度バズると、もう止まらない
芸能人や著名人などではない一般人ならば、大勢に注目されてスポットライトを浴びる経験など人生でそう多くはないでしょう。 せいぜい学校の行事で舞台に立つとか、部活や習い事の発表会とか小さな表彰を受けてとか、あるいは結婚式程度であり、これらはしばしば人生の糧ともなる大切な思い出としてのみ機能することが多いでしょう。
おたく や 腐女子 なら、学校の 絵画 コンクールや作文コンテストなどで優秀賞などを取って近所のデパートや駅の壁にそれが飾られたり、雑誌への 投稿 で自分の 作品 が選ばれて掲載されたなんて思い出がある人もいるでしょう。 人によっては ローカル 新聞に自分の功績が紹介された経験を持っている場合もあるかもしれません。 人に話すこともない小さな自慢話は心の奥にしまってある大切な思い出であり、人生の苦しい時にふと蘇って自分を慰めてくれる宝物のようなものです。
しかし ネット が普及し SNS が広がると、ちょっとしたきっかけや 炎上 によって コメント などが バズ り、数百人、数千人、場合によっては数万人から注目を集めてしまうようなケースも増えています。 ほとんどの人はその状況にいったんは喜んだり舞い上がったりもするものの、やがては恐怖すら覚えてしまうものですが、日ごろ人から注目されることがなく 承認欲求 を拗らせていたような人は、これを機に 「自分が認められた」 ような気がして興奮したり陶酔感を覚えたりするものなのでしょう。
いわゆる 脳汁 が出るような状況は容易に麻痺しがちなので、徐々に 「注目を集めてスポットライトを浴びたい」「目立つためなら何でもする」 となって、後戻りできない失敗をしがちです。 適度なところで満足してその先を求めないのが、平穏な生活を送るポイントなのでしょう。 というか、目立ちすぎて良いことなど、それが職業でもない限りはほとんどありません。 若いうちは仕方がないとしても、いい年をした大人になってまでそれに気付かないと、結構辛いものがあります。
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