メイキング動画にしたり自作絵の証拠にしたり 「タイムラプス」
「タイムラプス」 とは、一定の間隔で撮影した静止画をつなぎ合わせるような撮影手法や、それで撮影された 動画 を指します。 タイム (時間/ time) とラプス (経過/ lapse) が組み合わさった言葉で、日本語では一般に 「微速度撮影」 とか 「低速度撮影」 と呼ばれています。 撮影においてカメラは原則固定するため、定点観測といった云い方 (意味は微妙に異なる) もあります。 対義語はハイスピード撮影 (高速度撮影)、似たような言葉に リアルタイム (そのままの時間) や タイムライン (時系列) もあります。
同じような見た目になる動画に、通常撮影した動画の早送りがあります。 しかしタイムラプス撮影の場合はおおむね1コマ1コマの画像が静止画として撮影されたものであるため、動画の早送りよりも鮮明で高画質にできるメリットがあります。 また撮影時の時間当たりのデータ容量も小さくて済みます。
タイムラプスといえば、時間的変化を観察するために、固定したカメラの撮影機能を使った学術的な動画が真っ先に浮かびます。 例えば植物の開花の様子とか、動物の脱皮、蝉や蝶の羽化、鳥の巣作り、あるいは河川やダムの水位の上下などです。 実際は遅すぎて人の目ではほとんど識別できないほどの動きでも、この方法で動画化すれば分かりやすくまたはっきりと識別・認知 できますし、何より数十時間を数秒に短縮できれば圧倒的な時短にもなります。 あるいは創作物なら、空の雲の動きとか太陽が朝日として昇って夕日として沈むまでといった数時間の変化を表示して、時間が経過した演出とすることもあります。
一方、カメラの機能などを使わず、単に撮影対象の時間ごとの写真を組み合わせてタイムラプス風に動画にするケースもあります (タイムライン的な使い方)。 例えば子供が赤ん坊として生まれ、幼稚園や保育園に進み、小学・中学・高校・大学と進学し、社会人になって仕事をして誰かと出会って恋愛し 結婚 して子供が生まれ…などを、似たような構図の写真を何枚も使ってパラパラ漫画のように表現するなどです。 ゆりかごから墓場までを1本の短い動画にまとめるわけですね。 この場合、全体の構図もさることながら、顔の角度や位置をなるべく固定すると、より 「らしい」 タイムラプス動画になるでしょう。 映像作りの腕に覚えのある友人らがいると、結婚式の披露宴などで似たような動画が披露されることもあります。
お絵描きにおけるタイムラプス
同人 においては、絵師 による 絵描き のタイムラプスがあります。 これには主に2つの意味や使い方があります。 まず一つ目は、自分が 絵 を描く様子を動画 (ドローイング動画) として撮影し、早送りするなどして 「絵が出来上がるまで」 のメイキング コンテンツ として動画を作るものです。
これらは 動画共有サイト などで公開され、「私はこんなツールや手順で絵を描いています」 との紹介としたり、人気絵師で多くの人から 「どんな風に描いているんですか?」 などの質問に対するアンサーとして提示したりします。 「描き方の参考にしてください」 と云う訳ですね。 この場合、直接絵描きに関係のないシーンは 編集 でカットしたり、重要な部分は通常速度で再生したりします。 とくに 髪 や服のシワの塗りや瞳の描き方などは完成した絵だけではどう描いたか分からない凝ったものも多く、こうした形での技術の公開と 共有 はありがたく、また意義のあるものでしょう。
もう一つは、パソコン用のグラフィックツール (例えばクリスタ (CLIP STUDIO PAINT) とか フォトショップ など) で絵を描く際に、ツールのタイムラプス機能や画面キャプチャアプリなどを用いて、作画 の様子を動画の形で履歴として記録し、「確実に自分が描いた作品です」 との証拠として残す使い方です。 近年では他人の絵や写真をトレスして描いたものではないかとか、他人の絵を 自作絵 と主張しているだけではないかとか、あるいは生成AI で作った絵ではないかなどの 「疑惑」 が生じると 炎上 し、例え濡れ衣でも著しく評価を下げる可能性が高まっています。 その際に 「これは確実に自分が描きました」 との根拠が示せないと既成事実かのように扱われ、多くの人から誹謗中傷を受ける可能性があります。
もちろんタイムラプスだって捏造しようと思えばできますが、疑惑を提示された時にすぐに反証として公開することができれば、自分の無実を証明する大きな証拠になるでしょう。 また企業が絵師に イラスト などを発注する際、トレスや生成AIではない根拠として、タイムラプスを保存するよう求めるケースもあります。 さすがにデータそのものの提出まで求められることはあまりありませんが、疑惑が出た段階で明確に否定できないと風評被害を招きかねませんし、納品された絵が本当に一から描いたものなのかどうかは、監視下での作画でもない限り究極的には 作者 しか知りようがないものでもあるので、リスク管理として レイヤー統合前データの納品 と共にタイムラプス保存を求めたり努力義務にする企業は増えている印象です。
本来は他人の絵の 自作発言 以外は、仮にそれが事実だったとしても法的には問題がない場合も多いのですが、マンガ にせよ ゲーム にせよトレスや生成AI への ネガティブ なイメージは根強いものがありますから、冤罪や濡れ衣を防ぐ自己防衛として、これは仕方がない部分もあります。
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
関連する同人用語・オタ用語・ネット用語をチェック
