晴海時代前夜、コミケを支えた 「横浜産貿ホール」
「横浜産業貿易ホール」(横浜産貿ホール) とは、横浜市中区山下町にある、産業と貿易の育成発展のための見本市会場、中規模の ホール施設 (産業会館) のことです。 1975年に神奈川県と横浜市によって整備された産業貿易センタービルの中の複合施設で、同人誌即売会 などの イベント会場 として使われています。
1〜2階に横浜産貿ホールが入る、産業貿易 センタービルの全景 (山下公園側から) |
展示場として利用される横浜産貿ホール |
センタービルの中の横浜産貿ホール入り口 |
交通アクセスに優れ、またすぐそばに観光地としても名高い山下公園を持ち、展示場と接続した専用の搬出入口を持つ展示スペースは面積 1,630平方メートルと大きく、非常に魅力的な 公共施設 となっています。 という訳で、週末を中心に、様々な イベント が開催されていますね。
また規模がまだ小さかった初期の コミケ が開催された会場のひとつとしても知られています (後述します)。
リニューアルされ、横浜産貿ホール “マリネリア” に
「横浜産貿ホール」 の所在地は 〒231-0023 横浜市中区山下町2 産業貿易センタービル 1〜2階。
交通アクセスはJR線と市営地下鉄線の 「関内駅」 から徒歩15分、みなとみらい線の 「日本大通り駅」 から徒歩15分、さらに市営バスで、「横浜駅」 の東口及び 「桜木町駅」 から 「神奈川自治会館」 停留所まで乗車してすぐとなります。 また有料の駐車場も持っています。
運営 は社団法人横浜市工業会連合会で、その後2008年になり、横浜産貿ホール “マリネリア” としてリニューアル。 おしゃれなイベントホールへと変わりました。 その使い勝手の良さなどから、中小規模の オンリーイベント などのほか、コスプレ 関連のイベントや催し (コスイベ や撮影会など) が頻繁に開催されています。
ちなみに 「マリネリア」(MARINERIA) とは、「海の」 という意味の 「MARINE」 と 「地域」 を表す 「AREA」 を組み合わせた造語です。 眼前に海が広がる施設にふさわしい名前と云えるでしょう。
コミックマーケットが開催された 「横浜産業貿易ホール」
この会場は、初期のコミケが開催された歴史があります。
コミケは東京都の大田区産業会館 (現在の 大田区産業プラザPIO) で開催された 「コミケット13」 の後、しばらく神奈川県での開催が続きました。 1980年5月11日の 「コミケット14」 から4回連続で神奈川県の 川崎市民プラザ にて開催され、その後 1981年8月15日〜16日に、この 「横浜産業貿易ホール」 で開催されています。
東側、隣接する県立県民ホールそばから見た 産業貿易センタービル |
晴海 東京国際見本市会場 や TRC/ 東京流通センター で開催される以前、いわゆる 「晴海時代」 の前、コミケ初期の時期には様々なイベント会場が使われていましたが、その末期に1度だけ使われた施設が、この 「横浜産業貿易ホール」 でした。
この 「コミケット18」 は、参加サークル数は初の 500を超える 512、入場者数も初の大台突破となる1万人の規模となり、後の 「晴海時代」 の急激な膨張期の前夜となる出来事でした。
2000年代ともなると、コミケの規模はあまりに大きくなりましたが、近隣の若い 同人 の関係者や コスプレイヤー などは、自分が生まれる前に、この会場であのコミケが開催されていたと知ると、ちょっとビックリすることもあるようです。
海や港、公園などを目当てとした観光で横浜を訪れると、外見が 地味 なこの施設は目に入りづらい 雰囲気 ですが、「あのコミケにもこんな時代があったのか」 と思うと、色々感じるものがあるかも知れません。