何もないところから新しいものを生み出す 「0→1」
「0→1」 とは、無から有を作ること、ビジネスの場で使われる意味では、単なるひらめきやアイデア、ビジョン、夢、やりたいこといったまだ形のないものから、具体的な製品化や事業化に向けた準備を行い動き出すことと理解されます。 「1→10」 や 「10→100」 といった 概念 と一緒に使われることが多く、使われるケースやそれぞれの定義づけにもよりますが、スタートアップ企業が事業を立ち上げ展開し成長するまでを3段階に分け、その最初の段階がこの 「0→1」 となる場合が多いでしょう。
それぞれの大まかな意味合いは、こんなところでしょうか。
「0→1」アイデアややりたいことを具体化し、事業化を目指す第一段階
「1→10」 具体化したアイデアややりたいことを形にする、型にはめて共有化する第二段階
「10→100」共有された型をベースに規模を拡大する、効率化する、最終段階
ゼロからイチへ 「Step! ZERO to ONE」
ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! 〜Step! ZERO to ONE!!〜 |
ちなみに一部の おたく な人の間で 「0→1」 と云えば、人気 アニメ 「ラブライブ!サンシャイン!!」 の作中エピソードと、それをイメージした楽曲 「Step! ZERO to ONE」 の存在でしょうか。
同作は大ヒットによりある種の社会現象も巻き起こした前作 「ラブライブ!」 のシリーズ続編として制作されました。 静岡県沼津・内浦の私立浦の星女学院を舞台に前作登場のスクールアイドル グループ 「μ's」(ミューズ) に憧れる 主人公 高海千歌が、μ's と同様に廃校の危機にある母校を救うべく仲間を集め、スクールアイドルの祭典 「ラブライブ!」 への出場・優勝を目指す物語です。
物語では千歌が学校の 幼馴染 や友人らに声をかけスクールアイドルグループ 「Aqours」(アクア) を立ち上げ、正式な学校の部として認めて貰うための校内ステージの実施や 動画サイト での PV 配信などにより徐々に注目を集め仲間も6人に。 その結果、初の校外ステージ、それも東京の有名なスクールアイドルイベント 「TOKYO SCHOOL IDOL WORLD」 から声をかけられ出場を果たします (第一期 第8話 「くやしくないの?」)。 しかしエントリーしたグループ30組のうち Aqours は最下位の30位、得票数は0票でした。
他グループの圧倒的なパフォーマンスや、何より評価してくれる人、応援してくれる人が0人だったという現実はリーダーである千歌や Aqours のメンバーを打ちのめしますが、その後いつかゼロをイチにしようとの決意を胸に、頑張ってスクールアイドル活動を続けることとなります。
この 「ゼロからイチへ」 は同作品の大きな テーマ の一つであり、「最初の一歩を踏み出す勇気」「一歩一歩前に進む努力」「試練を乗り越える」「夢は必ずかなう」 といったイメージやメッセージと リンク しつつ、作中で、あるいは声優さんらがステージに立つライブイベントで、繰り返し繰り返し何度も触れられることとなります。
1stライブ 「Aqours First LoveLive! 〜Step! ZERO to ONE!!〜」 も実施
なお2017年2月25〜26日には同曲をフィーチャーした 1stライブ 「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! 〜Step! ZERO to ONE!!〜」 も横浜アリーナで開催されています。 全体的な完成度の高さ、より作品世界と密接にリンクした演劇的要素の追加、さらに同作エピソードと作内楽曲を再現した 「想いよひとつになれ」 と桜内梨子さん役 逢田梨香子さんのピアノ演奏時のハプニング (2日目) などにより、ある種の伝説となっているライブです。
ライブ自体はラブライブ人気もあり注目されており、その結果も初めてのソロライブとは思えないほどの内容であり、初日は高い評価を得るものでした。 さらに2日目ハプニング時のメンバーそれぞれのとっさの行動、そこから垣間見えたメンバーの頑張りや支え合いなどにより、ともすると前作ラブライブや μ's と何かと比べられ二番煎じ的な冷ややかな目でも見られがちだった Aqours がファンの心を強くつかみ、ネット などでも話題となって飛躍する、文字通りの 「Step! ZERO to ONE!!」 になっていたと云って良いでしょう。
ちなみに 筆者 は2日目は友人と映画館のライブビューイングで見ていましたが、初日こともなげに成功させていたように見えた逢田さんがどれだけの緊張感でステージに立っていたのか、仲間から信頼されまた支え合っていたのかが映画館の大画面を通じてダイレクトに伝わってきて、届くはずがないのに声援してしまいましたし、再チャレンジ時の出だし後のグリッサンドでは涙腺崩壊してしまいました…。
その後も物語とリアルライブとがリンクした形で挿入楽曲 「MIRACLE_WAVE」 での千歌 (伊波杏樹さん) のバク転もありました。 「君のこころは輝いてるかい」 における渡辺曜 (斉藤朱夏さん)の馬跳びとともに、2年生には過酷な試練が与えられ、それらを全員が乗り越えたこととなります。 演出としてキャストにこうした試練をあえて与え、それに向かう姿を半ドキュメント的に見せる作品手法は個人的にはあまり好きではないのですが、立ち向かえるメンバーだからこその手法だと思いますし、キャストやスタッフの作品に懸ける一途な思いが良く伝わるものだったといって良いでしょう。
以降も逢田さんは犬小屋に入る、イラスト描きで画伯の貫録を見せる、生配信で馬の被り物をするなど乗り越えるべき壁、乗り越えなくていいじゃんその壁はを次々乗り越え、「声優界最高の美女」(週刊ヤングジャンプ巻頭グラビア時のキャッチコピー) として期待を裏切らない 「りきゃこ伝説」 を作り続けることとなります。
「お前らゼロか? ゼロの人間なのか?」 スクールウォーズの名シーン
ほとんど全く 「0→1」 とは直接的な関係がありませんが、テレビドラマ 「スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜」(1984年) 第8話 「愛すればこそ」 の 「お前らゼロか? ゼロの人間なのか?」 は、同作品屈指の名セリフ・名シーンとして有名なものでしょう。 またこれは、前述した 「ラブライブ!サンシャイン!!」 のエピソードをはじめ、青春ドラマにおける 挫折回 を経た新たなる出発の物語の一つの原点だとも云えるかもしれません。
校内暴力が吹き荒れる落ちこぼれ高校の川浜高のラグビー部。 校長にたってと乞われて赴任してきた元日本代表ラグビー選手で熱血教師の滝沢賢治 (山下真司さん) は、自身が監督初試合となる相模第一との試合で 「どうせ負けるに決まってるから」 と無気力なプレイによって 109-0 で大敗した上に平然としている部員に対し、応援してくれた周りの人たちの気持ちを裏切るものだと激しい叱責を行います。
「お前らゼロか? ゼロの人間なのか?」「何をやるのもいい加減にして、一生ゼロのまま終わるのか? それでいいのか?」「お前らそれでも男か! 悔しくないのか!」。 滝沢の涙ながらの訴えに無気力だった部員たちも奮い立ち、部員の一人森田が 「悔しいです! 今までは負けるのがあたり前だと思っていたけど、にやついてごまかしていたけど、今は悔しいです!」 と嗚咽しながら悔しさをにじませ、他の部員たちもそれに続き、どれほど困難な道でも勝てるよう頑張ると誓います。
同じころ、圧倒的勝利だった相模一高側でも、監督が部員に対し 「バカ者! 前半76点取りながら、後半なぜ42点しか取れんのだ!」「お前たちは後半、明らかに手を抜いた!」「たとえ勝ちが見えていても、手を抜くのは相手に対して無礼だ!」 と平手打ちをしながら叱責を行っています。 両校ラグビー部とも、勝ち負けや実力のあるなしは正反対ながら、やるなら本気でやれ真剣にやれという熱いものがある指導であり、その後 滝沢の有名な 「俺はこれからお前たちを殴る!」 に続きます。
このシーンで描かれる 「熱血教師と生徒との信頼と絆」「愛のある鉄拳は暴力ではない」「男らしさ」 あるいは作品テーマである 「信は力なり」 という価値観は、1984年・昭和テイスト な時代性を考えてもいくつかは時代遅れのようなイメージがありました。 しかしそれはそれとして熱血青春ドラマとして伝説的な存在となっている 「スクール☆ウォーズ」 を代表する名シーンであり、本当の物語がこの瞬間から始まる転換点だといっても良い存在でしょう。
同ドラマは高い視聴率を誇り、ラグビーブームを巻き起こす一方、続編がいくつも作られました。 また主題歌である麻倉未稀さんの 「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」(映画 「フットルース」 楽曲の日本語カバー) もヒットしています。 ちなみに高い視聴率が見込まれた最終話は番組改編期に掛かるよう1話引き伸ばして後にずらし (1985年4月6日)、他局の特番潰しに使われるほどでした。 その中には日本テレビによる 「風の谷のナウシカ」(1984年) の記念すべき地上波初放送もありました。