自分の絵をデジタル化したり、書籍を自炊したり… 「電子化」
「電子化」 とは、アナログなものをデジタル化することです。 具体的には、紙に描かれた 絵 や紙の本一冊をスキャナーでスキャンして 画像 のデータやテキストデータにしたり、8ミリシネフィルムやビデオ動画を同じくキャプチャして動画データにするなどが代表的です。
もっとも多いのは画像類を取り込むスキャナーによるスキャンでしょうが、デジカメによる撮影や、撮影した画像を OCR (光学的文字認識) によって文字コードに変換する場合も電子化となります。 一方、これら 二次元 の媒体ではなく 三次元 のもの、立体物の場合の電子化は若干言葉の使われ方が変わります。 例えば彫刻をデジカメで撮影した場合、画像化ではあっても電子化とまでは呼ばれないケースが多いでしょう。 しかし立体物の造形を三次元測定機によって 3Dデータとして記録する場合は電子化 (立体電子化) と呼ぶことが多いかもしれません。
なお一度電子化したものを紙などに 印刷 (プリント) したり、3D データを 3D プリンターで立体物として出力する場合は、アナログ化と呼びます。 またデジタル式のモニタに表示する場合はデジタル表示、アナログモニタで表示したり投影機・映写機などを通じて光学的な映写を行う場合はアナログ表示やアナログ映写と呼ぶことも多いでしょう。
電子化すれば保存性が高まると思いきや…あっけないデジタル情報
一般にアナログ媒体に記録したデータや情報よりも、電子化されたデジタルデータの方が保存性が高く残しやすいとされます。 確かに紙は容易に汚損しますし、予備を作ることも簡単ではありません。 デジタルならコピーも簡単にできますし、数千冊分もの書籍の内容が小さな記録媒体1つに収まってしまいますから、情報を残す方法としては有利に感じられます。 ひところはアナログ資料の半永久的な保存を目指した電子化プロジェクトなども盛んに行われていました。
しかし一方で、デジタル記録媒体には寿命がありますし、それは現代の紙の多くが酸性紙で寿命が50年から100年程度だというのに比較しても、各段に短いものです。 例えばフロッピーディスクの寿命は数年程度とされますし、LD や CD、DVD、BD といった光ディスク・円盤媒体 は10年からせいぜい30年程度、ハードディスクやフラッシュメモリの類はさらに短くなります。 紀元前の石板や粘土板が何千年間も残って歴史を伝えていることを考えればほとんど一瞬のような短さであり、適切なバックアップがされないと、いずれは消えてしまうでしょう。
また ネット に流れたデータはどこかに保存されているので半永久的に残るとされますが、意図的に残そうとしない限り、ネットサービスの終了などによりあっけなく消えてしまったりします。 それでも一度ネットに流れたデータはどこかに存在し続けるかも知れませんが (例えば誰かにとって不名誉な情報も、いわゆる デジタルタトゥー として残る)、こちらも確実に消滅したとの確証を得るのが非常に困難もしくは不可能なだけで、実際は多くの人から求められる情報でなければ消えてしまうでしょう。 例え誰かのローカル環境には残っていていつでもネットに流せる状態でも、実際に流されなければ、あるいは流されても容易に見つけられなければ、実質的に存在しないのと変わりません。
という訳で、筆者 も子供の頃にノートに描き溜めた 中二病 丸出しの マンガ といった 黒歴史 を、一刻も早く電子化しなければと思います。 紙のままでは残り続ける可能性があって危険が危ないです…。