あまりに見事な吹っ飛び方に唖然、騒然… 「ひっどーいっ」
∩`" <ヽ | ゝ ヽ ∨ / ノ / / / / / / / / / / / / / / / 丿 / ノ ( ヽ、/ 〈 \ /'' ー'' ⌒`/ヽー 、 \/ 〉 ⌒彡彡彡彡ミ ヽ ,, -‐" 彡彡彡彡ミ \/ / ィ _彡彡彡彡 ノノ "ーーーー(,,___/つミ彡彡 |
./) rt ズザ━━━━ 〈〈__ノノ━━━━━━ !!! ≡≡(´⌒;;≡ ヽ〉 ̄/`‐-巛( < ひっど〜いっ (´⌒(´⌒;; ≡≡ `ー<_ァ_巡) |
ひっど〜いっ AA |
「ひっどーいっ」 とは、そのまんまですが、何かの被害に遭った人物が、弱者として相手の非を責め罵倒するセリフです。
意味はそのままで 「ひどいです」「あんまりです」 となりますが、ただしことさらに 「ひっどーい」 と ネット の世界で云う場合には、2010年5月12日に国会で起こった女性議員の転倒事件 (後述します) を発端とし、政治的な話題を扱う 掲示板 での、煽り のための ネットスラング となります。
この事件による騒動がその後大きくなるにつれ、一連の様子が アスキーアート (AA/ 右図) になるなど 祭り としても盛り上がり、以降は様々な別の ネタ とも合成されて、2010年末まで尾を引くことになりました。
2010年5月12日、国会で女性議員の転倒事件が発生
【御報告】三宅議員転倒事件について 自民党 甘利明議員サイト 「甘利 明 公式サイト」(2010年5月14日) |
12日の転倒について 民主党 三宅雪子議員サイト 「雪子のDO MY BEST」(2010年5月16日) |
「ひっど〜いっ」 の 元ネタ ですが、2010年5月12日に国会の内閣委員会で起こった、いわゆる 「三宅雪子議員転倒事件」 からとなります。
この事件は国家公務員法改正案の採決で、賛成反対で与野党議員が詰め寄り混乱する中、民主党の三宅雪子議員が突然転倒、右ひざなどを強打し全治3週間の大怪我を負ったというものでした。 三宅議員は転倒後、自民党の甘利明議員を見ながら 「ひっど〜いっ!」 と非難。 この叫び声が由来となります。
なお三宅議員は翌13日には負傷した右ひざに大きな 包帯 を巻き、痛々しい車椅子姿で国会へ。 さらに議場では松葉杖をつき、採決で階段を昇り降りする際には同僚男性議員に背負われて投票を行うなど、「怪我」 を強烈にアピールしていました。
かわいい美人の三宅さんを突き飛ばした
これを受け、同13日に民主党山岡賢次国対委員長は 「かわいい美人の三宅さんを突き飛ばした。 明らかな暴力行為だ」 と自民党を強く非難し、突き飛ばしたとされた甘利議員を懲罰動議にかけるなど、大きな騒ぎとなりました。甘利議員はこれについて5月14日に自身の ブログ で 「えっ?オレのせいなの?」「突然、私の視野の外から三宅議員がダイビングをするかの様に前に倒れこんできました」「しまった、、はめられた」 と、事実無根であることを表明。
一方の三宅議員も、マスコミ取材や自身の Twitter などで、「甘利議員に突き飛ばされた」 と表明。 また5月16日の自身のブログでも、「その場で一言、謝罪があれば済んだ話だったと思うのですが」 と非難。 両者の言い分は真っ向からぶつかり、与野党議員入り乱れ、互いを強く批判、牽制するものとなっていました。
なおこの事件の前提として、批判の多い国家公務員法改正案の採決が大荒れになることが予想される中、民主党側が委員会と無関係の新人議員を多数応援に呼んでいたこと (甘利議員の隣にいた民主党初鹿明博議員や三宅議員は、委員ではなかった)、自民党で人気 No.1 とも云われる小泉進次郎議員が質問に立つため、民主党が組織的にその妨害を行う意思を持っていた疑いが濃厚であった点もあります (小泉議員をハメようとしたが、小泉議員が自分の席を離れなかったため、議長席に近い場所にいた甘利議員をハメる形になってしまったとの推測も当時はよく聞かれました)。
エアダイブ、スペランカー、そして 「ひっど〜いっ」
「民主・三宅氏、松葉杖で本会議に登場し、 また転倒」 鳩山由紀夫・首相の答弁を聞き ながら足を組む民主党の三宅雪子氏。 もう痛くないの?!(iza/ 2011年5月13日) |
ところが転倒の翌日、痛いはずの右足を軸にして足を組んで首相の答弁を聞く三宅議員の写真が産経新聞サイトに掲載 (民主・三宅氏、松葉杖で本会議に登場し、また転倒/ 2011年5月13日)。
また2本使いの松葉杖を持って歩く際に軸足を間違えたり、閉会して席から立ち上がる時に、平然としゃがんで松葉杖を拾う姿などが次々に発覚。 さらに産経新聞に取り上げられた、議場階段で松葉杖の使い方を誤り豪快に転倒するシーンが国会中継終了間際にテロップ画面の片隅に偶然映し出されていたことがわかり、検証動画が YouTube などに登場。
12日の転倒よりひどい倒れ方だったのに平然と立ち上がり階段を上がろうとしているなど、テレビカメラが向いている時の痛々しい姿とはかけ離れたあまりに不自然な様子がクローズアップ。
一方掲示板 2ちゃんねる のニュース系の板の利用者らによる、テレビ報道で流れた転倒シーンの検証もはじまり、甘利議員が揉みあっていたのは民主党の初鹿議員であって、三宅議員はそばに立っていただけだったこと、三宅議員が転倒直前、倒れるタイミングを推し量っているような仕草をしていたこと、倒れた時に甘利議員と直接触れている様子がないことなどが次々と発覚。
友愛ショック!「甘利の拳」(2011年5月13日) |
「体が触れてないのにどうやって倒されたのだろう」「単なる狂言、自作自演 なのではないか」 と疑惑が増幅し、さらに三宅議員の自分から倒れた可能性をほのめかす Twitter での不自然な ツイート などから、すっかりお祭りに。
掲示板のニュース系の板や政治の話題を行うブログでは、「自ら行ったエアダイブだ」、 いや 「スペランカーだ」(キャラ がすぐ死んでしまう最弱 主人公 のゲーム名) と揶揄され、すっかりネタ扱いされてしまったのでした。
また逆に、体に触れずに三宅議員をふっ飛ばした甘利議員を、「気」 だけで敵をなぎ倒す、甘利神拳の使い手」 とし、アニメ 「北斗の拳」 の パロディ として 「甘利の拳」 の MAD動画 もニコニコ動画など 動画共有サイト に登場。 ネタが豊富なこともあり、続編なども次々に作られ、一気に盛り上がることになりました。
なおマスコミ報道もその後は三宅議員の自作自演、単なるパフォーマンスだとの報道が中心となり、中でも5月18日の日本テレビ系列の情報バラエティー、「スッキリ」 では、三宅議員が電話で生出演する中、加藤浩次さん、テリー伊藤さんがほとんど フルボッコ 状態で三宅議員を批判。 三宅議員はテリー伊藤さんと TBS系のバラエティ 「サンデー・ジャポン」 で顔なじみであり、自身が 「サンジャポファミリー」 である点を強調し、「テリーさん、ひどいですよぉ〜」 と泣きついたものの、冷たくあしらわれる状態となっていました。
2010年11月2日には、マンション4階から転落
その後 2010年11月2日になって、三宅議員が東京都港区の自宅マンション4階から転落、腰の骨を折る全治一ヶ月の重傷を負う事故が発生。 4階通路で携帯電話を落とし、それを拾おうとして誤って転落したと コメント しています。 その際、「2歳の時にハワイでホテルの4階から落ちたことがフラッシュバックした」 ともコメント。
ネットでは、「どれだけ落ちれば気が済むんだ」「転倒は全治3週間で4階から転落は1ヶ月なんだ」 と話題に。 その後11月30日には衆院本会議に出席し、12月5日には退院。 反省の弁を述べながらも、「私の命は国民のもの。しっかり仕事をします」 と表明しています。
その後の三宅議員
2009年8月18日の総選挙に民主党から立候補し議員となった三宅さんですが、マニフェスト違反や数々の失政で民主党政権への支持率が急降下する中、2012年7月2日に民主党を離党 (認められず、同9日に除名処分)。 11日から新党 「国民の生活が第一」 結党に参加し (その後 「日本未来の党」 と合流)、同年12月16日の総選挙に望みましたが、小選挙区・比例区ともに落選し、わずか1期3年あまりの議員生活となりました。
様々な毀誉褒貶の激しい3年間でしたが、永田町において何ら強い発言権や権限など持てないであろう1年生議員としては、屈指の知名度と活躍をした議員の一人だったとは云えるでしょう。 経済問題に対する見識や、とくに同氏が力を入れていた福祉関係での主張には支持されるべきものも多々あり、あるいは別の政党にいれば、また評価も違ったものになったのかも知れません。
その後はいち民間人として政治活動を行っていましたが、ネット上で話題となることはめっきり少なくなりました。 しかし2020年1月6日になり、東京都内の海岸で同2日、遺体で発見されていたとの報道がありました。 現場 の状況などから入水自殺を図ったとみられ、54歳での早すぎる死でした。
筆者 は格別な関わり合いはありませんが、生前の同氏が Twitter などで度々このサイトを好意的に紹介してくださっており、こんな解説記事を作っておいてなんですが、この報道にはかなりショックを受けました。 謹んで哀悼の意をささげます。