峠道で真に最速なのは… 「下り最速」
峠道で真に最速なのは… 「下り最速」 |
「下り最速」「下り最速伝説」 とは、上り道と下り道、アップダウンがある峠道などをクルマやバイクで走る際、本当に速いのは下り道で速い奴だ、ドライビングテクニックや度胸が本当にある真に速い奴は下り道でこそ速い奴だとの意味です。
転じて、ネットスラング としての 「下り最速」 は、「落ち目になるスピードがものすごく速い」 といったような罵倒の意味で使われるケースも多い、独特な言葉となります。
問題を起こした企業の株価が暴落した時とか、前評判が高い アニメ の視聴率が最初だけ良かったのがその後に急落したり、ゲーム の販売数が激減したり、政治の世界で内閣支持率や政党支持率、人気などが急落したなど、いわゆる 爆死 (ニュアンス はちょっと違う) となった際に、この 「下り最速伝説」 などを語感から揶揄として当てはめる場合が多くなっています。
なお類似の言葉で、先物市場などで相場が際限なく下落する様をあらわす 「つるべおとし」(釣瓶落とし/ 本来は、井戸に釣瓶を落とす時のように、あっという間に日が暮れるとの意) とか、坂道を転げ落ちるがごとく評価が下落する落ち目の人物や企業などを 「ダウンヒル・スペシャリスト」「ジェットコースター」「フリーフォール」 などと呼ぶ場合もあります。
「下り最速が一番速い」 クルマのスポーツ走行における最速とは
頭文字D/ しげの秀一 |
ネット で見かける 「下り最速伝説」 という言葉の直接の 元ネタ は、1995年より 「週刊ヤングマガジン」(講談社) にて連載されている人気漫画、「頭文字D」(イニシャル・ディー/ しげの秀一) の作中 概念 やセリフによります (下り最速の概念自体は、昔からレース関連の話題や自動車雑誌などでも触れられています)。
自動車レースやスポーツ走行では、「速さ」 はクルマ (競技車両/ レーシングカー) 全体の性能と、それを操る運転者 (ドライバー) の技量、及びそれらと走行コースとの相性や適性によって決まります。 その際、一般的に登り坂では車体を坂の上に押し上げるクルマのパワーがものを言うのに対し、下り坂は適切なブレーキ、慣性がついて恐怖心も出るカーブでの正確なコーナリングなど、むしろドライバーのテクニックや腕、度胸がものを言うと考えられています。
しばしば高価な大排気量ビッグパワーの高性能車を、安価で小排気量・低馬力のライトウェイト車が追いまわし抜き去る様は判官贔屓もあり痛快でもあり、本作の 主人公、AE86 スプリンタートレノ (ハチロク) を駆る藤原拓海そのままに、本当に速い奴、凄い奴は、下りでこそ真価を発揮するとの意味となっています。
ここらは、実際に走るコースやクルマの種類、ドライバーの傾向やクルマ好きの好きな カテゴリ などから一概にはいえなかったりもします。 例えばドライバー視点ではなく、クルマのチューニングやメカニックの視点だと、下りだけ速いのはむしろ評価が低かったりもしますし、大排気量ビッグパワー車はそれに見合ったブレーキや足回りを持っているので、実際にはそこまでの差が出なかったりする場合も多いものです。 またライトウェイトスポーツ車は車体重量が軽いので加速の立ち上がりが俊敏ですし、ドライバーが適切なシフトアップを行いエンジンパワーを無駄なく使えば上りでもそれだけ速く走れるでしょう。
しかし漫画的な誇張がありながらも、ドライバーでもある 読者 の下り坂は怖い、登り坂に比べクルマのコントロールがしにくいとの実感や、安価なクルマで高根の花のような高性能車をぶっちぎる ロマン もあり、「下り最速が一番速い」 は共感を得る話ともなっています。
ネットで罵倒語として
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鳩山内閣の急激な支持率低下を揶揄する 「下り最速」 AA |
ネット上では、人気漫画が元ネタだけに、この種の言い回しはかねてから良く使われていました。
中でもアップダウンの激しい荒れた株式相場などで、下がった銘柄を揶揄・罵倒する使い方で 2ちゃんねる などの 掲示板 で良く使われるように。
さらにアニメやタレント主演のドラマの視聴率の下落などでも、アンチ が 叩き のために頻繁に使うように。 その後は政治談議の中で、下落する内閣支持率を揶揄する使われ方が急速に広まりました。
とりわけ2009年発足時に極めて高い支持率を誇っていた民主党・鳩山内閣の急激な支持率の低下や、その後の2010年管内閣のV字回復の後の急降下、ジェットコースターとも揶揄される支持率低下 (発足一ヶ月で、60%台から30%台へ、過去最悪の下げ幅を記録する自民党森内閣を上回る25%前後の下落)などで、こぞって使われるようになりました。
「頭文字K」… 不用意発言と尖閣問題で急落する支持率
l | l l .| | | l l | | l | | ヒュー ,、____ノノ:ノ、 .ノ`::::::::::::::::::ノ、ヽ ./:::::::;;;-‐‐''"´ |:::| |:::::::| 。 .|:::| .|::::/ \ / ヽ:| ! |:::| -・‐ ‐・- || 速 |´ ー'._ ヽ'ー | 最 .| (__人_) | り ヽ 丶ニ´ / <下 ヽ_ _/ __/\/ヽニニニヽ__ ゝ@__@_゚⊆⊇゚) |
頭文字K…下り最速菅政権 |
とくに2010年6月8日からの菅直人内閣の支持率急降下はあまりにハイペースなため、揶揄して 「頭文字K」 などと呼ばれるケースが多発。
民主党大敗で終わった参議院選挙の後は、永田町で野党議員から、「下り最速の伝説」 と批判されているとも一部マスコミ報道では伝えられています (産経ニュース 「下り最速伝説」返上へ 首相のメディア戦術に変化 巻き返し図る?」(7月17日)。
その後、小沢一郎前幹事長と争う形で2010年9月14日の臨時党大会 (代表選挙集会) で 勝利。 その際、政治とカネのスキャンダルで国民から強い批判に晒されていた小沢一郎との対比の形で支持率が上昇。
しかし何か業績を果たして上がった意味のある支持率ではないので、同9月7日に発生した尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船と日本海上保安庁巡視船との衝突事件に対する迷走や、11月1日のロシア・メドベージェフ大統領の北方領土上陸、円高放置や経済政策の失敗などにより、支持率は過去最大となる30ポイント下落という急降下。 危険水域と呼ばれる支持率30%を切る レベル で (調査によっては20%程度のものもある)、「下り最速」 の名に恥じぬ? 超低空飛行を続けています。
選挙も連戦連敗の状況ですが、とうの菅首相は、「石にかじりついてでも頑張りたい」(2010年11月8日、衆院予算委員会の答弁で)、「内閣支持率が1%になっても辞めない」(2010年11月27日、都内の中華料理店 「溜池山王 聘珍樓」 で鳩山前首相との会談で) と、続投に強い意欲を見せ続けています。