好きすぎて、熱く語らずにはいられない… 「萌え語り」
「萌え語り」 とは、自分の 萌え・推し の対象となっているアイドルやタレント、マンガ や アニメ の キャラ について、しばしば早口かつ饒舌に、あるいは長文かつ熱狂的に語りつくすことです。
自分の好きなタレントやキャラを ファン の目線で語るだけなら一般の感想文などと大差はありませんが、わざわざ 「萌え語り」 と呼ぶ場合は、単に対象を褒めたり魅力について語るだけでなく、しばしば自分がどれだけ好きなのかとか、自分との出会いの話とか、好きになった結果素晴らしい体験や感動を貰った、心から感謝しますなどなど、ちょっとした 自分語り や 妄想 なども含めつつ、「恋愛のおのろけ話」「コイバナ」(恋の話) のような熱量を持っていたり、ほとんどラブレターのような状態になっているようなケースが多いでしょう。
同人誌 の フリートーク で 読者 を置いてけぼりにしてとうとうと長文を書き連ねたり、ネット の ホームページ や ブログ、SNS や、ファンが集う 掲示板 などでよく見かけますが、一般的には おたく や 腐女子 であってもやや 「キモイ もの」 というイメージもあり、「萌え語り」 という言葉自体は、本人が自省的・自虐的 に使うことが多い印象があります。
なお似た ニュアンス の言葉に 砂を吐く といった言い回しもあります。
「好き!」 という気持ちを全力で吐き出すのは気持ちいい
実際の恋愛などでものろけ話などを好んでする人は多いですが、自慢話ではなくシンプルに 「好き!」 という気持ちだけを全力で吐き出す、感情を爆発させるのは、とても大きな爽快感があります。 相手が実在の、しかも身近な人物なら、「相手の負担になるかも」「拒否されたらどうしよう」「気持ちを知られるのが恥ずかしい」 という感情もあって無意識に自制もするのでしょうが、手の届かないタレントや 2次元 のキャラなら、遠慮はいらないでしょう (実在人物である ナマモノ の場合は、行き過ぎたファン活動は迷惑になる可能性がありますし、キャラもそれを作った 作者 がいるので、ある程度の分別はもちろん必要ですが)。
好きなもの、尊さ を感じるものについて語るのは楽しいですし、語ることによってますます好きになったり、頭の中で漠然としていた部分も会話や文章化によって整理されよりクリアになったりして、より深く対象にのめり込むきっかけになったりもします。 後になって振り返ると気恥ずかしさもあったりするのでしょうが、語りたくなるほど何かに ハマる というのは一般的に云って幸せなことですし、縁あって他人のそうした文章などを見る機会があれば、温かく見守るのが良いのかもしれません。
自分に好意を寄せてくれる相手を感情のはけ口・ストレス解消に利用する 「精神的サンドバック」(サンドバックフレンド) という言葉がありますが、個人的には怒りや憎しみを誰かにぶつける (罪悪感がある) より、好意や愛情を一方的にひたすらぶつける方がはるかに爽快感があります。
こういう存在を個人的に 「好きのサンドバック」 と呼んでいますが、好意や信頼をどれだけぶつけても相手の負担にならない、拒絶されない、裏切ることなく受け止めてくれると信じられる存在を持つか持たないかは、人生の質を左右しうるものでしょう。 それが人によっては家族やペットや神様や国家や思想だったりもするのでしょうが、おたくや腐女子の場合は萌える対象や推しということになるのでしょう。