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教師の犬か、それとも学園の支配者か…生徒会

 「生徒会」 とは、一般的には中学や高校といった中等教育機関に設置される、生徒による自主活動の推進を目的とした自治的な組織のことです。 通常、同じ生徒同士の選挙によって生徒会の委員や会員、書記などが複数人選ばれ、また同じく選挙で一人の 生徒会長 が選出され、その 代表 となります。

 アニメマンガゲームライトノベル などの創作物においては、しばしば強大な権限を有し、「下部組織に風紀委員会や学級委員会を持ち、生徒会を頂点とするピラミッド型の権力機構」「学校 (学園) を事実上支配している最上位機関」 という、独特な 設定 を持っている場合もあります。

現実世界における 「生徒会」

 現実の生徒会の役割としては、生徒が学校生活を送る際に生じる様々な問題や課題などを保護者や教職員ではなく同じ生徒の立場・目線で把握し、そのまま生徒間で問題を改善・解決したり、それが無理な場合は保護者や教職員はじめ学校とのつなぎ役となって問題の解決を行ったりします。 さらには学校生活に欠かせない各種催しや イベント、部活動などの円滑な 運営 を教師や学校当局と協力して縁の下の力持ちとして推進することも重要な役割です。 創作物などの表現と比べ、とても 地味 な存在だと云えるでしょう。

 日本ではホームルーム活動などと並び、授業以外の生徒の特別活動のひとつとして定義されており、大まかな目的や意義、役割は、どの地域・学校でもほぼ同じものとなっています。 一方海外、とくに欧米諸国においては、生徒会やその委員が保護者や教員らと名目上は同列の立場に置かれ、学校運営の一部を担う一定の権限や大きな権利が与えられた自治組織となっているケースもあります。

 また地域や学校、時代によって、目的や役割、それに伴う権限が変化する場合もあります。 日本でも自由主義や民主主義、普通選挙を求める声などが高まった1910年代あたりからの大正デモクラシーの時代、あるいは安保闘争で学生運動が盛り上がった1960年代などは、大学あたりの学生自治の考えを取り入れたり影響を受けた中学や高校などで生徒会の権限や権利を広げる機運が高まったり、大学付属高校などでは大学の学生運動の下部組織のような扱いとなっていた場合もあります。

 この場合は、仕組み上生徒会が教員や学校当局と同列あるいは超える権限を持つことはなかったものの、活動において生徒らが集って大っぴらに教員や学校当局を批判・罵倒したり、糾弾会で吊るし上げるといった行為を伴う場合もあり、見かけ上はあたかも生徒会の権限や権利が拡大し強大化したかのような印象を与えるものともなっていました。

学園都市という存在

 なお生徒会とは直接関係がありませんが、こんにちの大学自治の考え方などにも影響を与えた存在として、学園都市というものもあります。 現代の日本で学園都市というと、単に大学などが中心となった街とか、様々な教育機関を集積した街づくりといった程度の意味ですが、大学 (University) の語源ともなった中世ヨーロッパのウニベルシタス (Universitas) などは、教員と学生が集まり共同体を作り上げることで、学校を中心としたある種の独立した自治組織や政治勢力が生じることもありました。

 こうした学園都市は宗教や商人・職人の集まり (組合・ギルド) と同様に独立した特権を有し、時として独自の法律や行政機関、拠点を設け、場合によっては武装し近隣勢力と争う小さな都市国家のような体制を築くこともあり、名前や形式は多少同じでも中身は似て非なるものとなっていますね。

 日本でも宗教施設は信仰の場であると同時に学びや修行の場でもあり、拠点ごとに独立した政治・軍事勢力のような形となったものが少なくありませんし、それは一つの独立国のようなふるまいに至ったものもあります。 近現代においても特定の私塾やその出身者が徒党を組んで政治・軍事勢力化したり、強固な学閥を作って国家運営に影響力を行使することもありました。 このあたりは様々な影響をその後の生徒会のありようや生徒会を扱った創作物などに、多分の誇張を交えつつ与えているでしょう。

創作物における 「生徒会」

 中学や高校を舞台とする創作物の場合、生徒会や委員、生徒会長といった設定や キャラ は、無視できない存在です。 こうした設定がことさら強調される場合のパターンとしては大きくわけて2つあり、教員や学校の小間使いや手先・番犬となっているパターンと、教員や校長を超える強い権限を持ち、実質学校を支配しているようなパターンとなります。 そしていずれのケースでも、真面目で優等生、しばしば メガネ をかけていて、ガリ勉的、陰湿的、権威・権力志向な生徒の集まりといった ニュアンス を持っています。

 実際の中学や高校の生徒会を見てみると、真面目で優等生というイメージはあるものの、場合によっては単なる目立ちたがり屋のパフォーマンスの舞台になっているケースもありますし、教員や校長を超える権限などは持ちようがないのですが、フィクションならではの誇張などもあり、前述した2パターンをそれぞれエスカレートさせたような表現が目立ちます。

 生徒会が学校を支配するなど現実にはありえない設定がしばしば登場するのは、それによって登場人物らにステレオタイプなイメージ・設定が容易に付与できたり、現実的には平々凡々な学校生活に、傍若無人な強敵や絶対的支配者を作って起伏に富んだ争いや謎解きの要素が加えられるからでしょう。

 加えてマンガやラノベの 読者 でもある中高生にとっては、学校生活が日常の中心だったり全てだったりで、当事者としての 「肌感覚」 で共感しやすい状態であるのも大きいのでしょう。 なおこうした誇張が行われない場合は、そもそも生徒会それ自体が登場しないか、しても空気のような存在感しかない場合が多いでしょう。

生徒会というより生徒会長がすごかったり

 学校を支配しているようなケースでは、説得力を持たせるために、例えば生徒会長が学校始まって以来の 天才、カリスマだったり、親がPTAの会長や学校の理事長、莫大な寄付金を収める大金持ち、暴力団組長だったり、上部教育機関である教育委員会や文科省 (文部省) から送り込まれた隠密・エージェントといった設定になる場合もあります。 不良・ヤンキー学生ものなどでは、ケンカの強さや悪さが基準となる場合も稀に良くあります。

 権力の源泉が生徒会長の個人的資質に頼らない場合は、物語の登場人物がほぼ生徒だけで構成され、保護者や教員など上位の存在がストーリー上無視できる状態になっていたり、学校内ではあるけれど学校の秩序をある程度無視できる舞台 (例えば寮とか) となっている場合もあります。

 基本的に創作物の世界では、脇役 としての登場が多い生徒会や生徒会長ですが、近年では彼らや生徒会活動などを中心とした作品が登場する等、ジャンル としても発展しています。

そうなんだ、じゃあ私生徒会行くね

 ちなみに生徒会関連の用語として、「そうなんだ、じゃあ私生徒会行くね」 という言い回しもあります。 人気アニメ 「けいおん!!」 において、主人公 平沢唯が発した言葉に対し、唯の 幼なじみ で面倒見の良いフォロー役でもある真鍋和が応えたセリフです。

 唯の話の内容に反応せず、「生徒会に行く」 と会話をぶった切った部分がおかしみのある スルー っぷりに見え、流行語化。 他人に興味がない、無視するといった文脈で使われるようになりました。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 1999年6月20日)
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