同人用語の基礎知識

学級会

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「〇〇ちゃんが悪いと思いま〜す」「私もそう思いま〜す」 の 「学級会」

 「学級会」 とは、主に 同人 の世界において、まるで小中学校の教室で生徒同士で行っていた学級会や帰りの会のように、守るべきルール・規則をみんなで話し合って定めたり、それに基づいて人の言動を評価したり、違反があれば注意したり守ることを約束させるといった行為のことです。 「〇〇さんがルールを守りませんでした」「□□さんもそうでした」「〇〇さんが△△さんの悪口を言ってました」「もうしないとみんなの前で約束してください」 みたいなあれですね。 あまり肯定的に使われることはなく、もっぱらその行為を冷ややかに見る 同人用語 となります。

 こうしたコミュニケーションの取り方は、不特定多数が集う ジャンル や場の秩序を守るためにあって当たり前のものではあるものの、議論はいつしか感情的になり、云った云わないの水掛け論や個人に対する 人格攻撃 になったり、結論がでないまま収拾がつかなくなったりします。 結果的に問題を解決するどころか、声の大きな人の お気持ち とか上下関係にまつわる人間関係のドロドロによって、逆に人間関係が面倒になったり論争や トラブル が生じやすくなる傾向があります。 また行き過ぎると監視社会のようにギスギスとした 雰囲気 になったり、参加するのが面倒そうな空気がジャンルや場を支配しがちでもあります。 一般的な言葉で云えば 「ムラ社会」 や 「魔女狩り」 という言葉が近いでしょう。

 内容的にはジャンルの中の細かい ローカルルール やしきたり、マナー の提案やその周知、それを守れない人への批判や何らかの罰則の付与があります。 もちろん多くの人から支持されるマナーやルールは過去のあれこれを教訓にトラブルを未然に防ぐための必要に迫られて作られ広まり定着したもので、守る価値のあるものが多いでしょう。 同人マナーというより、一般常識や大人なら誰でも守っているような社会的なマナーも含まれますし、注意や警告をしても守らない人に何らかの処罰を与えるのも必要なことでしょう。

 しかし一部にはよくわからない謎マナーなどもあり、それを同調圧力・暗黙の了解の元で不特定多数に強いること、さらに破った者への度を越えた批判、吊るし上げ、仲間外れや いじめ が起こるといった状況が生じたら、ネガティブ な印象を持たれても仕方がない部分があります。 ただし常識や不文律な お約束 に反する迷惑行為を起こした厄介者が、責任転嫁で学級会だ閉鎖的だと批判したり、もっぱら学級会の担い手が女性だと目されるため (後述します)、女性を批判したい男性が使っているだけの場合もあります。

 言葉自体は昔から揶揄としてそれなりに使われてはいましたが、とくに ネット を中心に頻繁に使われるようになったのは2008年前後あたり、国家を 擬人化 し各国の文化や世界史などを面白おかしく パロディ としてまとめたウェブ公開の マンガ 「ヘタリア」(2006年7月)のブレイクと、それに関する 二次創作ファンアート同人の同人) と、それらを担う ファン の周囲あたりからでしょうか。 同作品はその後 商業 でも大ヒットし アニメ も人気となり、時代を代表する巨大な作品のひとつとなっています。

人が集まる場では、人間関係のいざこざは避けて通れないもの

 人が集まる場では、それぞれの性格や思惑や力関係、嫉妬や誤解、すれ違いから様々な人間関係の問題が生じます。 人を序列づける スクカ の形成とそれによる分断、新しく入ってきた 新規新参古参 との軋轢、やたらと力のある人間の強権や扇動、その取り巻きらによるご機嫌取りや チクリ・密告の蔓延などです。 場によってその形は色々です。

 それは同人や おたく腐女子 に関わらずどこででも起きるものですが、とくに学校とか会社の特定の部署などで、同質性が高く限られた人たちのみで構成される閉じた人間関係の中では、関係性も自然と濃密なものになりますし、些細なきっかけで問題が生じると拗れやすいものです。 とりわけ同人のような 趣味 の世界では、参加者は原則として平等であるべきですが、ごく一部の目立つ人があれもダメ、これもダメと強制してくるように見える状況を窮屈に感じる人は多いでしょう。

 同人関係ではこれらに加え、同人やネットに関するマナーやルールへの意識の違い、例えば 18禁 の扱いや ネタバレ の扱い、公式 との関わり方、二次創作における カップリング解釈 や方向性の違いがあった場合の扱い方、カップリング名の命名規則、同担 の扱い、作品をネットで公開する際の タグ のつけ方や 設定 の扱いなどもあります。 また感情の問題として、個人的な 同人誌頒布数SNSフォロワー の多寡、人気のあるなしなどによる驕りや嫉妬、マウント や被害妄想、それらに基づく派閥争いなどなど、人間関係が拗れそうなドロドロとしたあれこれがてんこ盛りです。 時代を下ると私怨によるものと思われる、ほとんど言いがかりのようなパクリ疑惑やトレス疑惑、生成AI疑惑の冤罪騒動と、それに基づく誹謗中傷なども起こるようになっています。

 ネットがない時代にも、これらルール違反や 解釈の違い や打ち上げの際の居酒屋の座席位置がどうのといった感情問題とか、金銭関係のあれこれによる揉め事はありました。 しかしそれぞれが遠隔地に住むなどしている場合、直接顔を合わせるのはせいぜい年に数回程度の 同人誌即売会イベント の場に限られており、「我慢できる範囲」 だったのかも知れません。 トラブルが生じても連絡先を知る小さな なかよしグループ 内に留まり、影で身内同士で愚痴を云うことはあっても、横や外に広がることも少なかったものでした (まあアイドルのファン 界隈 では、現場 で顔を合わせる機会が多い上に過酷なチケット取りや 遠征 などでの助け合いの関係上、ネット以前にも私的な FC や人脈といった形でかなり濃密な人的ネットワークが出来ていて、派閥争いとか厄介なファンへの攻撃とかあったりしましたけれど)。

 しかしネット時代となると、学校や職場、住む地域が違うどころか顔も知らない相手とも毎日やり取りができ、濃密な人間関係を継続して結べるようになります。 個人の ホームページ相互リンクウェブリング同盟 でつなげたり、SNS で相互に フォロー してつながりを持つなどです。 またそのやり取りが、しばしば外部や仲間内で可視化され公開もされることにもなります。 若年層も平気で参加してきて、マナーどころか違法なパクリや 自作発言乗っ取りオフ騙り など悪質なことを堂々とやり始めてそれが広がったりもします。

 いったん揉め事が生じると 鍵付き の場での話も面白おかしく 拡散 されますし、振り上げた拳を降ろせないままにトラブルにまで発展したり、炎上祭り のような大規模な バトル が発生しやすくもなります。 

学級会は、女性ジャンルに多い傾向はあるものの

 一般に学級会と呼ばれるようなドロドロした人間関係と、それに伴う様々なトラブルや謎マナーの押しつけは女性向けジャンルで目立つとされ、その担い手は女性に多いと云われます。 とりわけ 一般人 や公式から隠れて行うことが求められがちな やおいBL において 検索避けパスワード制、暗号めいた 伏せ字スラッシュ切り など様々なマナーやルールが作られ、それに反する人に対する バッシング が生じる中で賛成反対の議論が生じたり、吊るし上げや仲間外れといったトラブルがしばしば起こるためです。 またそうしたことを事前に防ぐため、個人サイトなどは 呪文 のような長文の規約が書かれたり、守れない人を ダミーエンター で弾くような文化もあります。 マナーが先かトラブルが先かが分からないこともあります。

 女性が多いのは実際その通りの部分もあるのですが、男性の同人関係の間にも同じような関係性やトラブルはたくさんありますし、男女がほどよく混ざりがちなジャンルや コスプレ の世界でも様々な話があります。 同人全般というより特定のジャンルにのみ見られるマナーもありますし、自浄作用が必要なケースだってどこにでもあります。 要するに何か刺激的な問題提起やトラブルを起こす厄介な人があらわれた時に、男性向けと女性向けの参加者の 属性 によってその解決方法が多少異なることがあって、それが目につきやすい部分があるのでしょう。

 男性同士なら最後の最後まで揉めたら後は殴り合いであり、実際に暴力沙汰にまで発展するかどうか、あるいはその是非はともかく、それが一定の抑止力にはなっています。 最後まで行ったら ヤバイ よね、みたいな。 露悪的 に振る舞う (というか イキって) 暴力的に排除することだって当たり前です。 匿名掲示板に至っては、「回線切って首吊って死ね」 が日常茶飯事です。 しかし女性の場合は暴力に訴えることが少なく選択肢や可能性に入ってすらもないため抑止にもならず、ひたすら話し合いや意見表明が続きます。 立場の相違でグループが別れて延々と言い争ったり、特定の人物や行為への批判が大きくなると 「自分はその立場を支持しない」 というのを内外に鮮明にするため、さらに批判やお気持ち表明が相次ぎます。 結果、問題がどんどんと長引いてしまう傾向があります。 これは学校生活での学級会も同じだし、人間関係でも類似の傾向があります。

 私怨や個人的な好みの問題に関しても、問題のある人物が単に 「〇〇さんが気にくわない」「△△カプは嫌いだ」 と主張すれば個人的な問題に留まりますが、それでは自身が悪者になってしまうので、「この解釈はおかしい、ちゃんと原作を見たらこうはならない」 と主張したり、本当の理由を隠して 「〇〇さんは□□マナーを守ってない」「ルールを破ってる」 みたいな客観的正当性を攻撃の理由に掲げる結果、同じようにその人のことを快く思わない人たちが集って騒ぎだし、ただの個人間の争いから学級会と呼ばれる騒動になってしまうのでしょう。 男性同士なら、極論すれば良くも悪くも 「今からお前んとこ行くから場所決めろや」「次のイベントで会うのが楽しみだ」 で終わりです。

 そして何より、女性向けジャンルには若い人、というより若年層がとても多いことも大きな理由のひとつです。 同人活動は創作を楽しむ、自分の 作品 を公開したり他人の作品を楽しむといった目的の他に、同じ趣味を持つ者同士のコミュニケーションの場やツールとしての側面があります。 とくに女性向けジャンルは若い人、あるいはリアルな 小学生 (腐女児)中学生高校生 もそれなりにいて、こうした傾向がより強く作用します。 またその年代から参加した人たちは、大人になってもその頃に培った人脈をコミュニケーション方法の傾向ごといくらかは引き継ぐでしょう。

 元々同人の世界 (というか、絵描き とか 字書き とか音楽とか手芸のたぐい) は女性の比率がかなり高いものです。 若年層に関しては完全に 「女子の世界」 みたいな時代が長かったですし、それは今もさほど変わりません。 まだ未成熟で社会のルールとか 著作権 とかコミュニケーション能力や感情の抑制力にも乏しい少女たちであり、一方で交流には熱心で、ちょっとしたトラブルは避けようがありません。 まだ子供なんですから当然です。 ジャンルや性別や世代によって同人に対する目的や期待する機能、関わり方が違う訳で、「同じ同人なのに何で男女でこんなに雰囲気が違うのか」 と考えてもどうしようもありません。

 前述の通り男性にも仕切り魔のように自分勝手な俺ルールを押し付ける迷惑な人はいますし、いじめや仲間外れだって 普通 にあります。 ネットの 掲示板 などでは パソ通 の時代から、やたら細かくマナーやルール (ネチケット) を押し付ける ネチケ君 もいました。 場に参加するならマナーやルールを知るために過去ログを読め・半年 ROM れはありふれた話でした。 そもそもある意味で男性性の極致のようなヤンキーや暴走族、ヤクザ、あるいは男性が集まりがちな政治の世界だって、人間関係の面倒くささや陰湿さは学級会に負けていません。 お気持ちだって、男性の場合はムカつくとかメンツや仁義といった内容や呼び方に変わるだけで大差ありません。 人が集まる場なら起こる宿命のようなものでしょう。

 男性向け女性向けで同人の世界のありようが異なるのは事実なのですが、右も左も分からない小中高生がかなりいて、かつほんの一握りの女性ジャンルの炎上や頭のおかしい声の大きな人の発言、理不尽な謎マナーだけに注目して 「またお気持ちの学級会がはじまった」「これだから女は」 みたいな 主語の大きな 云い方をされては、自らを律し長年に渡って同人の世界を創りまた守ってきた大多数の女性参加者があまりに気の毒です。 実際、若年層がいなさそうな女性向けジャンルの平和さは、同じ規模の男性向けジャンルと変わらないか、むしろより平和なくらいです (異論は認めます)。 男性おたくに対する一時期の苛烈なバッシングは記憶に残っている人が多いのですが、女性おたくや腐女子に対するバッシングや偏見もかつては相当なものがありました。 それに加担しても実りはないでしょう。

 どんな世界にもごく少数の 自己中心的他責思考 で悪目立ちする人、察してちゃん とか 構ってちゃん とか 承認欲求モンスター とか精神的に未熟な人がいて、それらを含む大勢の人がある程度の関わり合いをする 環境 であれば、必要に迫られて学級会的なるものがどこででも生じるものです。 トラブルの種類やその処理方法に男女 (あるいは世代や嗜好・性癖 へのこだわりの傾向) で多少の違いはあるにせよ、性別といった特定の属性に安易に結びつけて考えたり批判のための批判をするのは避けたいものです。

 ただまぁ、対象が創作であっても自分の解釈や好きなカップリングに異常なほどのこだわりと異なるものへの拒否感を持つ人は、現実の人間関係においても自分中心に考えがちだという話は、何となくそういう傾向もあるのかなという気がしますが。 常日頃から 「〇〇は 地雷 だ」 みたいな発言をしている人は、やっぱり学級会でも先頭を走っている印象があります。

人が集まる場に変な人がいれば、揉めるのは避けがたいもの

 ちなみに男性向けジャンルの場合、学級会ではなく自治会や前述したムラ社会と呼んだり、それぞれのトラブルの中心となる人物を自治厨とか仕切り屋と呼ぶこともあります。 集団で誰かをつるし上げる場合は糾弾会や人民裁判と呼ぶこともあります。 こちらも男性というだけで にくくることが不可能なくらい各ジャンルによって雰囲気が違いますが、若年層が多いであろうジャンルでは、参加者らのお行儀や 治安 の悪さとそれに伴う参加者同士の非難合戦の酷さがつとに指摘されるところです (どことは云いませんが)。

 また同人以外でも、何人かでチームを組んで戦うような ゲーム では、気軽に楽しみたい エンジョイ勢勝ち 負け にこだわり効率重視の極端な ガチ勢、あるいは未熟で幼稚なリアルの小学生や中学生、いわゆる リアキッズ との軋轢は相当なものがあり、炎上から特定個人を叩くための まとめサイト が作られるほどの騒動が生じることもあります。 これらの空気感は二次創作やファンアートにそのままの形で出てくることもありますし、同人における学級会と同様、外部から興味半分で騒動を見ている人とっては、ほとんど同じようなものに見えてしまうかも知れません。

実際の学級会は?

 実際の学校で行われる学級会は、学校生活の充実や課題解決を生徒自身の手 (自治) によって行うことを目的に設置・実施されます。 おおむね1クラスのうち1人が学級委員 (あるいは学級委員長)、もう1人が副委員として生徒自身の立候補や推薦に対する投票などで選出され、男女共学の場合は男女1名ずつ、任期は半年か1年 (学年) というのが最も多いでしょう。 学級会はこの学級委員らが議事進行役となって行う会となります。

 学級会で取り上げられる議題的には、学校からの連絡事項を伝えたり、何らかの問題が生じた際にみんなで守るべきルールを多数決などで定める、体育祭や文化祭といった学校行事で何をやるか、誰がやるか、どうやるかなどを決めたりもします。 議題はクラスメイトの誰でも提案の形で発議できます。 名称は学級会や学級委員の他、クラス会とかクラス委員といった呼び方もあります。 この他、簡単な雑用を全生徒日替わりで務める日直があります。

 小学校などではこの他、朝の会とか帰りの会を持つことがありますが、こちらは学級委員ではなくその日の日直が務めることが多いでしょう。 なお担当の先生が参加して行うものはホームルームと呼びます。 それぞれ似たような場になっていますが、役割や目的はそれぞれで異なります。

 一般的には学級会の上に学年会や生徒会があり、それぞれ委員が選出されて 運営 を行いますが、基本的には会の議事進行を担う 司会者 の役割の他は雑用係と大差なく、積極的にやろうという生徒は少ないでしょう。 ある程度存在感のある生徒会や 生徒会長 の場合、一部の目立ちたがり屋やお調子者が立候補することもありますが、学級会は極めて 地味 で、問題なく終えれば内申書がちょっと良くなる程度です。 単なるクラスメイト間の人気投票になったり、断れない性格のおとなしい生徒に面倒を押し付ける形で選出がされることもあります。

 とはいえ円滑な学校生活にはなくてはならない存在な上、卒業後も同窓会の幹事や取りまとめ役として面倒な連絡事をこなす縁の下の力持ちであり、クラス単位ではそれなりの存在感があります。 とくにクラスメイト同士の仲が良い場合、体育祭でクラスT (クラスでお揃いのTシャツ) を作って着るとか、何らかの遠征で点呼や引率役を担うなど、常にクラスの中心に位置する存在となります。 筆者 などはこういうことが苦手なので、担い手の友人らには感謝しかありません。

 マンガやアニメといった創作物で描かれる場合は、真面目な役柄として使われることが多いでしょう。 時代や作品にもよりますが、優等生タイプの男子や女子が選ばれ、眼鏡黒髪ロング、属性的には世話好きで ママツンデレ タイプがよく見られます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2009年9月8日)
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