動画・画像の無断利用は許しません! 「ウォーターマーク」
「ウォーターマーク」(watermark) とは、著作権者が 画像 や動画などに 著作権 の表示として挿入する文字や図案のことです。 本来は紙の表面についた透かし加工・図案 (例えば紙幣の透かしのように光にかざすと見えるようなもの) を指す言葉ですが、一般的によく使われる 「ウォーターマーク」 と云えば、テレビ番組の画面の隅に入った放送局のロゴや番組ロゴ、ネット 上の ウェブサイト などに掲載された写真や イラスト などの隅や中央についた著作権表示文字や権利者のロゴなどでしょう。
ウォーターマーク例 |
こうした使い方は英語で 「Digital on-screen graphic」(DOG) とも呼び、文字通り画面上に表示される画像といった意味となります。
動画や画像にわざわざ 「ウォーターマーク」 を入れる理由
「ウォーターマーク」 を入れる理由はいくつかあります。
一つには、動画や画像の 作者・著作権者が 「この動画や画像の著作権を主張するため」 という点が挙げられます。 著作権法やその運用は、時代や国によって取扱いが微妙に異なりますが、かつてのアメリカなどでは、定められた方法で登録や著作権表示などを行う必要がありました (方式主義)。
現在は国際的な取り決めで著作権表示などを必要としない状態になっていますし、わが国においては著作権表示があろうがなかろうが、著作物を創造した時点で作者に自動的に著作権が発生するのですが (無方式主義)、かつての名残などで作品中に画像や文字で表記をするケースも多くなっています。
もう一つは、誰かが不正に動画や画像の複製などをしていて、それを法的に差し止めたり損害賠償などを請求する際に、「ウォーターマークがあると話が早い」(著作権者のオリジナル証明が容易) という点もあります。 もちろん動画にせよ静止画像にせよ トリミング といった加工をしてウォーターマークを消すことはできますが、消す手間や著作権表示をわざわざする姿勢を示すことによる抑止効果も含め、入っている方が何かと便利でしょう。
知覚可能型と知覚困難型、様々な 「ウォーターマーク」
こうしたマークは動画や画像を見る人にとってはあってもなくても良いもの、場所と大きさによっては邪魔なものだったりもしますから、通常は画面の隅に小さく入れたり、半透明の透かした状態で挿入して目立たないようにします (知覚可能型)。 一方、ほとんどの電子透かしで行われているように、データ上に識別情報などを記録するだけで目に見えないよう工夫したもの (知覚困難型) もあります。
さらに知覚可能型のうち、画像素材などを販売しているサイト (レンポジ/ フリー素材) などでは、見本画像に目立つ形でウォーターマークを入れて不正利用を防止すると共に、適正な手続きや代金支払いをした人にはそれがない状態での画像利用を許諾する使い方もあります。
いかにもフリー素材っぽい画像でウォーターマークが入ったまま利用している場合は、そのほとんどがカンプ段階でのうっかりミスによる外部発表か不正利用でしょうから、仮に著作憲法上認められている引用であっても、こうした画像を使っている印刷物やサイトを引用するのはリスクが大きいでしょう。 また冗談や ネタ として、ウォーターマークがついた状態のものを素材利用の許諾を正規に受けた上であえて最終制作物として利用するのも、ほとんどのフリー素材サービスでは規約違反としています。 区別がつきませんからね。
またウォーターマークの有無にかかわらず、他人の著作物を違法に利用するのは犯罪行為なのでやめましょう。