パクリ犯の言い逃れを許さない! 「著作権トラップ」
「著作権トラップ」(コピーライト・トラップ) とは、著作物の複製・パクリを防ぐために、それと分からないような些細な間違いをあえて入れることです。 有名なのは地図における架空の道路 (トラップストリート (Trap street) や架空の町 (ペーパータウン (Paper town) があります。 これは地図の制作会社が 「現実には存在しない、その地図にしかない道路や町」 を入れておくことで、地図に オリジナル の痕跡を証拠として残し、自社製地図の違法な複製がされた時に相手側の言い逃れを防ぐために行われます。
地図は制作にあたって現地での測量など大変な手間や費用がかかる一方、完成した地図は現実の地形や建築物を写し取ったものであり、原則として誰が作ってもおおむね同じようなものになります。 同じ地図が他社から出た時に、既存地図の複製による盗作なのか、同じように調査した結果作られたものなのかを判別するのは極めて困難でしょう。 そのため、相手の言い訳を証拠で封じて 著作権 を主張するため、地図利用に支障をきたさない範囲で架空の道路などを入れて痕跡を残すわけですね。
コピペが簡単にできてしまうネット時代の著作権トラップ
一方、コンピュータや ネット の時代となると、文章などの コピペ による複製・無断転載を見つけて追及するために、あえて文字列に細工を施す場合もあります。 ただしあからさまな誤字や事実内容と異なる文言を入れると気づかれて修正されたり、その他の 読者 から不備を指摘されたりしますから、見た目では判別不能か著しく困難な形で行います。
代表的なのは不自然にならないように必要のない部分に半角スペースを入れる、長音符 (音引き) の 「ー」 と全角ハイフン 「−」 やマイナス記号 「−」、ダッシュ 「―」 とか、波ダッシュ 「〜」 と全角チルダ 「〜」 などを適当に混ぜる、わざと 表記ゆれ (猫とねことネコなど) を行う、「ぶ」 と 「ぷ」 など、ぱっと見で区別しづらい濁音と半濁音の一部を変えるなどです。
文章などは書き手の特徴がでますし、ある程度の分量の丸パクリならトラップを仕掛けなくても偶然の一致では説明できず、不法複製や盗用が明白に判断できます。 しかしそれは盗む方も分かっていますから、あちこち切り貼りしたり、同じ テーマ で書かれた別の文章と混ぜたり、語尾や云いまわしを変えるなどして発覚 (及び検索エンジンによる同一文章 (重複コンテンツ) であるとの判定) を逃れようとします。
それでもところどころにパクリ元の文章と同じ不自然な半角スペースや長音符の書き間違いなどがあれば、より明瞭な形で根拠を示して追及することもできるでしょう。 これは最終的な裁判による著作権侵害の認定はもちろん、それ以前の当事者同士の話し合いの際の根拠、さらにはネットを通じた告発や 晒し 行為のためにも使われます。
画像や動画のウォーターマークと著作権トラップ
なお文字情報ではなく 画像 などでは、画像の片隅に小さく著作権表示をするとか、画像に描写された対象物にかかる形で薄く文字を入れる、さらに動画の場合はこれらの手法に加え、コマ (フレーム) の一部に目視できないくらい短くそれらの表示を行うとか、画像や動画データに識別情報などを記録するものもあります。 こちらは一般に ウォーターマーク と呼ばれ、著作権トラップとは異なります。
ただし画面隅のウォーターマークなどは トリミング や塗りつぶしなどの画処理で消されることがあるので、画像の重要な部分の一部に間違い探しのような小さな変更を加える場合もあり、こちらは明確な著作権トラップの一部と云えるでしょう。
ちなみにこの同人用語の基礎知識にもあちこちに謎の半角スペースや表記ゆれ、誤字脱字や凡ミスがありますが、この サイト の文章や画像類の引用はもちろん、無断転載もとくに禁じていませんし、むしろ 誰でもウェルカム で転載してください状態なので、おかしな文字列があっても著作権トラップではありません。 単なるミスです (><。)。