チャーミングな目の表情といえば、何はともあれ 「ウインク」
「ウインク」(ウィンク/ Wink) とは、両目の瞼 (まぶた) のうち片方のみを閉じて、片目だけ瞳が見えるよう開いている状態のことです。 日本語では、そのまんまですが 「片瞬き」 とも呼びます。
「目配せ」(目で合図する) の一種となりますが、様々な 「目配せ」 の中でももっとも目立つ目の表情の一つともなっていて、しばしばウインクを向ける相手への愛情や親しみ、強い好意などの現れともなっています。 また 「ちゃんとわかってるよ」 とか、「任せておけって」「了解した」 といったような、茶目っけのある 同意 や了解の意味でもよく使われます。
現実の世界では、よほど打ち解けた相手でなければ行うことはありませんし、一昔前のハリウッド映画におけるお色気シーンなどの影響もあって 「古臭い」 と感じる若い人も多いようですが、「Vサイン」(ピースサイン) などと同様、写真を撮る時にはことさらにおどけて行ってみたり、マンガ や イラスト における キャラ の決めポーズのような形で、しばしば登場する 「表情」 の一つとなります。
様々な 「目配せ」 の中でも、「好意」 を象徴する 「ウインク」
左画像は、ウインクの再現図です。
「ウインクの再現図」
これは再現図です。下のサムネイル画像へマウスオーバーすると、左側に大きな再現図が表示されます。 回線の状態によっては、表示までに少々時間がかかる場合があります。 | ||
チャームポイントとして認識される 「ウインク」
たまにウインクができない人もいます。 できない人やウインクをするのが苦手な人は、人差し指などで瞼を手動で閉じるなんて人もたまにいます。 しかしその仕草も含めて、可愛いなんて評価されるケースがもっぱらとなっていますね。
またイタズラっぽく 舌 を出したり、振り向きざまに一瞬だけウインクするなど、「ウインクをする際の目以外の表情」 も、可愛らしさを増幅する大きな役割を持ちます。
かわいい女の子と道ですれ違う際、目に ゴミ が入って片目をつぶったのを好意と勘違い…などという お約束 の笑い話もありますが、様々な 「目の表情」 のうちでも、もっともキュートで魅力的なのが、このウインクでしょう。
「ウインク」 の語源はドイツ語 「Winken」
「ウインク」 の語源ですが、ドイツ語の 「サインを送る」(手を振る、目配せするなど) という意味の 「Winken」 からきています。 ただし現在使われているような 「ウインク」 の意味 (親しみや愛情を込めて行う) という意味は本来はありませんでした。 あくまで 「合図」「サイン」 だったのですね。
その後、イギリスの作家、チャールズ・ディケンズ (Charles John Huffam Dickens/ 1812年2月7日〜1870年6月9日) が1836年〜1837年にかけて執筆・発表した 「ピクウィック・クラブ」(The Pickwick Papers) という小説中で、こんにちのようなウインクの使い方を行う描写がなされ、それと共に広まったとされています。
初期の映像 作品 に残る 「ウインク」 として非常に有名なものと云えば、フリッツ・ラング (Friedrich Christian Anton "Fritz" Lang/ 1890年12月5日〜1976年8月2日) が1926年に製作、1927年に公開したSF超大作、「メトロポリス」(Metropolis) における、ロボットマリアの 紳士 を誘惑する悪魔的なウインクがお馴染みでしょう。 こうした描写は前後して映画の世界で頻繁に現れ、無声映画時代に動きだけで意図がわかる文字通りの 「サイン」 として、多用されていたようです。
もっとも、それ以前の西洋の伝統的な 絵画 に意味深長なウインクをする婦人像があったりもしますし、日本の奈良県葛城市の当麻寺に所蔵されていた 「いたずら書き」 のある平安時代初期(およそ1,200年前) の木板に、左目だけを閉じ微笑んでいるような烏帽子の男性像があったと報じられてもいます。
「片目をつぶってシグナルを送る」「親愛の情を示す」「何らかの意思表示、寓意」 というのは、何もヨーロッパや近世でのみの話ではなく、昔から、ある程度は普遍的な人の仕草として、自然発生していたのかも知れません。 単なる合図であっても、同意や了解のサインには信頼や愛情が無関係ではないのでしょうし、本当のウインクのルーツ探しは、かなり難しいのかも知れませんね。
10月11日は 「ウインクの日」 …?
ちなみに10月11日は、女子中高生らの 「おまじない」 から端を発した 「ウインクの日」 とされます。 10月10日が目の愛護デーとなっていますが、それと同じように10と11をそれぞれ横倒しにすると、10の位が眉毛、1の位が目で、片目をつぶっているように見えるからだそうです。 ちょっと無理があるような気もしますが…。
なおその 「おまじない」 では、10月11日の朝に、好きな人の名前の文字数分ウインクをすると、その好きな人に会えたり、片思いが成就するとされます (地域や年代によって微妙に違う)。 こちらは1980年代末から90年代頭にかけて、誰が云い始めたのかもわからないまま、広まっているようです。