同人用語の基礎知識

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通話アプリ使ったり、使いながら何かをしたり 「イプ」

 「イプ」 とは、ネット で電話のように音声通話ができるアプリ 「Skype」 を使い、遠く離れた友人や仕事仲間などと会話をすること、あるいは会話をしながら何かを行うことを指す言葉です。 スカイプのイプですね。

 例えば テレワーク で遠隔地にいる同僚と仕事しながら会話したり、友人と 趣味原稿 描きといった作業をすることは 作業イプ、宿題や試験勉強ならば宿題イプ、エロ な話をしたり 見抜き することをエロイプと呼ぶなどです。 中でも単に 「イプする」 といった場合、エロイプ (ボイスチャット (ボイチャ) でチャH (チャット でエッチする) することを意味することが多いかもしれません。

 本来は Skype を使うことが 「イプする」 なのですが、Skype の存在感が格別だったこともあり一般名詞化し、ネットワークゲーム のボイスチャットで会話することをイプと呼んだり、LINE や Discord といった オンライン での無料の音声通話全般で用いられることも多いかもしれません。

電話代がかからない! 格安で架電できる! 通話ソフト (アプリ) の衝撃

 パソコンを使った通話が広く使われるようになる前は、離れた人と会話するためには電話 (固定電話) しかありませんでした。 一応アマチュア無線 (ハム) とか CB無線、パーソナル無線とかもありましたが一般的ではなかったですね。 そもそも電話代わりに使えるほど音質も良くないし、パーソナル無線はたいして遠くまで飛ばないし、車載用の CB無線に至っては違法改造された高出力なものが多く、電波障害を起こして迷惑というか単なる犯罪なものも多かったですし。 この時代に作業中通話をするなどは、ちょっと現実的ではありませんでした。

 その後通信事業に対する様々な規制が緩和され、電話機を自由に選べるようになると1980年代から1990年代にかけて家庭用電話としてコードレスフォンが普及します。 これは本体 (親機) とは別に子機と呼ばれる無線電話機がついたもので、実家住まいの主に若い女性が、自室で延々と友人と長電話するという生活文化が始まります。 それ以前までは居間や玄関に黒電話が一台でしたから、これは大きな変化です。 手で持たなくても使えるハンズフリー機 (手ぶらコードレス機) が登場すると大ヒットし、何かをしながら長電話、というスタイルもこの頃から徐々に一般層に広がります。

 1990年代中頃あたりになると、低価格化した携帯電話が普及します。 こちらはコードレスフォンの子機をそのまま外に持ち出せるような使い方ができるもので、1人1台の時代がくると、携帯を使った作業中の長時間通話が行われるようになります。 ただし当時は固定電話にしろ携帯電話にしろ通話料がとても高く (市内通話で3分10円、遠距離や海外通話となるととんでもない請求額に)、電話で延々雑談しながら作業するなどは、一部の人の間で行われている程度でした。 うっかり市外の友人と長時間の作業通話などしようものなら、親からこっぴどく叱られかねないものでした。

 また同じ1990年代中頃から インターネット が急速に普及、その後 P2P 技術を使ったネット通話サービスとして Skype が登場します (β版2003年、正式リリースは2004年)。 マイクとスピーカー、あるいはヘッドセットをつなげたパソコンが実質無料電話になるこのサービスは、多くの利用者を集め、2000年代の通信に大きな影響を与えるものでした。 画像動画、原稿など、比較的大きなデジタルデータをそのまま相手に送信できるのも大きなメリットでした。

 類似のサービスはいくつかありましたが、Skype の存在感は別格であり、個人の連絡に使われるだけでなく、ビジネス用途としてもよく利用されていましたね。 Skype IDアカウント) は、もう一つの電話番号みたいな扱いでした。 一部の携帯電話にアプリとして搭載されたり、Skype を経由して格安で携帯電話などに架電することもできるようにありました。

スマホやメッセンジャーアプリの普及ですっかり影響力を失うことに

 無料電話や格安電話といった 概念 やサービスは、日本では iPhone3G (2008年) や iPhone3GS (2009年) 発売を経てスマホ (スマートフォン) が普及した後、2011年6月に登場した LINE などによって、一気に必需品や生活インフラの レベル にまで一般化します。

 Skype は当初こそ先行サービスとしての存在感を持っていましたが、ほぼ同じ2011年5月に Microsoft に買収されており、アップデート のたびに使いづらくなっていきました (それ以前から重かったりで避ける傾向もありました)。 強みだった無料や格安の通話も、かけ放題の定額制が始まったり、そもそも メッセージ の送受信が広がり電話による通話自体が避けられる時代となり、活かしきれませんでした。 長時間電話するよりも、短いショートメッセージを大量に送り合うコミュニケーションが人気になりました。

 2020年の新型コロナ感染症に伴うビデオチャット (映像つきの通話アプリ) の本格的な普及が始まると、時代に乗り遅れた Skype は 1996年11月に登場した ICQ(アイシーキュー/ インスタントメッセンジャー) とともに、「昔使ってたなー」 みたいな扱いになってしまっています。 とくにこの時期にブレイクした Zoom は、URL を送るだけで参加でき、アカウントも ログイン もアプリのインストールすらもなく使える点が大きかったのでしょう。 込み入ったプロジェクトをするなら、同じ Microsoft の Teams の方が便利ですし。 新型コロナ禍における、手軽なコミュニケーションアプリを緊急に必要とするタイミングを逸したとも云えます。

 とはいえ、電話代を気にせず何時間もダラダラと友人とおしゃべりしながら作業をするという楽しみは、実質的に Skype が生み出した新しい価値そのものでしょう。 またこれは作業だけでなく、アニメ などを 同時再生 して遠くの友人と一緒に見ているような疑似的な空間を作る、それぞれが自宅でお酒を飲みながら通話をする オンライン飲み などにもつながる新しい生活様式だったと云えます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2017年12月22日)
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