よくわからないけど、自分が生まれる前の時代は楽しそう… 「バブリー」
「バブリー」 とは 「バブル景気っぽい」 という意味の言葉です。 バブル景気とは、泡のように大きく膨らむだけで中身がない狂乱的な好景気、実態のない資産価値上昇と金余り、インフレ、投資ブームなどを指す言葉ですが、日本ではおおむね 1986年 (昭和61年)12月から1991年 (平成3年) 2月までの 51か月間に、土地価格の急騰の形で起こった空前の好景気と金余り、それに伴い発生した様々な象徴的なできごとや社会現象を指す言葉です。
「バブリー」 という言葉自体は、バブル景気真っ最中の時にも 「景気が良い」「金持ちっぽい」「お大尽」 といった意味で使われていましたが、バブルという云い方自体に 「中身がない」「上辺だけのもの」 との揶揄の ニュアンス がありますから、バブリーにも 「見た目だけ」「軽薄」「見栄っ張り」 といった ネガティブ なニュアンスが当時から含まれた言い回しでした。 日常会話などでも使われ、友人がちょっと高そうなブランド品などを持っていると、軽口の形で 「バブリーじゃん」 などと表現することがよくありました。
しかしその後、バブルはあっけなく崩壊。 土地価格は急落し、土地などの資産を担保に貸し付けを行っていた銀行の不良債権問題などを発端に、株価暴落と金融不安が生じます。 以降日本経済は、数年に渡るどん底を迎えたあげく、その後も失われた○年といった低迷を続けることとなります。 それに伴いバブリーという言葉はますます中身のない上辺だけのものだったとの侮蔑の意味が強まることになります。 なおバブル崩壊後の経済状態や、それに伴う就労 環境 の悪化を、一般に氷河期などと呼びます。
祭りの後の寂しさ…バブルを知っている世代と知らない世代の温度差
一方、バブルだろうがそうでなかろうが、不景気よりは好景気の方が何かと明るく感じられることもあり、バブル崩壊後しばらくすると、「過去の狂乱景気」 を誤った見せかけだけの景気だったと反省する一方で、「あの頃は良かった」 との懐かしみを感じる層も多くなっています。
実際には土地価格があまりに高騰したため庶民が住宅を持てないとか、インフレに給料のベースアップが追い付かないなど様々な問題もありました。 またもっぱらバブル現象とも云うべき景気の良い話は都市部が中心で、地方では物価上昇の痛手を受けただけとの状況もあります。 さらに社会人と学生や子供とでも認識に大きな違いがありますし、会社員でも経費が使える大手企業の経営・幹部層と中小零細の末端の従業員とでは温度差がかなりあります。 拝金主義とバカ騒ぎが広がっただけとの意見もあります。
しかし実際のバブル景気の恩恵に浴した世代ではなくとも、テレビやメディアでは景気の良い話がどんどん出てきますし、バブルではなくその前の高度経済成長期を指す書籍名の 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」 も書籍の大ヒットともにメディアで叫ばれ、経済大国日本を誇らしく思い、前向きに物事を感じることもできるでしょう。
生まれた時からずっと不景気…好景気を知らない世代
さらに時代を下り、生まれた時からずっと不景気で、衰退する日本しか知らない若い世代ともなると、「日本の歴史のひとコマ」 として、「バブル期」 や 「バブルっぽさ」 に興味を持ったり素朴に憧れたりケースも増えてきました。 バブル期の半ば伝説化した煌びやかな逸話には様々なものがありますが、氷河期以降に生まれたり物心ついた世代にとっては、「日当5万円でもアルバイトが集まらなかった」「就活は完全売り手市場で企業は学生の歓心を買うため豪華な イベント を行い海外旅行やプレゼントまで配っていた」 などは、「そんな時代に生まれたかった」 との憧れをも喚起するものなのでしょう。
若者の消費が低迷する中、メディアは何かと 若者の○○離れ などと、若者の側に問題があるかのような報道を行いますが、生まれた時からコストカット・リストラ・価格破壊・デフレでは、前向きな消費をしようという意識が生じるはずもありませんし、そもそも無駄遣いするお金もありません。 非難され反省すべきは若者ではなく、バブル期に好景気を 煽る 一方で景気潰しに躍起になり、スローライフだ清貧だなどと声高に叫んでいたメディアの方かも知れません。
もはや伝説的な、1980〜1990年代の 「同人バブル」
なお 「同人バブル」 といった言葉もあります。 これは1980〜1990年代のはじめあたりの、コミケ を始め 同人 の世界全体が急拡大する一方、好景気の空気や 雰囲気 があって超豪華な 同人誌 などが多数発行された煌びやかな時代を懐かしむような意味の言葉です。
実際この頃の有名な 大手サークル の同人誌はハードカバーだのフルカラーだの 箔押し だのの美麗な装丁・製本がなされ、頒布 の価格も2千円だの3千円だの5千円だのそれ以上だの、後の時代から見ると信じられない豪華本がかなりありました。 会場 では万札が飛び交う、サークルスペースにはファンからの花束やプレゼント品、お札を詰め込んだ段ボール箱やポリ袋 (大きなゴミ袋) が並ぶなど、バブル崩壊後と比べると同じコミケとは思えないような世界が広がっていた時期 (長いコミケの歴史からすると、ほんの一瞬ですけれど) があったりもしました。
とくに女性向けの ジャンル はすごかったですね。 サークル の 主催者 もブランド品で身を固めてましたし、相乗り が多かったとはいえ、一部ではタクシーや高級外車のアッシー (死語) が列をなしていたものでした。