同人用語の基礎知識

黙れ下衆!

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ロイエンタール vs ラング、因縁の対決がここから… 「黙れ下衆!」

 「黙れ下衆!」(だまれげす) とは、相手の意見をその人格ごと 下衆 だとして全否定し、聞く耳を持たない、この場から失せろと罵倒する意味の言葉です。 喋り言葉、セリフとしては、ごく普通の日本語にある表現ですが、同人おたく の世界では、アニメキャラクター が喋ったセリフを 元ネタ とし、ある種の おたく用語ネット用語 のような扱いを受ける場合もあります。

 このセリフの元ネタですが、SF小説 (ライトノベル)、及びそれを原作とするアニメなどで非常に高い人気を持つ 「銀河英雄伝説」(銀英伝/ 田中芳樹/ 1982年11月〜) の劇中セリフ、「黙れ下衆!」 からとなっています。

「黙れ下衆!」「今すぐ出て行け! それとも自分の足で出てゆくのは嫌か!」

 このセリフが登場したのはアニメ本編の第64話 「休暇は終わりぬ」 の銀河帝国側の最高幹部会議の場でした。 会議に参加する資格 (上級大将以上) のないままに参加し、さらに元帥同士の議論 (オーベルシュタイン元帥、ミッターマイヤー元帥) に割り込んで発言した内務省国家安全保障局長ハイドリッヒ・ラング (久々にワロタAA でおなじみ) を、オスカー・フォン・ロイエンタール元帥が面罵したものでした。

 この会議では、銀河帝国に降伏した自由惑星同盟の統治で生じた事件について話し合われていました。 その事件とは、同盟の首都星ハイネセンに帝国側高等弁務官として赴任したレンネンカンプ上級大将が、証拠もないままに同盟最高の知将、ヤン・ウェンリー退役元帥を処断しようとして反撃を受け、ヤン一党に拉致され行方不明になっているというものでした。

 このレンネンカンプの行動には、ウド・デイター・フンメル主席補佐官の進言やオーベルシュタインの入れ知恵もあったのですが、そのやり方に 「あえて平時に乱を起こすもの」 と批判的だったレンネンカンプの部下、ラッツェル大佐の訴えにより事情を知った多くの帝国軍幹部は、この事件を 「公平さを欠く誤った行為」 と捉え、ヤンよりむしろ同僚たるレンネンカンプの非を鳴らす状態になっていました。

 オーベルシュタインはこれらの意見に 「レンネンカンプに対して酷だ」 と反論。 レンネンカンプなりに国家の安全のため、国を思う忠誠心ゆえの謀略だったのではないかと擁護。 これに対しミッターマイヤー (司令長官) は、「謀略によって国が立つか! 信義によってこそ国は立つ!」「少なくともそう志向するのでなければ、(自分たちが打倒した、腐敗した) ゴールデンバウム王朝となんら変わらぬ」 と、正論・王道 で反論。 激しい意見の応酬となっていました。

 これに対しラングは、「レンネンカンプ上級大将を任用なさったのは、恐れ多くも皇帝陛下であらせられます。 司令長官閣下、レンネンカンプ閣下を非難なさることは、神聖不可侵なる皇帝陛下の政道に傷をつけることになりますぞ! その辺をどうか、ご考慮頂きたいものですな」 と発言。 ミッターマイヤーに対し、レンネンカンプの行動を批判することはレンネンカンプを高等弁務官に選んだ皇帝ラインハルトの任命責任を問うものだと批判します。

 この意見にミッターマイヤーがいきり立つと、傍らにいたロイエンタールが割って入り、「黙れ下衆!」 とラングを一喝。 その上で、ぎょっとするラングを指さしながら、

「貴様は司令長官の正論を封じるのに、自らの見識ではなく、皇帝陛下の御名を持ってしようというのか。 虎の威を借る狐めが! そもそも貴様は、内務省のいち局長にすぎぬ身でありながら、何の故を持って上級大将以上しか出席を許されぬこの会議に、顔を並べているのか。 あまつさえ、元帥同士の討論に割り込むとは、増長も極まる! いますぐ出て行け! それとも自分の足で出てゆくのは嫌か!」 と、途中で立ち上がりながら痛罵。

 その後オーベルシュタインに促され、ラングは会議から退出しますが、この時にロイエンタールから受けた罵倒を屈辱として強く恨み、その後はこの私怨を元に様々な謀略によって、ロイエンタールを陥れようとするきっかけとなっています。 また逆に、ラングが直接批判したのはミッターマイヤーであり自分ではないのにもかかわらずロイエンタールがここまで激昂したのは、ロイエンタールとミッターマイヤーの深い友誼をあらわすものでもあるのでしょう。

 その後ミッターマイヤーも、自身が犯罪者の汚名を受けるのを覚悟の上で、ロイエンタールを罠に陥れたラングの命を出撃前に奪おうとまでしますし (第94話 「叛逆は英雄の特権」、すんでのところで憲兵総監ケスラー上級大将に説得され止められた)。

「銀河声優伝説」 とも呼ばれるほど、キラ星のごとく人気声優が…

 アニメとしては珍しく、延々と続く会議などの描写が多い 「銀河英雄伝説」 ですが、キラ星のごとく人気大物声優が多数出演し、俗に 「銀河声優伝説」 とも呼ばれる作品だけに、ただのセリフの応酬である会議のシーンも緊張感が漂う、白熱した見せ場のひとつとなっています。

 中でもこの会議のシーンは、その後の物語の方向を決定づける大きな転換点の一つであり、さらにロイエンタール役の若本規夫さんの迫力ある演技などにより、ファン の間では語り草のひとつにあげられる名シーンとなっています。

 こうした経緯もあり、訳の分からない 詭弁 を弄する人間や 掲示板書き込み などに、半分 ネタ として半分 マジレス として、この 「黙れ下衆!」 が登場するようになったのでした。 なお物語中では、容姿も醜く 「小悪党」 として描かれるラングも、登場シーンがさほど多くないにもかかわらず、独特な人気を得ています (とくに ネット界隈 で)。

 ともあれ、こうして同人用語の基礎知識の項目が、また1ページ…

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2003年3月13日)
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