髪の一部に色を差し入れて個性アピール… 「メッシュ」
「メッシュ」(Meche) とは、髪色 においては、頭髪 の一部 (線や房 (筋状の毛束) を他の部位とは異なる 色 で染めることです。 髪全体のうちのほんの一部だけ (例えば線状の房1つだけとか) で行うこともあれば、頭髪全体にいくつも筋状に入れることもあります。 個性をアピールしたり、髪全体に立体感や軽やかな透明感、雰囲気 を与えるために行います。
同じ言葉に、主に金属の網の目を指す メッシュ (Mesh) があります。 日常会話でも網状のものをメッシュと呼びますが、こちらは元々は網の目の細かさ (面積当たりの網の目の数) を指す単位であり、網そのものを指す英語表記 (ネット) とは異なります。 例えば1メッシュなら、1インチ (2.54cm/ 25.4mm) あたりに1つの網目があることを示します。 10メッシュなら10個です。
メッシュ・ウィービング・バレイヤージュ…髪に立体感や軽さを与えたり
髪色のメッシュと似たような意味で使われる言葉にウィービングがあります。 髪の表面から少しずつ毛束を取って、規則的に染めるヘアカラーを指します。 明るい色を入れる場合はハイライト、暗い色の場合はローライトと呼び、メッシュと異なりあくまで規則的な紋様が出るように染めるのが特徴です。
同じく髪の一部を染めるものにバレイヤージュがあります。 こちらも髪全体に細い筋状の色を入れますが、ウィービングのように規則的に細い筋を入れるのではなく、ハケを使ってざっくりと自然な感じに入るのが特徴でしょうか。 この他、筋状の毛束ではなく髪全体の根元から毛先にかけて異なる色を グラデ状 に入れる グラデ髪 や 毛先グラデ があります。
日本の場合、元々若い女性などがオシャレのためにブリーチ (脱色) やヘア・ダイといった2〜3ヶ月は持続する永久染毛を行うといった文化の定着が、比較的最近でした。 それ以前は、いかにも不良やつっぱり、ヤンキーといったアウトローな人たちによる派手派手しいもの (金髪 や 茶髪 など) であり、メッシュもオシャレとか髪に立体感を与えるためというより、目立つためのワンポイントといった入れ方が多かったものです。 またアウトローな人たちの間では男女の区別はさほどなく、例えば男性が金髪のリーゼントで側頭部に赤や青といった色を部分染めで入れるような奇抜なものもありました。
一方、シャンプーですぐに落とせるようなヘアカラーワックス (1dayヘアカラー) やつけ毛 (ウィッグ) の場合は、コンサートやライブといった何らかの イベント に合わせて用いる人がそれなりにいました。 アクセントやワンポイントで入れる小さなメッシュなら、それでも十分だったのですね。 高齢者が 白髪 を黒くする白髪染めはともかく、オシャレのために若い女性が染髪するのには、まだまだ社会的に厳しい目が注がれる時代でした。
こうした傾向は1980年代あたりまで続き、明るいヘアカラーなどは芸能人やファッション関係で働く人、あるいは夜の職業に特有のものとして 認知 されていましたが、1990年代に入り徐々に変化。 とくに1990年代後半からの人気歌手 安室奈美恵さんのスタイルをお手本としたファッションの大流行 (アムラー現象) と、ギャル文化 の登場によって、若者の間でも比較的自由な髪色を楽しむといった状況になってきました。 それに伴い、メッシュやウィービングといったヘアカラーも定着し、女性のみならず男性の間でも都市部の大学生あたりを中心に広がっています。