老人の象徴だったり、クールな若者だったり… 「白髪」
「白髪」 とは、髪の 色 の元であるメラニン色素が欠失し、薄いクリーム色や淡い黄白色、あるいは完全に白くなった毛髪のことです。 色が抜けて光を反射して白く見えるようになるのですね。 一般に毛髪の色は髪を生みだす毛母細胞にメラニン色素が渡されることで生じますが、メラニン色素を合成するメラノサイト (色素形成細胞) が減ったりなくなった状態となります。 なおメラノサイトが正常に働かないタイプもありますが、白髪の場合はあまり多くはないようです。
白髪がどのくらい生じるかは遺伝によるところが多く、若くして白髪が生じる人も少なくありません (いわゆる若白髪)。 しかし一般的には加齢によって生じることが多く、皮膚に生じるしわやたるみなどとともに、老化現象による高齢者の代表的な身体的変化だと 認知 されているでしょう。
また生まれつきメラニン色素が非常に少ないアルビノ(眼皮膚白皮症) によって生じることもあります。 この場合、白ではなく 金髪 や 銀髪 となることもあり、また目の色や 肌色 も合わせて明るい色や白っぽい色になることもあります。 この他、健康状態や栄養状態、とくにストレスと云った心理的な負担によって白髪が生じることも良く知られています。
なお黒髪と白髪が不規則に交じり合った場合、ごま塩頭などと呼んで腐す表現もあります。 一方で頭髪全体がまんべんなく白髪になった場合は美しく上品な 紳士・淑女のたたずまいだとされ、とくに初老から老人にかけての男性の総白髪頭は美称としてロマンスグレーや 灰色髪 と呼ばれ、魅力あるものとされることもあります。
創作物における白髪
白髪は マンガ や アニメ といった創作物の キャラクター においても、高齢者を表す代表的な記号として扱われます。 頭髪の全てが真っ白になる場合もあれば、もみ上げ部分やテンプル部分 (両サイドの耳のあたり) に白髪が入って 黒髪 とのツートンカラーになったり、黒髪全体に何本かの線や房のように筋状 (メッシュ状) に入ることもあります。 あまりに不揃いなものは前述したごま塩頭だと認識されます。 一方、高齢者でひげを生やしていて頭髪もひげも真っ白と云った造形は、長老とか賢者といった特別な意味を持つこともあります。 頭頂部が ハゲ ならお茶の水博士です。
一方、老化現象ではなく、自毛色が元々白と云うキャラもいます。 この場合、銀髪などと同様、クールで理知的な性格が与えられることも多いでしょう。 また白には特別なもの、神聖なものといった ニュアンス が付くことがあるので、白蛇といった動物のアルビノなどと同様、神 の化身といったイメージが付与されたり、逆にそこに悪魔的な冷酷さを込める場合もあります。 一般に悪魔や邪と云えば黒がイメージされますが、もし人間が愚かで邪悪な存在だとするなら、その人間を滅ぼそうとする存在が白で象徴されることもあるのでしょう。
また 「白色」 ではなく 「色がない」 として、無色透明や無垢なイメージから 中性的 (男性でも女性でもない、第二次性徴前の性別がはっきりしない存在) なイメージで扱われることもあります。
「燃え尽きたぜ…真っ白にな…」 ストレスで老け込んだり命を失ったり
過度の心理的ストレスから短期間、あるいはほんの短時間で一気に白髪になるといった表現がされることもあります。 代表的なのはマンガ 「あしたのジョー」 で、作中最後の敵として戦ったバンタム級世界王者 ホセ・メンドーサでしょうか。 当初は王者の貫禄で 主人公 矢吹ジョーを軽くいなしていたものの、倒しても倒しても不屈の闘志で向かってくるジョーに恐怖を感じ、勝負には勝ったものの試合後には一気に老け込み 髪の毛 も真っ白になっていました。 一方のジョーも 「燃え尽きたぜ…真っ白にな…」 との有名なセリフ (モノローグ) と有名なシーンを残して物語を終えています。
現実問題として、せいぜい1時間程度に収まるボクシングの試合時間だけで真っ白になることは考えられませんが、このあまりに衝撃的なシーンは様々な作品に引用され、「これ以上ないほどのストレス」 を表すものとして広く知られるようになっています。