同人用語の基礎知識

中性的

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男女を兼ねるのか、性別そのものがないのか 「中性的」

 「中性的」 あるいは 「中性」 とは、男性と女性の中間のイメージ、男らしさや女らしさがなく、性別がはっきりしないグレーゾーンな個性・特徴のことです。 キャラクター属性 のひとつで、中性キャラや中性的キャラなどと呼びます。

 一般的には第二次性徴前で男性的な特徴がはっきりしない華奢な美少年、あるいは背が高く細身かつ胸が小さめでボーイッシュな女性のイメージが多いでしょう。 そのまま大人に成熟することはネオテニーと呼びます。 男性性を感じさせる筋肉や股間の性器、女性性を感じさせる大きな胸などはなく、細くてスラリとした身体にクールで無口な表情、寡黙 な性格と謎めいた 雰囲気 といった特徴もあります。 清潔さ、淡泊、無感動無表情、薄い 青髪白髪、しかし内には熱いものを秘めている、みたいな造形が多いでしょうか。

 創作物の場合、完全に中性のキャラなどもいますが、おおむね男女どちらかの身体を持っていて、ジェンダー的な性自認のありようはともかく、生物学的には男女どちらかになっている場合が多いようです。 当然ながら 俺っ娘僕女 などとも相性がよく、複合した性格を持つこともあります。

 また 「人間は心身ともに男か女かの明確な性別がある」 との前提に立って、「そのどちらでもない存在」 に妖精といった 人外ファンタジック な特徴を感じ取ったり、動物・生物としての性的なあれこれが存在しないという不自然さから、無色透明でつるつるとしたプラスチックを前にしたような フェチ的 な興奮を覚える人もいます。 また第三者にそれを求めるだけでなく、自らに中性性を求める人も少なくありません。

 とくに思春期を迎えて自分の性に戸惑いや違和感、あるいは嫌悪を覚える人が、しばしば中性的な存在であろうと努力することがあります。 自身の身体に発現した性的特徴を隠そうとしたり、異性のそれを真似る、例えば前述した俺っ娘や僕女をこうした感覚から行う人もいますし、女装に目覚める男性もいます。 世の女性らしさ・男性らしさに関心が持てなかったり拒否感まで覚え、「生物学上は女」 とか 「一応は男です」 みたいに自称して、自らの性に距離を置く人もいます。

同人におけるジェンダーの問題は複雑怪奇

 一方、男の娘 といった属性とは近いようで遠いことが多いような気がします。 男の娘は、中身は男の子だけど見た目は女の子なので、外見から女性と錯誤することはあっても、男女どちらなのか分からないというわけではないからです。 むしろ男なのに女の子に見える部分を際立たせるため、過剰に女性性をアピールする傾向もあります。

 いわゆる 「おかま」 や 「おなべ」、ニューハーフやシーメールなども、自分とは異なる身体的異性へ 「寄せる」 行為なので、性別がないとか中間といった ニュアンス とは別物でしょう。 また男女の身体的特徴の最たるものは性器となりますが、男性器と女性器が両方ついている状態 (両性具有・ふたなり) も、中性キャラとは一線を画すものです。 こちらはあくまで 「両性」 であって、「中性」 ではないということなのでしょう。 複合することもなくはありませんが、そのまま複合させた場合は付与された属性がやや過剰な感じになるような気がします。 男女双方の特徴を持っているか、それともどちらもないかの違いですね。

 性的な魅力は男性のそれにしろ女性のそれにしろ、よほど特殊な 性癖 に対応するものでない限り性別に由来するものだと思いますが、それらを削ぎ落したはずの中性にも、それらとはまた異なる性的魅力があるのは (そう思う人が少なくないからこそ、中性的なキャラの人気があるのでしょうし)、ちょっとおもしろい傾向かもしれません。

 なお第二次性徴を終えて男女の身体的特徴がはっきりした後でも、年齢とともに徐々にそれぞれ身体的の特徴が失われていくことも知られています。 そもそも第二次性徴によって男性性や女性性がはっきりとするのは、子孫を残すための生殖にそれが必要だとされるからで、中高年以降、老人の年代になると、その必要がなくなる部分もあるのでしょう。 おじいちゃん・おばあちゃんなどは (女性の化粧っけがなくなることもあり)、男女の区別がつかない容姿となることはよくあります。 この場合を中性的と呼ぶことはほとんどありませんけれど。

ジェンダーフリー・ジェンダーレスとユニセックス

 なお近年になり、ジェンダー問題が社会的な関心事になることで、男女の性別をどう自認するか、それを社会がどう扱うかなどが大きな話題となっています。 「性別がない」 という意味に誤解されがちな 「ジェンダーフリー」 や 「ジェンダーレス」 などが、中性的という意味で誤って使われるケースも少なくありません。 いずれにも属さない第三の性といった見方がされることもあります。

 ごく大雑把に云えば、ジェンダーフリー (Gender-free) は性役割 (性別に基づく伝統的・固定的な役割分担、男らしさ・女らしさといった規範) をなくして個々人の多様性を尊重しましょう (性別ではなくその人個人の個性を大切に) という意味です。 またジェンダーレス (Genderless) は、男女の区別や境界線そのものをなくしましょうといった考え方となります。 ファッションの世界で云う (Unisex/ 男女両用) も類似の思考ではありますが、こちらは男性も女性もどちらでも着られるシルエットやデザインにするとの意味で、別に男女の役割や垣根をなくすためのものではありません。 ただし結果的にそうなることはあるでしょう。

 いずれにせよ、ここでいう 「中性的」 とは本来は何の関係もないものですが、とはいえ似ていたり接近した 概念 でもあるため混同もされやすいでしょう。 またこれらの政治的・社会的主張をする人たちが、その主張のシンボルとして両性具有や中性的な魅力を好意的に取り扱うケースも少なくなく、このあたりは 解釈 が異なってくることもあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年6月28日)
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