男性同士で愛し合ってるシーンで何となくでてくる 「やおい穴」
「やおい穴」 とは、男性の キャラクター の下半身についているとされる、謎の器官、もしくは性器のことです。 「腐女子穴」「謎穴」 とも呼びます。
同人 の世界における やおい とは、もっぱら女性 読者 向けの “男性同性愛 (いわゆる ホモ や ゲイ)” を扱った 作品ジャンル のことですが (時代を下るごとにそうした傾向が顕著に)、「やおい穴」 はしばしばこうした テーマ を扱った作品の 「愛を確かめ合うシーン」 に登場し (明示的、意図的、もしくは黙示的、結果的を問わず)、その独特の存在を分かりやすく用語化した特異な言葉のひとつとなります。
男性の体の構造が分からない…アナルは不潔!>< とか…
ホモ、男性同性愛の 「夜の営み」 の描写で避けて通れないのが 攻めキャラ のペニスによる 受けキャラ へのアナル挿入です。 しかし人体のデッサンの狂い (プロポーションがおかしい) によりあり得ない位置にアナルがあるかのような描写となったり、そもそもアナル挿入に 「美しさ」 の観点から拒否反応のある作家さんらは、そのものズバリを描写するのではなく、「なんとなくお尻を合わせている」「下半身を重ねている」 などの描写で 「それとなく」 男性同士の求愛やベッドシーンを描いていました。
この場合、必ずしもアナル挿入を指していたわけではなく (若年層で、男性の体の構造を知らない、そもそも男性同性愛者が全てではないにしろアナル挿入などの性行為を行うことを知らない人も多い)、一般的な男女のセックスシーンを念頭に、「漠然とした性行為の演出」 として、そうした表現をする場合がとても多かったのでした。
その後、そうしたデッサンの狂いを揶揄したり、文章表現における 「濡れた」 などのアナルではありえない描写に対し、「肛門ではない、実際の人間の体には存在しない新しい器官があるのではないか?」 との揶揄から 「謎の穴らしきもの」 が パソコン通信 の時代の 腐女子 の 界隈 で ネタ として話題に。 当初はシャレとして、後には一部本気で、登場キャラに 設定 されるようになりました。
後年になると、例えば男性同士が正常位で抱き合って挿入したり、最近では女性器のように興奮すると愛液らしき液体がほとばしったり、さらには
ある意味、ファンタジーホール的な
実際のホモや 薔薇 の同性愛ではありえない描写となっていることで、男性の男性同性愛者にはあまり評判が良くない 「やおい穴」 ですが、例えば女性同性愛の レズ が、男性からみた場合のレズと、女性から見た場合のレズ (百合) とのイメージが大きく隔たっているように、これはもう単純に、「一部の女性から見た男性同性愛のファンタジックな理想の姿」 だと云って良いと思います。 ちなみに男性から見た極端なレズのケースでは、巨大化したクリトリスをペニスのように突き立てるなんて描写もあります。 ある意味これは、「やおい穴」 の対の 概念 でしょう。
腐女子の男性版を 腐男子 などと呼びますが、この 「やおい穴」 を是と見るか非と見るかで、ホモなのか、腐男子なのかの境目がより明瞭に分かるとも云えそうです (まぁ完全な腐女子を自認される方でも、苦手な人は多いようですけど)。
なお、ホモやレズを問わず、同性同士の組み合わせで異性の性器が登場したり、一方もしくは両方のキャラクターが、男女両方の性器を持っているような描写の作品もあります。 この場合は 「ふたなり・両性具有」 などと呼びます。 こちらは 「やおい穴」 などとは全く別の概念となり、実際に存在もしています。