脳みそまで筋肉でできている… 「脳筋」
「脳筋」(のうきん) とは、「脳みそまで筋肉でできている」 といった言い回しの略語で、考えるより先に身体が動くような人、物事を深く考える思考や裏表、建前がないか苦手とし、単純明快・正々堂々を好む人のことです。
合理性よりも 根性 や 精神論、あるいは義理人情を重視し、思慮が浅いという意味で脳筋バカとか単細胞バカと呼んだり、体育会系・熱血漢・ガテン系・パワー系・武闘派・ワイルド派・肉体派・マッチョ・陽キャ、あるいは物理メイン (魔法などを使わず物理攻撃ばかりの キャラクター) と見なされることもあります。
ゲーム においてキャラの パラメータ が知力ではなく武力や体力に著しく偏っている戦士タイプの場合は 「脳筋キャラ」 と呼び、また知力や技術やノウハウではなく力や物量で ゴリ押し するような遊び方 (戦い方) を 「脳筋プレイ」 と呼ぶなど、ゲーム用語としてとても幅広く使われるようになっています。
これといった 元ネタ は見当たりませんが、それ以前から 「筋脳」(きんのう = 筋肉で脳みそができている) という考えが浅い単純バカを侮蔑・揶揄する言い回しが一般にもありましたから、影響があるのかないのか、ゲーム関連の おたく用語 としてもっぱら 「脳筋」 が広がることで、取って代わられた感があります。 基本的には頭を使わない奴だと揶揄する蔑称ではありますが、若者言葉として広がる中で、様々な ニュアンス を持つ言葉となっています。
「ゴリラ」 と 「飼育員」
脳筋の中でもとくに肉体派で戦闘時に接近戦や前衛を担うようなキャラの場合は 「脳筋ゴリラ」 と呼びます。 そこから派生してゲームの世界ではパワー系のキャラや ユニット を単にゴリラと呼ぶこともありますが、さらにそこから転じてパワー系のキャラを 回復 や バフ・デバフ などでサポートする役割のキャラを 「飼育員」 と呼んだりします。 複数のキャラやユニットでパーティーやデッキ、艦隊を組むタイプのゲームの場合、編成・配置の最適解を文字で示す時に 「ゴゴ飼」「ゴ飼ゴ飼ゴ」 などと表現するケースもあります。
対義語は頭脳派や理知的といった言葉になるのでしょうが、完全に対比するような直接的な言葉はありません。 マンガ や アニメ といった創作物のキャラの分類でも使われ、外見はおおむね筋肉隆々の姿で描かれますが、一方で脳みその思考回路を指す言葉でもあるので、ヒョロガリ (ひょろひょろ・ガリガリの細身の体) でも、考え方が前述したようなイケイケ物理系のものなら脳筋キャラとして扱われることも多いでしょう。 必ずしも脳筋 = ゴリラや筋肉だるま、といったわけではありません。
バカな子ほどかわいい…? 愛されがちな脳筋キャラ
脳筋キャラと云えば猪突猛進・猪武者のような扱いですが、一般的に喜怒哀楽が激しく一本気で裏表がないやたらと前向きな性格に描かれがちなため、敵味方といったキャラのポジションによって多少異なるものの、おおむね好意的に受け取られやすい造形になると云えるでしょう。 細かいことが苦手、純情、忠義に厚い、ドジ など、好ましく感じられる 萌え属性 を持っている、あるいは持っているはずだと感じられる点も大きなプラス要素です。
とりわけ陰謀を巡らすような腹黒キャラとの相性は抜群で、ほとんどの場合、知略に勝る腹黒キャラにしてやられるパターンが多いものの、合理的な判断では絶対に出てこない思いつきの奇抜な行動によって張り巡らされた陰謀を力づくで跳ねのけるといった描写もされ、そこに一種のカタルシスを感じる ファン は多いでしょう。
またファンによる 二次創作 においては、とにかく素直で動かしやすいキャラでもあるので、たとえ オリジナル の作品で悪役として描かれ、思慮の浅さから単純な罠や陰謀にかかって自滅するような愚かな描かれ方をしても、そこをコミカルに強調する形で何かと厚遇されがちなのは面白い点です。 カップリング の一方が脳筋、あるいはそれに近いキャラというのはとても良く見かけるパターンです。
なお頭を使わずに力づく・筋肉で問題を解決することは 「脳筋解決」 や 「脳筋回答」 と呼んだりします。 また ネット の 掲示板 などでは、内容をよく見ず反射的に返す レス (返信) を 脊髄反射レス の他、「脳筋レス」 と呼ぶこともあります。 隣接する言い回しにはこのほか、「やはり暴力・・・・!! 暴力は全てを解決する・・・・!!」 などもあります。