現実世界ではドロドロなれど、コメディとしては面白い 「三角関係」
「三角関係」 とは、主にそれぞれが持つ恋愛感情をベースとした３人組をあらわす言葉です。 例えばＡ・Ｂ・Ｃと３人の人物や キャラ がいたとして、ＡとＢがともにＣを好きだ、あるいはＡがＢとＣどちらも好きでそれぞれと片思いを超える恋愛感情を持っている状態などが代表的です。
関わる人数が４人となれば四角関係、５人なら五角関係となりますが、いずれにせよ相思相愛の２人、１対１の恋愛感情が収まりよくもっともありふれた恋愛関係の形だとするなら、三角関係は何かと トラブル が生じやすい、不安定で危ない関係だと云えるかもしれません。
創作物においては、現実世界の三角関係同様、３人のうちの誰かの浮気、明確な裏切りやそれに伴う争いといったドロドロとした人間模様となる場合もありますし、恋心以上恋愛未満の人たちによるちょっと切ないラブストーリー、あるいはラブコメのようなギャグの形になることもあります。
なお 同人 の世界では関係を担うキャラの性格や行動などを一般に 受け と 攻め であらわしますが、１人の受けに対して２人の攻めがいる場合を サンド、受け攻めの区別がないかあっても曖昧・一時的なもので日ごろは仲良し三人組みたいな状態は トリオ と呼びます。 これらはそれぞれ別物ではありますが、３人の人間が愛情にせよ友情にせよ腐れ縁にせよ、つかず離れずで関わり合う形に共通する部分がないはずがなく、実際はほとんど同じような扱いをされることもあります。
「ハラハラドキドキ」 も賞味期限ありかも？ 難しい感情移入
三角関係ものは、最初は恋愛にまつわるドタバタが面白かったりスリリングに感じるケースが多いかもしれません。 さすがに肉体関係が絡むとついていけない人も増えそうですが、誰と誰が正式に交際するかがまだ決まっていない段階では、心の揺れ動きや行き違いによるあれこれ、「どっちを選ぶのか」 にハラハラドキドキとした楽しみも与えてくれるでしょう。
しかしその期間があまりに長く続くと、「誰と正式に付き合うのか決めない優柔不断さ」 にだんだんとイライラも募ってきます。 とくに中心となる人物が２人を両天秤にかけたり一方をキープしているような言動が見られると、そのずる賢さや 自己中 な性格も鼻についてきますし、そのような人物に恋心を持つ他の２人も、人を見る目のない未練たらしい愚かな人物に見えてしまうかも知れません。 逆に１人が２人を追う関係でも厳しいでしょう。
また創作物などを楽しむ人は、作中人物の誰かに 感情移入 したり応援したりといった感情を持っていくものです。 「最後にくっつくのは誰だ」「選ばれるのは誰だ」 だけで延々と話を引っ張りすぎるとストレスも感じられるでしょう。 作者 が明確に 「こっちが本命ですよ」 とそれとなく提示してくれていれば、それに従うにせよ反するにせよ作品と向き合う時の自分のスタンスがはっきりしますが、「どっちつかず」「どうなるか分からない」 だと、極論すれば 「わがままま１人とそれを追うマヌケな２人の物語」 になってしまいます。 いやまぁ、それが三角関係の本質ではあるのでしょうが。
話を続けるために２人からアタックされる１人に絶対成就しない恋愛対象の４人目 （例えば父親とか歴史上の人物とか） を登場させたり、１人を巡って争う２人それぞれに恋心を持つ別の５人目６人目を登場させるといった形にすることもあります。
しかしここまで来ると誠実なのは元々の三角関係を構成する３人以外となり、肝心の三角関係の構成キャラが前述したような 「他人の気持ちに鈍感で、蛇の生殺しをするような身勝手な存在」 にもなります。 ラブコメなどでこうした形で進む作品はいくつかありますが、複雑な恋愛模様を誰かを悪者にすることなく面白くするのは至難の業であり、それができている作者の力量は図抜けてすごいということになります。
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