自分の好みにぴったり合致! 「刺さる」
「刺さる」 とは、おたく や 腐女子 の文脈においては自分の好み・嗜好に合致する好意的な意味で 「心に刺さる」「胸に刺さる」 といった ニュアンス で使われる言葉です。 エロ い キャラクター に対して 「股間に刺さる」「下半身に刺さる」「性癖 に刺さる」 といった使われ方をする場合もあります。 強調表現で 「ぶっ刺さる」「貫通した」 とする場合もあります。
いずれの場合も 普通 の日本語における 「心に響く」「強く感情を揺り動かされる」 といった意味と同じですが、むしろ 「刺さらなかった」(自分にとって特別な存在にならなかった) といった逆の意味で使われることも多いかもしれません。
なお 「刺さる」 という言葉自体は先が尖った物を他の物に突き入れる、突き立てるといった意味なので、心に傷を与える、傷つけるといった ネガティブ な使い方もします。 とくに 「グサリ」 とか 「グサッ」「チクリ」 といった擬音・擬態語を使う場合は、心を傷つけえぐるような意味で使う場合が多いでしょう (ネガティブ言葉の意味の反転はよくあるので、必ずしもそうではありませんが)。 人の心を傷つけるような言葉は ちくちく言葉 と呼んだりもします。
好みの属性が揃っているのに、なぜか刺さらない場合も
人の好みには一定の傾向があり、おたく用語 ではこれを分類したものを 萌え要素 や 萌え属性 などと呼びます。 見た目・容姿における ロリ とか ツインテール、メガネ とか、性格における ツンデレ や ヤンデレ、あるいは シチュエーション やら 制服 やら様々な要素や 属性 があり、それらが自分好みに組み合わさった場合に 「心に刺さる」「性癖に刺さる」 という結果になりがちです。 しかし不思議なもので、それらが絶妙に組み合わさっていても、なぜか心に響かない、刺さらない場合も少なくありません。
これはどうしても受容できない邪魔な属性も入っていてその他の属性を無効化してしまう場合もあれば、自分自身の好みが変化していて以前ほどその属性に心が動かなくなっている場合、あるいは若い人で自分の本当の好みを自分でもまだ把握できておらず、「好きな要素が全て揃っているのにどうして心に刺さらないんだ」 と不思議な気持ちになることもあります。
おたくや腐女子はしばしば 属性名乗り を行いますし、友人らの好みや性癖をある程度は把握したり理解しているものです。 それにぴったりと合致する作品やキャラを見つけると 「これ好きなんじゃない?」 と紹介してくれたり、それが本人も好きな作品やキャラの場合、布教 してくることもあります。
その作品やキャラがいまいちだった場合、「ごめん、なぜか刺さらなかった」(作品の良し悪しではなく単に好みに合わなかっただけ、not for me だっただけ) と答えるのは、相手の好みや見立てを否定せずに角も立たず、「いまいちだった」「ダメだった」 よりは使い勝手のよい言い回しかもしれません。
なおそれまでは 「刺さらなかった」 ような興味対象外の嗜好や性癖が、ある日突然刺さるようになることがあります。 この場合は 「開発 された」「扉が開いた」「道が拓けた」 と呼ぶこともあります。 あるいは目覚めた、覚醒 したという場合もあります。