パズルのように無駄なく美しく組み上げられた物語… 「ウェルメイド」
「ウェルメイド」(well-made) とは、英語で「よくできている」「よく作られている」 といった意味で使われる言葉です。 そこから転じて、演劇や映画、マンガ や アニメ といった 作品 の 物語 が、矛盾・破綻・無駄・違和感もなく美しく精巧に構成されて調和している状態や、見ている最中に面白いのはもちろん、見終わった後に納得感や 「面白かった」 という ポジティブ な余韻が残るような、上質な仕上がりを称賛する言葉としてもよく使われています。 堂々たる 王道 を意味することもあります。
とくに演劇の世界では良く用いられ、「よくできた話」「芝居」 を指すものとして、ウェルメイド・プレイ (巧緻劇) といった云い方がされることもあります。 脚本の構成やストーリー展開、設定 の巧みさ、的確な 伏線 とその 回収、演出の妙などなど、全てにゴールへ向けた一本の筋がすっきり通っていて、構造的かつ論理的に緻密に計算されている作品の スタイル を指す言葉として用いられます。
中でも謎解き要素のあるサスペンス劇などでは、観客らが観劇中に頭に浮かべた疑問や違和感に話が進むごとに的確な回答がことごとく示され、結末・オチ でのどんでん返しの意外性から生じる大きな驚きと同時に強い納得感が得られる仕組みを備えた場合に 「上手い」 と感じられるものでもあります。 無謀なほど広げられた大風呂敷を無理なくきれいに畳んで終わる物語などもそうでしょう。 整った 様式美に対する称賛といっても良いかもしれません。
作り物感はありつつも、それすらねじ伏せる圧倒的な技巧
一方で、パズルのように精緻に組まれた話の流れはいかにも人工的・作為的な作り物感を覚えて 感情移入 を妨げたり白けることもあります。 あまりに 「でき過ぎた話」 に思えたり、どこかに噛みあわない部分が残ると、単なる 予定調和 や辻褄合わせの ご都合主義 に見えてしまうこともあります。 またパズルが一片だけでも欠けたら完成しないように、観客は精緻な物語のパーツひとつひとつを見落とすことがないよう常に集中力を持って観劇に臨まないといけないという緊張を強いるものになる場合もあります。
このあたりは作品あるいは 作者 と観客らとの相性や求めるものの違いといった問題もあるのでしょうが、粗さがしをするような意地悪な見方をされても耐えられるだけの構造的・論理的な美しさや整合性を持つ作品は、やっぱり終わった後に 「いいもん見せてもらった」 という喜びや感動を覚えるものでもあります。 物語や登場人物らに対する感情移入とはまた別の、作品の品質や作者の職人的な技巧そのものに対する メタ な位置から受ける感嘆や称賛ですね。
その他、こだわりのある上質な服や日用品に対する称賛表現としても使われることがあります。





