同人用語の基礎知識

ネカマ

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わたし女だけど、ネットで女のふりする男の人って… 「ネカマ」

 「ネカマ」 とは、「ネットオカマ」 のことです。

 ただし 「オカマ」 が ネット をすると云う意味ではなく、男性でありながら顔の見えないネットの世界ではふざけて女性のふりをし、女言葉で 書き込み などをすることを指します。 性別を偽り女性として登録した会員アカウントなどは、「ネカマアカウント」 とか、誤変換当て字 で 「ネカマ垢」 などと呼んだりします。

 既存の言葉に 「ネット」 を接頭して、ネット世界でそれを行う人を表す言葉はたくさんあります。 例えばネットの世界でだけ威勢の良い人を、「ネット弁慶」「ネット番長」 と呼ぶなどですが、これもそのうちのひとつで、パソコン通信 の時代から 概念 として存在する初期の典型的な ネットスラング となります。

 なお当初は略されることなく、「ネットオカマ」 などと呼ばれていましたが、その後ネットワークゲーム (MO・MMOなどのオンラインゲーム、ネトゲ) の世界から 「ネカマ」 という表現が生まれ、1990年代中ごろから末ごろにかけて、方々で広く使われるようになりました。

なぜ性別を偽るのか

 男性でありながら女性のフリをなぜするのか…と云えば、初期のネットの頃から女性が様々に優遇され、あるいは男性のネット利用者から優しくされるなどの恩恵が受けられるとの理由がひとつあります。 とはいえ純粋にそれらの目的のためだけに性別を偽るケースもそう多くなく、たいていは、その場限りのちょっとした冗談、あるいはシャレのような感覚なのでしょう。

 というのは、初期の 「パソ通」 は入会や会員登録に郵政メールや個人確認 (クレジットカード や銀行口座など) が必須で、アカウント取得の段階から本格的に性別を偽るのはそう簡単ではなく、通常は チャット の時だけ女性に なりきる とか (ただし個人登録 プロフィール を会員情報から見ると男だとバレバレ)、あるいは複数の アカウント を取ったら1つくらいは女性アカウントにするとか (メインアカウントに対して、家族アカウントとして母親や 、妹として登録する、など)、とても気軽な感じが多かったものです。

 これはネトゲの世界でも同じで、とりわけ ゲーム で使う自分の キャラクター に女性キャラを使うと、いつもと同じ男の口調では 「白ける」 などもあり、「キャラになりきる」=「結果的に女性になりきる」 というのが、ゲームの世界ではそれほど奇異なことではないとの、プレイヤー 同士のある程度の共通認識もあります。 テーブルトークRPG などもそうですが、「世界観 やキャラ」 のイメージを壊さないことも遊びの中では大切な要素です。

 まぁ、やりすぎると周囲もドン引きですが…。

「業者」 によるネカマ行為

 もちろんリアル社会でもオカマな男性がネットでそのまま女性になりきるというケースもあるのでしょうが、大半は上記のような 「顔が見えない場所だから面白がってやる」 という、軽い動機だったのだと思います。 一方で、女性のフリをして 「金を稼ごう」 とする業者などによるネカマも多く (私の恥ずかしい写真を売ります…みたいなやつです)、こういうのは職業ネカマ、ネカマ業者などと呼んで区別していました。 悪質なものになると ネットアイドル を自称し、ネットで拾った女性の写真を適当に使って詐欺的な行為を行うような人もいました。

 その後 インターネット の時代となり、「出会い系」 などが流行すると、「女性のフリをして ナンパ 目的の男性ユーザーをからかってやろう」「釣ってやろう」 といったイタズラ目的のユーザーも増え、「ネカマごっこ」「ネカマ遊び」 と云えば、こうしたイタズラを指すケースがむしろ多数派ともなっています。 「ネトゲ」(オンラインゲーム) などで、直結 をからかうなんてのも同じです。

 パソ通の頃と違い、プロバイダへの登録と 掲示板SNS などのコミュニティへの参加、登録は別物ですから、昔に比べたらはるかに簡単に、その場その場で女性を演じることが可能になります。 まぁ実際は、結構バレたりもするんですが…。

「ネトゲ」 の 「なりきりプレイ」 が体に染み付いて…

 ちなみに 筆者 もネトゲは廃人一歩手前までやり込みましたし、基本的に自分が使うゲームキャラは女性キャラが多かったので、語尾設定 を女性風にするなど、結構 「ネカマ」 な感じかも知れません。 面白かったのは、女性キャラを使っている時より、男性キャラをたまに使う時の方が、むしろ女性扱いされてしまうことが多かったことでしょうか。

 男性キャラを使って男口調でしゃべっている時に、いつもは女性キャラばかりなのでついうっかり女言葉が出てしまうことがあり、「あ、間違えた」 などと書き込むと完全に女性に見えてしまうようで、「ひょっとして女性の方ですか…?」 なんて疑われるともう止まりませんw トラブル を避けるためにネット上では男のフリをする女性がとても多いので、いくら 「いや、俺、男だから」 と弁解しても信じてもらえず、読むのに15分はかかるような長文の 電子メール を貰ったこともあります (あと チン凸 とかも)。

 てか、ハンドル が 「うっ!」 って時点で、女はありえないだろ常識的に考えて… (´;ω;`)。

 ちなみの蛇足で、こうした経験がノウハウになったのか、筆者はわりとネトゲなどで相手の性別を当てるのが得意だったりします。 出会いなどは求めていないのでいちいち確認などはしませんが、雑談の話題選びの時に意識したり、ゲームプレイ上の必要に迫られて頻繁に連絡をする場合には、勘ぐられないよう出会いや相手の性別などにまったく興味がないと伝えるなどはあるかも知れません。 ここらの感覚は、分からない人は本当に分からないので、ある意味で女性になりきれるってのも高度なスキルなのかも知れません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2001年8月5日)
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