かわいいあの娘に自分のちんこを見せたい… 「チン凸」
「チン凸」 とは、自分の局部 (ちんちん) を 凸 (とつ) すること、もっぱら男性が女性に対し、SNS やメッセンジャーアプリ、メール その他を通じ、自分の性器や射精時の様子が写った写真などを送り付けることを指します。 チン凸という言葉自体は 電凸 などと同様に ネット の時代になってからのものだと思いますが、行為自体はアナログな時代、いわゆる手紙 (郵政メール) しかない時代からあります。 女性から男性への逆パターンは 「マン凸」 です (後述します)。
直接自分の下半身を見せつけながら女性に近づくといった行為を 「リアルチン凸」 と呼ぶこともありますが、この場合はシンプルに 露出 とかストリーキングのような呼び方をする方が多いでしょう。 またリアルチン凸が自分の身を 晒す 極めてリスクの高い行為であると同時に、自分の性器を見た相手の反応をうかがうといった、分かりやすくある意味で素朴? と思えなくもない犯罪なのに対し、郵便やネットを使ったチン凸は自分の身を隠し相手の反応も想像するだけという卑劣かつ陰湿なものだとも云えるかもしれません。 いずれも性犯罪なのでどちらが良い悪いマシだはありませんが (全部ダメです)、発生件数の多さもあって、後者により厳しい目が向けられがちかも知れません。
ちなみに 筆者 は男でネット上でもそれを明示していますが (ネカマ でもないです)、TRPG や ネトゲ などで女性 キャラ を なりきり で使うことが多く、そのせいでネットでは女性っぽい言い回しをついうっかりしがちなため女性だと疑われ、チン凸を何度か経験しています (メールが多いです)。 別に男というか おっさん なのでチン凸などどうとも思いませんが、送ってきた相手が誰なのかが分からず疑心暗鬼やちょっとした人間不信にはなりました (なんとなく送り主の見当がついた場合は、ネトモ のネトモみたいな間接的なつながりを持つ人が多かったです)。 もし自分が女性であれば、いきなり届くグロテスクなちんこ写真、それをどこの誰が送ってきたかわかならない恐怖は、かなり大きなものとなるでしょう。
こうした行為の背景には、自分の恥ずかしい部位を見せて被虐的な快感を覚える、もしかしたら捕まるかもといったスリルを得たいとの露出癖的な理由の他、自分の性器や射精写真を見せつけることによって相手の目や心を汚したい、間接的・一時的ではあっても相手の感情を独り占めにして押さえつけたいとの支配・征服欲があります。 類似の感情は 痴漢 などにもみられるものでもありますが、痴漢同様に女性側が泣き寝入りしがちなために捕まることはあまりなく、また性的欲求などは依存性や中毒性が高いため、何度も繰り返すようになるのも特徴かも知れません。 被害者が警察に訴え出たところで痴漢などと違いしばしば軽く見られ、まともな捜査が期待できない点もこの種の犯罪の困った点でしょう。 類似の犯罪には性的ないたずら電話などもあります。
かつては女性アイドルや声優といった著名人の活動につきものの犯罪といったイメージもありましたが、一般人・素人 相手のものも昔から存在し、近年はコミュニケーション手段が増えたこともあり、その被害も拡大する傾向にあります。 とくに女性 生主 やユーチューバー (配信者)、インフルエンサー などの被害はしばしば報道などもされ、ほとんど ネタ 扱いされるほどの数と云って良いでしょう。 また一部ではありますが、送る対象が女性ではない場合 (男性から男性へ) もあります。
雑誌の読者交流コーナーで…ネットがない時代の 「チン凸」
学校や職場が同じ近親者に対する嫌がらせはともかく、アナログ時代に赤の他人の女性にチン凸するパターンのもっとも多いものは、雑誌の 「友達募集」 や 「売ります・買います」 といった読者投稿コーナーに掲載された相手に自分のちんこ写真を送り付けるものでしょう。 今では考えられませんが、昭和の時代、若者向け雑誌などでは投稿者の住所氏名をそのまま掲載したコーナーが結構あったんですね。
その後チン凸や不幸の手紙といったイタズラなどの トラブル が生じたため、住所などを掲載せず、編集部経由で手紙を転送する形になりますが、封書一通一通の中身を確認して転送するわけではないことも多く、チン凸が減ることはなかったようです。 筆者は1980年代から90年代にかけて雑誌で仕事をしていましたが、訴えがあったものだけでも類似の行為はそれなりにありました。 編集部で 回収 し、不幸の手紙ともどもまとめてお焚き上げするようなところもありました。
この時代、写真は原則として街のカメラ店を通じて現像所にフィルムを送って現像&紙焼きしてもらうスタイルが主流でした。 その際、性器などが写り込んだ写真は紙焼きが拒否されることがほとんどでしたが、比較的安価にポラロイドカメラ (インスタントカメラ) やフィルムが手に入り、それを使ったものが多かったようです。
一部の若者向け雑誌などでは、友達募集や恋人募集に投稿者本人の顔写真や簡単な プロフィール などが掲載されていましたから、チン凸者はそれを見ながらいつ届くか、本当に届くか、あるいはそれを見た相手の女性がどういった反応をするかを想像し、「見てくれたかな」「見たに違いない」 といった 妄想 によって性的興奮を覚えるみたいな人は少なくなかったのでしょう。
携帯電話とネット・写メの普及でチン凸被害も急増
1990年代中頃から携帯電話が普及し、メール機能の搭載、i-mode の登場とともにネットの利用者も激増。 また2000年代に入ってしばらくするとカメラ付き携帯電話も登場し、いわゆる 写メ が普及することとなります。 それに伴い、チン凸もネットを舞台にしたものが激増します。 この頃、ネットでは ネトア (ネットアイドル) と呼ばれる女性がいましたが、こうした人に自分のちんこ写真を送りつけたり、ネトアが開設した ホームページ の 掲示板 などに、ちんこ写真を貼り付けるといった被害が急増しています。 「ネトアやってるとチンコ 画像 集まるよね」 みたいな状況にもなってしまっています。 モザイクをかけた状態でネットで公開し、チンコ画像品評会をやってる人もいましたし。
掲示板などは 設定 で画像投稿できないようにもできますし、卑猥な文言といったものをキーワードとして弾く設定 (サニタイジング) も広まりますが、一部では今以上にネットの 治安 がよろしくなかった時代、チン凸被害は 「女性がネットでそれとわかる形で、あるいは 顔出し で活動している以上、避けられないもの」 のような異常な状態ともなっています。
前後して mixi、かなり遅れて ツイッター といった SNS が普及すると、主に DM (ダイレクトメール) を使ってチンコ写真を送りつけるといった行為に発展します。 それを嫌って DM の送信可能範囲を制限する人もいますが、例えば コスプレイヤー のように自分のコス写真を撮影した カメコ からの写真送付を受け付ける活動をしている場合、これを完全に防ぐ方法は少ないものです。
また DM を完全に拒否しても、ツイッターなどのターゲット広告を悪用した TL (タイムライン) 表示のチン凸も登場し、その手口は巧妙になっています。 SNS などのターゲット広告は大雑把な 属性 だけでなく、個々人の アカウント や ID で絞ったピンポイントのターゲット設定でもできる上、相手が広告を拒否する手段も限られているため、防ぎようがない点も悪質だと云えるでしょう。
ちなみにターゲット指定とは云え1アカウントだけを対象に広告は流しにくいので、通常はターゲット以外のダミーのアカウントも設定して行います。 このあたりはあまり詳しく書きすぎてもあれなのでここでやめますが、捨てアカ の放置の是非を含め、SNS の 運営側 で対応をするなりしてほしいものです。 いやまぁ、難しいとは思うのですが。
個人的に知る中でとくに最悪だったものは、コスプレイヤーさんの コスプレ の写真に自分のちんこを コラージュ した画像や、コスプレ写真をプリントしてそこに 精液 を ぶっかけ た オナニー の画像を本人に送り付けるケースですかね。 著名コスプレイヤーの場合、単に本人に送り付けるだけでなく、どこぞの アングラ 画像掲示板に貼り付けて利用者らが 共有・拡散 することもあり、単なる性犯罪というより名誉棄損や脅迫も含んだ酷いものも生じています。
リアルチン凸とチン凸の複合パターンも
リアルチン凸とチン凸のハイブリッドのようなチン凸もあります。 パターンとしては、自分の性器を撮影した画像をスマホなどに保存し、それを画面に表示した状態で女性に近づくといったものが多いでしょう。 混雑した電車内などではつい隣の人のスマホの画面などが目に入ったりもしますが、偶然を装って自分のチンコ写真をそれとなく見せるのですね (さらに隙あらば、それを見て驚く女性の顔を 盗撮 したりもする)。 その場で女性が騒いだら痴漢同様に検挙の対象ともなるのでしょうが、「昨日酔っぱらって冗談で撮っただけ」「それを自分のスマホで見てただけ」「むしろそれを覗き見した女の方が悪い」 などと開き直って抗弁されたら、罪として立件するのは難しいかもしれません。
iOS 7 以降の iPhone 同士なら、AirDrop を使って相手の iPhone にこちらの iPhone からちんこ画像を送り込むと云う方法もあります。 知らない人からの写真共有など拒否すればよいだけですが、受信側の AirDrop や Bluetooth の設定によっては共有リクエストまでは行え、1枚目の写真をサムネイルとして表示させることができます。 もしかしたら確認画面でうっかり共有受入れをタップしてしまうかもしれません。 一般に Bluetooth 通信は 「すぐそばにいる機器同士をつなげるもの」 との認識がされていますから (iPhone の Bluetooth はおおむね Class2 (通信距離およそ10メートル) あたり)、被害を受けた女性はそばにいるであろう加害者の影に怯えることにもなります。 加害者はそれを見てまた喜びを感じるのでしょう。
またアナログの時代の特に悪質なものでは、自分のチン凸写真を女性が住む家のポストに直入れしたり、玄関ドアに貼り付けるといった行為もありました。 被害女性からしたらちんこ写真そのものより、そんなものを入れたり貼り付ける異常者が自分の家を知っているというだけで精神を病みかねないほどの恐怖でしょう。
まぁこんなところで 「チン凸はやめましょう」 と云ったところで何の効果もないのでしょうが、相手に不快な思いをさせるだけでなく、捕まれば自分の人生もねじ曲がってしまうのですから、例え冗談半分だったとしても、絶対にやらないようにしましょう。 捕まった場合、わいせつ電磁的記録頒布罪 (刑法175条1項) やストーカー規制法に触れる恐れがあります (1対1の送信が 頒布 にあたるかどうかは様々な見解があります)。
どうしても自分のちんこを人に見せたいなら、そういうお店に行くか、海外のアダルトサイトなどに 投稿 する程度に収めるのが無難です (厳密には日本国内から投稿するのは違法ですが…こういう性的 趣味 を持つ人は少なくないのか、アダルト動画サイトなどでも 「俺のちんこ見て」「オナニーと射精見て」 みたいな動画がたくさんあります)。
なお男性のチン凸同様、女性のマン凸も罪に問われますが、掲示板などに 降臨 し、自分の裸体写真を掲載するなどは、その板の 住民 によっては歓迎され、しばしば 女神 などと称賛されることもあります。 男性配信者や生主、アイドルにまんこ画像を送るといった行為もあるようです。 またいわゆるマン凸には当たらないとは思いますが、男性側からお願いや要求をされて自撮りした画像を送った場合、未成年者なら 児童ポルノ禁止法 で捕まることとなります。 仮に捕まらなくとも、その画像が流出したり リベンジポルノ のような形で拡散される恐れがあるなど、ろくなことがないでしょう。