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リベンジポルノ

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被害者に与える心理的被害は甚大 「リベンジポルノ」

 「リベンジポルノ」(Revenge porn/ 復讐ポルノ) とは、主に男性が別れた元妻や恋人との間で撮影した、公開する予定のなかった個人的な写真、なかでも性的な画像 (裸体や性行為を撮影したもの) を、相手への嫌がらせや腹いせ目的で ネット、とくに 掲示板SNSアップローダー などに 投稿 して公開することです。

 こうした行為自体は個人でカメラなどを持つことができるようになってから散発的に存在しますが、かつては撮影したフィルムの現像やプリント (紙焼き) にカメラ店や現像所といった第三者を通す必要が多かったこともあり、とくに わいせつ な写真などについては有形無形の障害があって数も少なく、あまり表面化もしませんでした。 一部の芸能人やアイドルなどの性的でプライベートな写真の元交際者からの流出などは、ゴシップやスキャンダルとして 「にゃんにゃん写真」 などと呼ばれることもありました。

 その後第三者の手を通さずに撮影などができるビデオカメラが登場すると、単に裸体や性行為を撮影するだけでなく、「ハメ撮り」(セックスしながら行為者 目線 で撮影した動画) とその 「流出もの」 という扱いで表面化するものもでてきました。 被写体がもっぱら 素人 となる流出もの (トイレやラブホテルといった場に設置された隠しカメラによる 盗撮 を含む) は一部のマニアから根強い支持を受け、投稿写真などとともにいかがわしい雑誌類などで (流出ものに似せたフェイクを含め) 見かけるものとなります。

ネットの普及とカメラつき携帯端末の登場

 その後 1990年代後半に インターネット が普及し、さらに 2000年代に入って普及し始めていた携帯電話にカメラつき (写メ) のものが登場すると、ネットの 拡散力 と手軽なカメラの登場で一気に問題が表面化、一部の深刻な人権侵害事件を契機に、「リベンジポルノ」 と名付けられ、社会問題化します。

 またこの言葉が広まる中で、類似行為をその意図に関わらずそう呼ぶような一般名詞化もされます。 本来の意味で云えば元配偶者や交際者による復讐や嫌がらせ目的の写真の 拡散 なのですが、単に素人の裸体や性行為を撮影した画像を アップ すること、それを拡散することなども一部では指すようにもなっています。 これはリベンジポルノという言葉が広がる中でキャッチーな言い回しにもなってしまったこと、この言葉に 下衆 な野次馬 根性 から価値を感じる人が一定数いて、人集めができるからなのでしょう。

 当然の話ですが、プライベートな写真、それも性的な写真をネットにばらまかれるのは当事者にとっては耐えがたい精神的苦痛を覚えるものでしょう。 ひとたびネットで拡散された写真を消す方法は限られますし、いつまでも デジタルタトゥー としてネット上に漂い続け、「知り合いが見るかも」「自分だとバレるのではないか」 と恐怖に怯えることとなります。 場合によっては 顔バレ するだけに留まらず、身バレ して個人が 特定 され実生活にも深刻な被害が生じ、人生を壊してしまうかも知れません。

 こうした行為は既存の法律でも取り締まれるものでしたが、被害の拡大が続く中、アメリカでは2013年から、日本でも2014年から個別の法規制が行われるようになり、うち日本については同年11月18日にいわゆるリベンジポルノ禁止法 (私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律) が衆議院で可決、次いで参議院本会議で全会一致により可決・成立し、その後逮捕者などもでています。

 なおリベンジの意図とは関係なく、それ以前あるいは以外の法律でも、例えば名誉棄損、ストーカー規制法、わいせつ物陳列罪、被写体が未成年の場合は 児童ポルノ禁止法 によっても規制されており、それぞれに懲役刑など重い刑罰が科せられています。

 当たり前の話ですが法律のあるなしに関わらずこのような行為は人間として最悪のものですし、自分が加害者にならないようにするのは当然として、被害者にもなりかねない裸体や性行為中の撮影などは断るようにすべきでしょう。 交際中などは、好きな相手の願いならと受け入れたくなったりもするけれど、別れた後にずっと不安を抱えて生きていくことになってしまいます。 一度撮影されてしまったら、たとえ相手がそれを消したといっても確認するのは不可能に近いです (撮影したその場で携帯やスマホを叩き壊したとしても、クラウド やその ミラー のほか、様々な方法で端末の外に保存されている場合もあります)。

男性が被害者となるリベンジポルノ

 女性に比べると男性が被害者となるリベンジポルノ事件は極めて少なく、また発覚した場合でも写真流出に対する苦痛を女性のそれと同等とする社会通念上の合意が得られないことも多いでしょう。 その被害はしばしば軽く見られ、場合によっては加害者であるリベンジした女性側を擁護する意見の方が多くなるケースすらあります。

 男性が被害者となる場合、単なる写真よりも、性行為前後の猫なで声の会話を録音した音声データとか、メール やメッセンジャーアプリで送信した相手へのエッチな文章やそのやり取りの流出・拡散の方が、与える ダメージ が大きくなるかもしれません。 例えば LINE で 「今日は○○ちゃんとエッチしたいな」「○○ちゃんの◇◇を▽▽しちゃうぞ」 みたいな文章やメッセージです。 さらにその女性と不倫や愛人の関係にあるとか大きな 年の差 があったりすると、その気持ち悪さから強烈な嫌悪や嘲笑を受ける結果ともなるでしょう。

 相手が未成年だったり一方的なセクハラ・パワハラのような状態ならともかく、大人同士の合意の上での関係であれば、どう考えても交際相手が送ってきたメールや LINE を流出させた女性の方にこそ大きな問題があります。 しかし流出させられた被害者である男性が政治家や大物芸能人といった権力を持つ人物の場合、女性に対する何らかの優位性や金銭の授受、圧力も感じられますし、リベンジポルノというよりは単なる面白ゴシップのような扱いで大手メディアでも取り扱われてあざけりを受け、その被害は裸体写真をバラまかれた女性と比べてもさほど小さいものではないでしょう。

 女性から男性へのセクハラ事件の扱いなどもそうですが、男女平等の意味でも人同士の信頼の意味でも、恋人間の秘め事を吹聴したり垂れ流す人を評価するようなことはしないようにしたいものです。

創作物におけるリベンジポルノ

 エロマンガ などでは、元々 作内撮影 や、それに伴う脅し (写真をバラまかれたくなかったら言うことをきけ) などが存在し、本来の意味のリベンジポルノを扱った作品はあまりありません。 また 露出癖SM におけるマゾを 属性 に持つキャラが、羞恥や いじめ に卑屈な喜びを覚えると云った形で、撮影やその画像をネットにアップ、共有 することを 露悪的 なプレイとして描いている場合もあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2012年8月21日)
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