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作内撮影

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恥ずかしい写真を撮ったりネットにアップされたり… 「作内撮影」

 「作内撮影」 とは、主に 18禁エロマンガ やAV (アダルトビデオ) の コンテンツ において、受け側 (主に女性) の裸体や性行為をしている姿、アヘ顔 などを、攻め側 (主に男性) がカメラや携帯電話、スマホ (スマートフォン) などで撮影することです。 「劇中撮影」 と呼ぶこともあります。

典型的な作中撮影の表現 (三瀬多賀り子)
典型的な作中撮影の表現 (三瀬多賀り子

 マンガはともかくAVなどの場合、画面に裸体や性行為が映し出されている以上、それを撮影しているカメラがすでに回っているわけですが、撮影した画面内にもわざわざ別のカメラを写り込ませ、「撮影している」 というのを強く強調するのが特徴となります。 場合によっては撮影する人は1人ではなく複数、カメラやスマホも1台ではなく複数となる場合もあります。

 なお創作物ではなく実際にそうした行為を行う場合は 「ハメ撮り」 と呼ぶこともありますが、概念 はだいぶ異なります (もっぱら性行為の当事者が、その人の目線となる形でカメラを向けて撮るもの、すなわち 「ハメながら撮る」 もの)。

 またそうした写真や動画を悪意を持って ネット拡散 することは 「リベンジポルノ」 と呼びます。 こちらも言葉として直接的な関係が薄い ニュアンス の表現ですが、全くの無関係という訳ではありません。

 こうした傾向の元祖は、いわゆるストリップ劇場のポラ撮影 (撮影した写真がその場で現像されて見られるポラロイドカメラ (インスタントカメラ) による撮影) ということになるのでしょう。

 なおエッチなもの以外では、リアリティやライブ感を演出しドキュメンタリーやノンフィクション感を出すために、主に戦争や歴史的大事件、災害や事故、怪獣などを扱うパニックもの、特撮撮影などでも見られます。 ニュースキャスターのテレビ中継の撮影画面とか、個人のビデオカメラによる撮影画面をカメラの各種表示をつけたまま視覚効果として用いるものです。

 類似のものとして、レンズ表現があります。 こちらは撮影画面中の各種表示などはないものの、人間の目ではありえないレンズ特有の画面効果を施してリアリティやドキュメンタリー感を演出するもので、例えば画面に水滴が付く、光源に向かってフレア効果を与える、画面が魚眼レンズ風に丸く歪む、画面が揺れるなどです。 これらは新聞紙が輪転機で 印刷 されるシーンとか、家電量販店に並んだテレビに同じ映像が表示される、画面に時刻や場所、外国語の翻訳字幕などがテロップ表示されるなどなど、手法はともかく意図は近いものがあります。 「本物っぽさ」 をどう画面効果や演出で実現するかというわけですね。

かつては素人がエッチな写真を撮影&鑑賞するのはほぼ無理でした

 ちなみに銀塩フィルムや現像・紙焼き (プリント) を必要とせず写真が撮れる携帯電話やデジカメが登場する以前は、女性のヌードでも局部が写るなどの わいせつ物 となる写真は、撮影しても現像できない (現像所が受け付けない、没収廃棄される) 場合がほとんどでした。 自分で暗室が用意できて現像や紙焼きができるような カメコ ならともかく、素人 が手軽に自分の撮ったわいせつ写真を手元に持つのは、ポラロイド写真 (インスタント写真) を除き、ほとんど無理でした (現像に出せないだけで撮影自体はできる)。

 当時は個人経営の写真館やカメラ店があちこちにあり、そこの店主と気脈を通じるとか (何らかの地域密着型の写真同好会とかがあったり)、読者投稿雑誌に現像前のフィルムを 投稿 の形で送って、掲載や実費手数料などと引き換えに違法性のないものを返送してもらうみたいな話もありました。 撮影済みのまま現像にも出せず、封印されたフィルムもたくさんあった事でしょう。

 その後1980年代後半に個人向けの比較的安価なビデオカメラが登場し急速に普及、動画での撮影は写真屋さんや現像所などの第三者を挟まなくても個人での観賞が可能になります。 しかしスチル写真については2000年代はじめのカメラ付き携帯電話の登場 (2000年11月) と普及まで待つことになり、先んじて登場し普及したビデオが素人の自作エロ鑑賞をしばらく担うことになります。 ちなみにデジカメは1990年代末に発売されていましたが、ある程度の画質で撮影できる機材はプロユースの高額なもので、個人が買えるようなものではありませんでした。 2000年以降は徐々に廉価となり、個人向けのコンパクトデジタルカメラ (コンデジ) なども登場。 フィルムカメラの出荷台数を超えて本格的なデジタル写真時代にシフトしたのは 2004年です。

 なお当時は J-フォン (現ソフトバンク) の 電子メール による画像送受信サービスとして登場した 「写メール (写メ)」 が、メール送受信の有無を問わず 「カメラ付き携帯で写真を撮ること」 の代名詞のように使われていました。 この頃のエロマンガなどでは、「写メしちゃだめぇ」「写メ消して〜」 みたいなセリフがしばしば出てきます。

 ちなみに 健全 かつメジャーな作品で作中撮影がしばしば登場するものに、「魔女っ子メグちゃん」(1974年) の 主人公 神崎メグにイタズラをしかけてはカメラ撮影を試みる神崎ラビ (メグが人間界で修行するために家族となった神崎家の長男、メグの弟) の存在があります。 第一話からメグの寝起きのネグリジェ姿を撮影しようとする、パンチラ を撮影しようとするなど、なかなかの活躍を見せます。 というかメグちゃんはエッチなシーンがかなりあって子供のころはドキドキしながら見ていたものです。 また 「カードキャプターさくら」(1996年) に登場し、主人公木之本桜をビデオカメラで撮影しまくる大道寺知世あたりもおなじみでしょうか。

なぜ作品中の 「撮影行為」 で興奮するのか

 女性が一般には撮影されたくないであろう裸体や性行為を撮影することに興奮する理由は様々あります。 男性であれば一度くらいは自分でAVを撮影してみたい…と思う人も少なくないでしょうし、被写体となる女性が美人だったり若かったりすると、そうした女性と性行為をしたという記録を、自身の輝かしい思い出として残したいと思う人もいるのかもしれません。 これらの写真は被写体が著名人だったりした場合、時として流出してスキャンダルにもなりましたが、「にゃんにゃん写真」(にゃんにゃん=性行為の隠語) と呼ばれていました。

 また性行為や裸体の撮影まではいかないものの (常識的に考えて、喜んで撮影に応じる女性はまずいません)、事後の恋人の寝顔を撮るなどは、事の是非はともかくわりと行っている人はいたでしょう。 これらは熱々の恋愛中ならば微笑ましい2人の思い出の写真なのでしょうが、別れた場合には女性側のみにかなり大きなリスクを背負わせるものになるかも知れません。 ともあれ、撮影願望を持つ男性の夢をほんのちょっとだけ叶えるのがこうした ジャンル が持つ魅力の一部です。

 一方、こうした描写を求める人の多数派と思われるのは、M (マゾ) 的かつ 露出願望 的な嗜好を持つ男性が被写体となって撮影される女性に 感情移入・自己投影をして 「あられもない姿を記録される恥ずかしさ、羞恥・恥辱」 に被虐的な快感を覚えるケースでしょう。 この場合、「恥ずかしい姿を記録される」 と同時に、ネットにばらまかれて多くの人に見られるかもしれない恥ずかしさと恐れ、社会的破滅・人生終了に向かうスリル、あるいはそれを ネタ に脅されて、相手のいいなりになるしかない状態へと追いやられる屈辱感も、自虐的 で卑屈な興奮を掻き立てる 要素 となるでしょう。

 場合によっては被写体個人が第三者から 特定 できる 顔出し制服姿、あるいは 生徒手帳 や免許証といった身分証明書を携えた状態での撮影として、さらに被虐的な感情を強く喚起するような演出もあります。 その際、ピースサインや笑顔、ウインク といった記念写真などでよく見られる明るいポーズや表情を被写体である女性に行わせたり、体に卑猥な言葉や性行為の回数をあらわす 正の字 などを 便所の落書き として書き入れる場合もあります。

「撮影行為」 を予感させるシチュエーションだけでも興奮できる場合も

 なおマンガやAVなどにおける描写では、コマや画面の中にカメラやスマホが写り込むだけでなく、カメラやスマホのファインダー画面やライブビュー画面をそのまま描写する場合もあります。 この場合はカメラのファインダー内表示によく見られるピント合わせ用のスリットやフレーム、F値、撮影モード、バッテリー残量といった各種表示や、ビデオなら赤い 「●REC」(録画中) の表示や撮影経過時間 (タイムライン) などを入れる場合もあります。

 またアダルト系の投稿雑誌に掲載された誌面を描いたり、LINE や ツイッター などへの画像や動画の送信・投稿・掲載画面を使ったり、Pornhub や XVIDEOS などの著名なアダルト専門の 動画サイト の投稿画面や再生画面を使う場合もあります。 いずれも多くの人に恥ずかしい姿を見られてしまう、写真や動画を 共有 されてずっと残されてしまう、さらにそれを見た男性に夜の おかず にされたり、脅されて卑劣な性行為を受け入れざるを得ない立場に追いやられると云った被虐願望を叶える描写となります。

 さらに実際に性行為や撮影行為をしなくても、その予兆が感じられる演出、例えば半裸もしくは裸体の登場人物の傍らに 「撮影OK・ネット投稿OK」 といった看板や掲示物を置く、カメコに取り囲まれて頬を赤らめるなどの シチュエーション だけでも興奮できる人も結構います。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年2月21日)
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