一度出したらもう引っ込められない… 「顔出し」
「顔出し」 とは、自分の顔が映った写真や動画などをメディアや ネット などで公開することです。 顔出しできる場合は 「顔出しOK」、ダメな場合は 「顔出しNG」 などと呼びます。 あまり日常会話などで使われる言葉ではありませんが、ちょっとした記念写真などをネットに アップ する際には、顔を出せるか出せないかで使うこともあるでしょう。
元々この言葉は、新聞や雑誌、テレビと云ったメディアにおいて、著名人ではない 一般人 が証言なりインタビューなり取材を受けた際に、誌面などに顔や名前を出してよいかどうかの確認で使われるような言葉や 概念 でした。 また一般には実名や身元をつまびらかにしたくないもの、例えば 成人向け の雑誌や ビデオ (アダルトビデオ)、DVD などに出演する女性のうち、一般人や 素人 とされる人たちに対して使われるケースが多かったでしょう。 この場合、表紙 やパッケージには 黒目線 やモザイクなどによる顔消しが入っており、購入後に初めて顔出しの 画像 や映像が見られると云った工夫がされていたものもあります。
1990年代中頃あたりから パソ通、ついで インターネット が普及し始めると、それまでは出版社などのメディアがほぼ独占的に行っていた不特定多数への情報公開を一般人でも気軽に行えるようになります。 それに伴い顔出しという言葉も、日常の言葉に変化したと云っても良いかもしれません。 とりわけカメラ付き携帯電話が登場し、いわゆる 写メール が流行すると、その傾向は拍車がかかることとなりました。
隠すつもりだったのに、うっかり顔が出てしまう場合は…
なお顔出しするつもりがなかったのに本人の意に反して顔が出てしまうことを 顔バレ、それによって身元が 特定 されてしまうような状態を 身バレ と呼ぶこともあります。 その写真なり動画なりが本人の手によるものだったり合意の上で撮影されたものであっても、隠したかった顔が出てしまうのは大きな ダメージ を負いかねないものでしょう。 さらには 盗撮 や リベンジポルノ のように、本人が預かり知らないところで撮影されたり 拡散 されたものの場合、精神的苦痛は大きく、深刻な人権侵害を生じるものとなります。
顔バレした本人やその近親者はもちろん、全くの見ず知らずの他人のものであっても、本人が意図していないであろう顔バレ画像や映像を 投稿 したり拡散するのは避けるべきでしょう。 それは名誉棄損など法的に問題のある行為であるだけでなく、被写体となった人物の人生を壊すことにもつながるからです。
このあたりは日本人の リテラシー はかなり進んでいて、例えば街中の撮影で単なる通行人の顔をいちいちモザイクで隠すなど、面倒な作業をきちんと行っている人がネットでは多い印象です。 筆者 もネットで公開する写真や動画についてはなるべく他人が写り込まないようにする、どうしてもフレームに入ったらモザイクで消すなどはやっていますが、正直これはこれで街中のスナップ写真として面白くない写真になってしまうなと思うこともあります。 街や時代の空気はそこを行きかう人も込みでのものと思うので、ゴーストタウンのように人や顔が写らない街の写真にはあまり意味がないようにも感じますし (ちなみに筆者は自分の顔が通行人の一人として写り込むことなど、別に気にしません)。
ただまぁ、世の中がそういうルールで動いているなら、それはそれで仕方ないなとは思っていますが、別にちょっとくらい顔がネットに出たくらいで大騒ぎするのもどうなのよとは思ってしまいます。