汚い公衆便所には落書きがお似合い…的なあれ
「便所の落書き」 とは、ネット の 掲示板 や チャット への 書き込み (後述)、もしくは女性 (もしくは男性) の顔や体に卑猥な言葉 (「売春婦」 とか 「メス豚」 とか 「痴女」「オマンコ」「ヤリマン」「性奴隷」「肉便器」とか、英語なら 「Fuck me」(私を犯して)」 など) を、マジックなどで落書きし、恥辱を与えることです。 東京都のマーク (東京都紋章) に似た、女性器のマークを額などに大きく描く場合もあります (右カーブ、左カーブ、真ん中通ってストライク、応援団がチャチャチャってやつですね)。
性的にふしだらな女性を俗に 公衆便所 などと呼びますが、駅や街の公衆トイレのボックス内にある卑猥な落書きが転じて使われる言葉です。 また 「ボディペインティング」 などとも呼びます。 作品などによっては、家畜扱いして焼印を入れたり、昔の罪人のように刺青で卑猥な言葉を入れるような描写がされているものもあります。 この場合は 「奴隷刻印」「屈辱の印」 などと呼ばれたりもします。
女性などの容姿を醜く汚すことによる加虐趣味の一種
これら 「便所の落書き」 は、ある種の 言葉責め であり、「鼻フック」 のように女性の姿を辱め醜く汚したり、女性を人間として見ないで、単なる玩具のようにみなすことで加虐 趣味 を満足させるような SM 的なプレイになります。 マンガ やアダルトビデオの世界でも、言葉そのものに強い エロ のイメージがありますので、効果的な演出となっているようです。 女性の尊厳を踏みにじり、精神的にも虐げられる様子をみて興奮する男性も多いようで、それなりの 需要 があるんでしょうか。
なおこの種のプレイは海外でもよく見られ、前出した 「Fuck me」 のほか、「Bitch」(ビッチ/ 性的にふしだらな女性をあらわすスラング) などといった語句を、女性の顔や胸にマジックで書いたり、乳首や性器の周りにその場所を強調するようないたずら書き (局部を○で囲ったり、矢印で指し示したり) をしたりします。
羽子板を使った羽根つきの、顔に墨との関係性
お正月の羽根つきなどで、失敗して負けると筆で顔に墨を塗り、○や×といったいたずら書きを 罰ゲーム として書き入れる遊び方があります。 元々は罰ゲームではなく、無病息災を願って行う羽根つきが途切れた際に、羽を落としてしまった相手の健康を願う厄除けとしての墨塗りだったようですが、ここでいう便所の落書きとこれらとの類似性は不明で、どのような影響があったのかもわかりません。
シンプルに便所の落書きを便所扱いしている女性に書いたという流れだとは思いますが、日本人ならば羽根つきで顔に墨は誰でも知っているでしょうし、女体への落書きは羽根つきのそれと同様、しばしば性行為の最中に リアルタイム で行われるものです。 何らかの影響があったとしてもとくに意外性はない感じです。
「ろくでもないもの」 の比喩として 「ネットの書き込み」 を指す言葉に
ちなみに 「便所の落書き」 ってのは、ネットの書き込みとかエロ同人誌とか、ネットや同人に興味のない…むしろ嫌悪感を覚えている人たちからは、しばしば最上級の罵倒表現として使われる表現ですね。 とりわけネットの書き込みを 「便所の落書き」 と表現するのは、パソコン通信 の時代から、かなりポピュラーとなっています。
著名人の発したネット 界隈 でよく知られているところでは、アニメ 「新世紀エヴァンゲリオン」 の庵野秀明氏がパソコン通信の書き込みを 「便所の落書き」 と評したと伝わったり、政治的フォーラムの場で論破されて 「ネットなど便所の落書きだ」 と評した筑紫哲也氏、あるいは市民ジャーナリズムサイト 「OhmyNews」 の初代編集長となった鳥越俊太郎氏が、それと対比させる形で掲示板 2ちゃんねる を、「便所の落書き」 と評したケースなどがあります。
まぁ、「便所の落書き」 という 「レッテル」 を貼れば、無価値なものとして反論する必要もなくなりますから、一方的な 「勝利宣言」 の言葉として便利なんでしょうね。