ジャンルとして、言葉として、様々に使われる 「性奴隷」
「性奴隷」 とは、自由を奪われ、もっぱら性的な目的で使役される 奴隷 のことです。
奴隷とは、他人の所有物として扱われ、所有者の一方的な命令によって労働や様々な苦役、役割を押し付けられる人を指しますが、性奴隷の場合、所有者 (主人) に対して肉体で奉仕する、セックスをする奴隷ということになります。 転じて、誰の性行為でも受け入れる人・受け入れざるを得ない人を、侮蔑として性奴隷と呼ぶ場合もあります。
ほぼ同じ意味の言葉として 「肉奴隷」 がありますが、「性的奴隷」 と呼ぶ場合は、ニュアンス が変わります (後述します)。 また 「性奴隷」 ではなく 「性の奴隷」 と表現する場合は、性行為を強要されるのではなく、性行為に囚われ性行為なしでは生きていけないような状態を指します。 ただし性奴隷の立場に置かれる中で、精神的に追い詰められたり、あるいは薬物等の使用によってそうした状態に陥らされている場合もあり、必ずしも反対の意味になるわけではありません。
中世や異世界もの、エロ作品にありがちな性奴隷
奴隷制が存在するという 設定 の中世や異世界、ファンタジー ものの 作品、あるいは 18禁 なエロ作品には、しばしばこの 「性奴隷」 が登場します。 その設定や描写にはいくつかのパターンがあり、例えば日中は一般的な奴隷と同様に労働に従事させて夜になると主人の性行為の相手をさせられるような、いわば兼業的なパターンと、性行為のみに従事させられる専業的なパターンの2つが代表的でしょう。 また当初は一般的な奴隷だったものが、途中から性奴隷の役割を担わされる場合もあります。
こうした境遇にいる人は、歴史上にも現代にあっても数多くの実例が存在します。 古くは戦争の捕虜として負けた国の美女などが連れ去られるなどが代表的ですが、貧困や借金によって親や本人の意思で身売りされたり、言葉巧みに騙されて連れ去られる、誘拐される、薬物などで 縛り 付けるなど様々で、多くの場合、本人の意に反してしばしば不特定多数から性行為を強要されます。 創作物においてもこうした状況を性奴隷の設定として持つ場合もありますが、実際に キャラクター なりが性行為を強要されるところまで 物語 が進み性行為を描写するのか、その寸前で救出されて事なきを得るかで、作品中の性奴隷の扱い方にも大きな温度差があります。
また奴隷は本人の意思に反して苦役や役割を押し付けることですが (本人が自主的に本人の意思でそう決断せざるを得ない状況に追い込むケースも含む)、いつでもどこでも、相手がだれであっても性行為を受け入れる状態を、単に比喩的表現として性奴隷状態だとする場合もあります。
こうした シチュエーション や、そもそも言葉そのものが エロ の強いインパクトを持っていますので、アダルトな コンテンツ においてもよく使われ、類似の言葉として 「公衆便所」「肉便器」「肉オナホ」「セックスドール」「精液玩具」 などと同等の言葉として扱われます。 似たような言葉として 「サセ子」「ヤリマン」「ビッチ」「痴女」 などもありますが、シチュエーションや前提条件によってはニュアンスがかなり変わります。
「性奴隷」 と 「性的奴隷」
なお 「性的奴隷」 と呼ぶ場合もあります。 意味はほとんど同じですが、ことさらに 「性的奴隷」(Sex Slave/ Sex Slavery) と呼ぶ場合は、創作物の世界の話ではなく、「人道に対する罪」 として現実世界の人権問題を扱う際の言葉として認識されるケースが多いでしょう。
この場合、強制的な売春や戦時性暴力 (組織的強姦)、人身売買や家庭内レイプ (配偶者からの性的 DV (ドメスティックバイオレンス) といった、もっぱら女性に対する性的人権侵害を指す用語だと云って良く、1979年にペンシルバニア州立大学のキャサリン・バリー (Kathleen L. Barry) 教授が著書 「Female Sexual Slavery」(女性奴隷) を出版し、これを発端の一つとして欧米を中心に性的奴隷撲滅運動が広がる中で一般化した用語となっています。
なおセックスなど直接的で実際の性行為を伴わない形での性的奴隷 (奴隷的な性搾取) も存在します。 ネット が普及し誰でも写真などの 画像 が 共有 できるようになったことから、SNS などで未成年者をだまして わいせつ な写真などを撮影させて送らせ、それを公表すると脅してさらにわいせつな写真を送るよう強制するような事件です。
こうして送られてきた画像は 児童ポルノ などの愛好家同士でやり取りしたり、有料制のアダルトサイトなどで配布されたりします。 こうしたものは 「デジタル性犯罪」 の他、規模が大きく社会問題化するようなケースでは、とくに 「デジタル性的奴隷」 と呼ばれることもあります。