フリーのデータやソフトの書庫にだいたい付いてた 「リドミ」
「リードミー」(Readme) とは、「読んでください」 という意味の言葉ですが、おたく の世界では、何らかの制作物を配布する際に、「最初にお読みください」「利用規約」「注意事項」 といった意味を込めて使われる言葉です。 単に 「ドキュメント」 と呼んだり、リードミーを略して 「リドミ」 や 「りどみ」 と呼ぶこともあります。
「リドミ」 でもっともありふれたものでは、例えばフリーウェアソフトや 画像 などを ネット や フロッピー などで配布する際に、テキストファイル形式 (拡張子は .doc か .txt) で LHA や ZIP といった圧縮書庫に同梱・添付した文書が代表的です。 内容的には配布するソフトやデータ類の名前・作者・バージョン名といった基礎的な情報や、ソフトならインストールや起動方式、画像なら閲覧方法などが記されています。 また転載の可否や条件、免責事項、連絡先などが記される場合もあります。 これらをひとまとめにしたものはヘッダと呼ぶこともあり、おおむねリードミー文書の冒頭部分にまとめられたりします。
また ホームページ (ウェブサイト) のトップページやコミュニティ系サービスにおける アカウント の プロフィール欄 などに利用規約などを記したもの (極端な場合は プロフ必読) も、同じくリードミーと呼ぶこともあります。
ソフトやデータ類を制作し、ネットでライブラリに登録して配布した人なら一度くらいは作ったことがあるものでしょうし、それらを ダウンロード した人も見かけたことがあるものでしょう。
しかし 2000年代以降は、イラスト などにリドミを添付したり、そもそも1枚の画像ファイルを書庫に圧縮して配布することもほぼなくなったので、商業 で制作販売されたソフト (アプリ) をインストーラーの画面だけを見て導入したり使っているという人は、あまり見たことがないかも知れません (通常は CD-ROM などにも同梱されています)。 一方、同人 の関係などでパソコンで創作をしている人は、ちょっとした アクセサリー やフォントの導入などに必須でもあるので、今でもよく見かけるものでしょう。
リドミにありがちなヘッダ
ちなみに 筆者 が パソ通 の時代に使っていたリドミのヘッダ部分は、こんな感じでした。 1996年に特殊な アイコン の配布の際に作成したものです。
【 名称 】(関東地区)制服アイコン集 Vol.01(冬服) 【ファイル名】SITFL_01.LZH 【 作成者 】うっ!(〇〇〇@niftyserve.or.jp) 【データ形式】BMP(Windows BitMap File) 16Color(640×480) & ICO(Windows ICON File)16Color(32×32)×20 【作成ソフト】MS-Windows Ver 3.1 アイコンエディター & ペイントブラシ 【 公開日時 】1996年2月20日 (火曜) 【 圧縮形式 】LHA 2.13 【 転載条件 】DOCを添付して下さい。あとはフリーです。 ダウンロードして下さって、ありがとうございます。うっ!でございます(^-^*)/ |
これは Windows3.1用の 学校制服 のアイコンを作って配布した時のもので、1書庫に20個くらいのアイコンが入っていて、この関東冬服バージョンの他にも色々とありました。 それまで使っていた MS-DOS と異なりアイコンが使えると云うことで、それ以前に制作していた イラスト などをベースに、窓時代のアイコンに仕立てて アップ していたのですね。
当時あちこちの 草ネット に転載されたり、パソコン雑誌のおまけ CD-ROM に収録していただくなどしていただきましたが、こういった書式は他のフリーソフトやデータに添付されていたものを参考にアレンジして使っていました。 他の人もおおむね同じように墨付きカッコ 【】 に項目名を書いて箇条書きにしていましたね。 おおもとのベースはアメリカなどの類似ドキュメントですが、それを日本語でこの形の テンプレ として最初に完成させた日本人が誰なのかはわかりません。
リドミでは冒頭にこのヘッダをつけ、その後にあれこれ注意書きやソフトの使い方、細かい説明などを続けて記述するパターンが多く (単なる画像などは絵を見ればわかるのでヘッダ部分だけで終わりみたいなのもありましたが)、筆者のこのデータでは収録したアイコンとモデルになった学校や制服の説明などを解説していました。 1990年〜1991年頃をピークに各学校の制服がかなり切り替わったため、当時は インターネット もなく、情報収集とかかなり大変でした。 いやまあどうでもいい話ですが。
その後インターネットの時代となると、パソコンに HTML文書 が閲覧できるブラウザが載るようになり、それに合わせリドミも HTML (拡張子は .htm) で作られることも増えてきます。 前後して、PostScript をベースとした Adobe Acrobat による PDF (Portable Document Format) とそれを開くための Acrobat Reader の普及やブラウザの対応が広がると、PDF による配布なども行われるようになっています。
どうでもいい余談
ちなみに HTML ファイルの拡張子 (ファイルの種類を表すもの) は現在では .html の4文字が多いのですが、1990年代から2000年代初期当時に3文字が多かったのは、その頃の PC98 及び互換機とか DOS/V 互換パソコンの OS (MS-DOS や Windows 3.1 まで) ではファイル名8文字、拡張子3文字しか使えなかったからです。 ちなみの蛇足でこのサイトの解説ページもほとんどすべての拡張子が .htm で、初期項目や分割前項目の多くがファイル名も8文字以内になっていますが、これはその頃からの名残りです (ページ分割や再構成などで初期項目でも長い名前のものもあります)。
これは画像フォーマットの .jpg と .jpeg なども同じでどちらでも構いませんが、エクセルの .xls と .xlsx、ワードの .doc と .docx などのようにデータファイル作成ソフトや保存形式のバージョンと紐づけられた場合もあり、その場合は旧バージョンのソフトで新バージョンのデータを開くことは原則できません (逆はできますが、一部で不都合などもあります)。