立体縫製で個包装してるとしか思えない服とおっぱいの描写… 「乳袋」
「乳袋」 とは、着衣状態の女性の胸の部分が、まるでおっぱいの線や谷間、膨らみがそのまま 露出 しているかのように突起し、胸の部分が袋状になっているように見える描写のことです。 通常は たゆんたゆん と揺れ動いて、さらに大きさと柔らかさ、あるいは張りなどをアピールします。
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| プライズフィギュアにみる 「乳袋」 （涼宮ハルヒの憂鬱/ 朝比奈みくる） |
普通の洋服などは、胸が大きいならその分突起しつつもただそれだけなのですが、「乳袋」 の状態では服の生地が胸にぴったりと張りつき、さらにアンダーバストの下まで完全に包み込むようになっています （一応剥き出しではないとの表現として、服の布地の色の再現、最低限のシワなどは描写されている）。
その形状が、どう見ても立体縫製によって作られた 「おっぱいを１こずつ包む袋」 のように見えることから、俗に 「乳袋」 と呼ばれるようになりました。
現実世界でこうした状態になることは通常ありえず、いかにも 漫画 的な表現、素材や構造が謎ないわゆる 「謎服」 の特徴のひとつであり、この言葉自体にもそれに対する揶揄が含まれたものとなりますが、美少女系のマンガや アニメ の グラマー な キャラ などでは、非常によく見かける描き方となります。 またフィギュアなどは、乳首の描写こそないものの、ほぼ丸出しのおっぱいに服の輪郭と着色だけがされているようなものもあります。
なお極めて似たシルエットを持つ服として、プラグスーツ （アニメ 「新世紀エヴァンゲリオン」 の劇中ユニフォームの名称） と呼ぶこともあります。
乳暖簾、乳スカート、円定規おっぱい、乳テント なども
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| イラストにみる乳袋表現 |
乳袋以外にも、着衣状態で胸や 巨乳 を強調する表現、及びそれに対する専門用語的な言葉、俗称はいくつかのパターンがあります。
例えば胸の部分で服が突出し、その分下の方が引っ張られてずり上がり、下から見ると丸見えのスカート状態となっている描写もあります。 乳袋の前に一部で流行した描き方で、乳暖簾とか乳スカート、乳カーテンなどと一部地域では呼ばれていましたが、他の地域でどう呼ばれていたかはわかりません。
また胸の生物学的な形状、服の造形とはほとんど全く無関係に、まるで円定規で胸の輪郭線を引いたようなまん丸の胸を、本来の胸の位置からはやや上の場所に持つパターンもあります。 この場合は 「円定規おっぱい・サークルおっぱい」「団子乳」 などと呼んでいました。 また乳首を頂点に三角形型に張り出したものは 「乳テント」 となります。 果物のサイズに喩えるのもよくあるパターンです。 例えばスイカのように大きなものは、スイカップと呼んだりもします。
こうした表現が良く見られ、またそれに対するネーミングがされたのは パソコン通信 の時代かそれ以前に多く見られ、同人イベント の場の参加者同士の会話などでそれとなく語られるケースが多かったのですが、ネット が本格普及して おたく の言葉 （オタ用語） がある程度全国に行き渡り取捨選択・整理・収斂する前の時代であり、用語としての広まりや定着はあまりしていないようです （おのおの適当な名前で呼んだり、ローカル用語としてすぐに消えてしまっています）。
とまれ、あえて結論を云えば、おっぱいっていいよね…といったところでしょうか。
なぜ袋状になってしまうのか
なぜ胸に関してこのような表現となりがちなのかについては、様々な理由があります。 まず第一に、着衣した状態で大きな胸をそのままある程度リアルに描くと、単に太っているように見えてしまうという問題があります。 体に密着するような服でなければ、服の生地は胸を頂点としてそこから下に垂れ下がり絞られることがないため、バスト周りの太さの寸胴に見えてしまうのですね。
前述した乳暖簾などは、短めの セーラー服 の上着などでいったん上半身と下半身を分離して、改めてバストとウエストの太さの違いを提示しているわけですが、上下が繋がったり重なっている服ではそれができません。 一枚絵 の イラスト などなら、それに相応しいポーズや構図などで太っているように見える状態を避けることもできるでしょうが、コマ割りのマンガなどで全コマでそれを実現するのはかなり難しいでしょう。
また乳袋状態ながら、人によっては乳袋だと認識されないケースもあります。 例えばアンダーバスト下部やウェストを強く締め付けるような服では、結果的に前に張り出した胸が強調される形に自然になりますから、デッサンの狂いを揶揄するという意味の乳袋とは一線を画す状態と云えるでしょう。 これは、いわゆる パイスラ （上半身に着けた、たすき掛けの紐などよって胸が強調される状態） なども同様です。 とはいえ、着衣状態で左右の胸が完全に分離しアンダーバストまで包み込むような状態になることは、それを意図した服でない限りほぼないので、やはりこれらも乳袋と云うことになるのでしょう。
なお ビキニ のブラなど、完全に乳袋となった衣服も現実に存在しますが、乳袋という言葉はあくまで現実にはあり得ない状態となった 絵 を揶揄するものなので、当然ながら乳袋と呼ぶことはありません。 一方で、前述した 「胸が大きいと太っているように見える」 という現象はリアルの世界でも同じなので、それを避けるためにアンダーバスト下部を強めに絞るような形のワンピース型の服なども現実の商品としてアパレル会社から販売されるようになっています。 単に太って見えるのを防ぐだけでなく、適切な素材やサイズとすることで、通常の衣服にありがちな大きな胸で生地がパツパツに張り周囲に深いシワができて変に強調しすぎてしまう状態を避ける工夫がされたものもあります。
これを ネタ として 「リアル乳袋」 と呼ぶ人もいますが、商品の主目的は胸の強調ではなく太って見えてしまうのを避けることであり、またこうした表現を嫌う女性も多いので、あまり安易に具体的商品名などを挙げてネットなどで使うべきではないでしょう。
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