公式側のギリギリの判断 「イメージを損なう表現はお控えください」
「イメージを損なう表現はお控えください」 とは、ファン によるファン活動の一環としての 二次創作・ファンアート を認めている アニメ や マンガ、ゲーム などの著作権者・公式 が、明確な線引きをせず、ふんわりとしたあやふやな 「お願い」 としてしばしば行う創作内容の条件や規約、ガイドラインの文言です。 似たような言い回しで、「著しくイメージを毀損」 とか 「公序良俗に反する表現」 との言い回しになることもあります。
何が 「イメージを損なう表現」 なのかは人によって違いますから、具体的に何をやったらダメでどこまでがセーフなのかはケースバイケースですが、おおむね 「差別的表現」「誹謗中傷」「犯罪教唆やデマの流布」「反社会的活動に資するもの」 あたりは問題になる可能性が高い表現となるでしょう。 また 同人 の世界で比較的人気がある 18禁表現・成人向け、すなわち エロ やグロな表現なども、直接的・間接的に指す場合もあります。
出す方としても極めて判断が難しい 「公式見解」
このようなあやふやな表現となるのには、いくつか理由があります。 事細かにあれもダメこれもダメと禁止事項を列挙しては、ファンも委縮して二次創作も盛り上がりませんし、回りまわって オリジナル の コンテンツ の人気や盛り上がりにも水を差す可能性があります。
また明示的に 「これはダメ」 と宣言すると、それに触れている二次創作はもちろん、その可能性がわずかでもある二次創作までも快く思わない別のファンから攻撃されたり公式への通報などが生じ、ファン同士のいがみ合いや トラブル が生じる可能性もあります。 また禁止を明言した以上、違反行為を ネット に公開した形で問題提起や通報されるなどした場合に、公式として何らかのアクションを起こす必要に迫られるケースもあるでしょう。
なお法律などは、厳密な定義をすると定義の不備や穴を突くような不届きものが現れますが、こと二次創作に関しては、こうした部分の心配は、さほど気にする必要はないでしょう。 同人関係者の自治というか、学級会やクラス会と呼ばれるほどの相互監視の力は良くも悪くも侮れないものがありますから、「規約の穴を突いた」 ような同人は活動を続けられなくなるほどの強い批判を浴びがちです。 完全無視する人が残る可能性はありますが、極めて少数だと予想され、また目に余る場合は著作権違反で訴えることもできます。 そこまで厳格化できないのは、結局は二次創作 界隈 の委縮や、それによる公式への風当たりをどうするかの部分が大きいと云えます。
その他、NG になりがちなテーマも
一方、「イメージを損なう表現」 でも 「公序良俗に反する表現」 でもないけど、明示的に禁止されがちな テーマ は他にも色々あります。 代表的なのは 「政治的メッセージを強く含むもの」 や 「特定の宗教や思想に関わるもの」 などです。 創作活動で何らかの政治的なテーマや宗教・思想に絡む表現を完全排除するのは難しいのですが、おおむね特定の政党や政治家への支持や投票を訴える内容、あるいは特定宗教の布教活動に使うようなものでなければ、問題になることは少ないでしょう。
例えば単に 「選挙に行こう」 と訴えるだけでは特定の政治勢力のための利用とは見なされないでしょうし、年中行事としてありふれた行為であるハロウィンやクリスマス、初詣などに触れたり、衣装としてのサンタクロース服や巫女装束を描く 行事絵 や 季節絵 が問題になることもないでしょう。 ただし宗教によって考え方は様々ですから、他人が権利を持つ 版権系 のキャラで描く場合は、きちんとした配慮が必要です。 とくに元作品で実在する特定宗教に帰依しているという設定のキャラに、異なる実在する宗教をあえて絡めるのは、やめた方が無難です。 もちろん、巫女さんがクリスマスくらいならば、社会通念上も大丈夫でしょうけど。