同人用語の基礎知識

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ダーリーン、待つっちゃ〜 もはや萌えの対象 「鬼」

 「鬼」 とは、妖怪や化け物、人外 の代表的なもののひとつで、もじゃもじゃ頭には1本か2本のツノ、口には が生え、全身が赤あるいは青色をしており、虎皮のふんどしだけをしめた筋肉隆々の大男の姿をしたものです。 人間を遥かに超える怪力を持ち、人に災いをもたらす存在であり、とげとげのついた鉄の棍棒を携えるなど、恐ろしい姿をしています。 弱点や苦手なものとしては、節分のそれからもっぱら豆が用いられます。

 現代の日本で見られる鬼のイメージについては、その来歴や正体に様々な説があります。 醜い欲や嫉妬、恨みつらみによって人が悪霊となった姿とか、 の化身 (鬼神) とか、仏教における 「悪鬼」(羅刹や夜叉の仲間)、その外見から古代の日本人が目撃したヨーロッパ人がモデルなどです。 「鬼」 という言葉や 概念 自体は中国生まれであり、それが日本に仏教などと一緒に伝わる中で、日本土着のあれこれと混ざり合い、独自の変化を遂げたものなのでしょう。 目に見えないもの、すなわち 「居ぬ」 が変化したものだとの説もありますが、日本独自のものという訳ではありません。

 「鬼に金棒」 といった言葉があるように、一般に 「強い」「大きい」「激しい」「飛びぬけている」「他に並ぶものがない」 といった人間ばなれしたイメージがあり、前述した悪鬼や餓鬼、鬼婆といったおどろおどろしい化け物のような表現もあれば、人並外れた才能を鬼才と呼ぶように良い意味の言葉、あるいは 「仕事の鬼」 といった誉め言葉としても使われます。

 これが転じて、怒っているという表現として頭の両脇に人差し指を立てた両手を添えてツノに見立てたり、マンガ などでも怒りの演出として一時的に キャラクター の顔が鬼っぽくなったりもします。 また怖い奴、すごい奴を鬼と呼んだり、鬼〇〇といった形で表現するようになります。 例えば鬼嫁 (鬼のように怖い妻) や鬼教官、鬼上司といったものです。  さらには若者言葉として、常識外れで凄まじい様を形容詞的に表現する言葉としても定着します。 例えば鬼電なら鬼のように執拗に電話をかけまくること、鬼走りや鬼っ速なら鬼のように気迫を持った速さで走るなどです。

 こうしたくだけた汎用性のある使い方、とくに 「鬼のような」「鬼のように」 という言いまわしは、1980年代の漫才ブームの頃のツービートの漫才などで使われていて、それがそのまま若者言葉として広がった印象がありますが、直接的な 元ネタ は不明です。

創作物における鬼

 創作物における鬼は、前述した神の化身や邪神・妖怪や化け物、モンスター として、昔話などでも盛んに用いられてきました。 また疫病や飢饉といった災害の象徴として扱われたり、その手先や担い手として扱われることもあります。 外見の特徴などは地獄絵図といった伝統的な宗教画によるものとされ、時代によって細部の変遷はあるものの、人に似た姿でありつつ異形と云う全体のイメージは変わりません。 一方で、そうした恐ろしい鬼を退治したり使役する聖なる存在の権威付けのための存在でもあります。

 一方、マンガや アニメ、あるいは 同人 の世界では、主に ファンタジー やダークファンタジー、ホラーといった作品世界の住人、人間 (ヒト) 以外の人型をしたキャラのひとつ (亜人) として用いられます。 さらに 二次創作 などではそれを可愛らしくコミカルに描いたり、時代を経るごとに美少女化して 萌え の対象にするような傾向も強まります。 ツノや牙、虎の パンツ (や 水着ビキニ) といった特徴も 「人外萌え」 のひとつとして、あるいはそれ単独のパーツとして、萌え要素 の扱いがされるようになっています。 2月頭 (2日が多い) の節分の時期には、行事絵季節絵お題モチーフ としてもよく描かれます。

 とくに 「うる星やつら」(1978年) の ヒロイン であるラムちゃんは、その後の おたく 文化における鬼や鬼娘・鬼っ娘の存在感を飛躍的に高め、ジャンルカテゴリ を開拓した上に決定づけた巨大な存在だと云って良いでしょう。 もちろんそれ以前にも同様のアイデアや コンセプト に基づくキャラはいないではありませんでしたが、うる星全盛期のそれは、マンガや イラスト のみならず、コスプレ などにも影響を与える極めて大きなものでした。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年1月18日)
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