迷惑にならないものを、さりげなくお届けする 「差し入れ」
「差し入れ」 とは、そのまんまですが 同人誌即売会 などで サークル参加 しているご贔屓の サークル の元へ、激励や慰労、ご挨拶のために飲食物その他を届けることです。 貢ぎ物 や お布施 などと呼ぶことも多いでしょう。
差し入れでもっとも多いのは食べ物や飲み物を届けることでしょうけど、「これ、好物でしょう?」 といったシャレで、その 作家 が好きな アニメ や ゲーム、タレントのグッズや資料をプレゼントしたり、自分のサークルで出したばかりの 新刊 を届けたりする場合もあります。 食べ物が多くまた喜ばれるのは、比較的安価で差し入れる側、差し入れてもらう側の負担にならない点がありますが、何より 「食べてしまえば残らない」 というのが良いのでしょう。 人気サークルなどでは差し入れの数も膨大になりますから、これは重要です。
なお 「ニコニコ動画」 の 「歌ってみた」 系の動画などで人気が出た歌い手さんがライブを行ったり、握手会など各種イベントに参加して、芸能人やタレントなみの人気を得るケースが増え、そうした方たちへの差し入れも増えているようです。 ジャンル や場所は違いますが、「差し入れ」 に対する基本的な考え方は同じといって良いでしょう。
差し入れされて嬉しいもの、ありがた迷惑なもの
差し入れで受け取った食べ物などでもっとも扱いに困るのは、「何が入っているかわからない手作りの食べ物」 でしょうか。 相手と親しく信頼関係もあるのなら別に構いませんが、顔見知り程度だったり初対面などでは、貰った方は安心してとても口に入れられるものではありません (まぁ 筆者 は意地汚いので、顔見知りのおにぎりとかなら 普通に 食べたりしますがw)。 バレンタイン前後の手作りチョコレートなどは、気持ちはとても良くわかりますが、避けるのが賢明 (というか、当たり前の常識) です。
差し入れてもらった方としても、最近では親しい人の手作りおにぎりなども食べられないと断る人が珍しくないので、少しでも嫌な気分がしたらちゃんと断るか、もらっても口にせず罪悪感も覚えないようにするのが良いでしょう (個人差はあるんでしょうが、食べ物を捨てるのは精神的にかなりの負担があります)。 なおどうしても食べなくてはならないみたいな 雰囲気 の場合は、差し入れをした相手の目の前で、相手の顔を見ながらその場で相手と分け合って口にする方がむしろ安全とは夜のお仕事の方からちょくちょく耳にする話ですが、あくまでビジネスや自己責任の世界での話です。
一方、しっかりパッケージされた既製品の場合、かなり安心感がありますが、すぐに食べないと溶けたり悪くなってしまうアイスクリームとか生もの、ニオイのキツイ食品、食べると手が汚れ、持ち帰るにはかさばるポテトチップなどの袋入りスナック菓子、やたらと高額の物品やぬいぐるみなども、ちょっと取り扱いに困る場合もあります。
また飲み物の場合、自動販売機で買った飲料水なども数が来ると処理に困りますし、夏場の冷たい飲み物は水滴がついて売り物の 同人誌 などを濡らす恐れがあります。 さらに容器にフタがない缶飲料は、飲み干さないと倒して中身がこぼれるかも知れません。 飲みきれず持ち帰ろうにも、500mlのペットボトルが2本で重さは1キロになります。
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じゃあ何を差し入れたらいいんだ…ということになりますが、「差し入れ」 で無難なところではキャンディーとかガム、ご当地菓子 (○○地区 限定 のスナックチョコ) とか、個別包装されたコンパクトなお菓子類などが代表的でしょうか。
これなら数があっても貰った方はご近所のサークルに配ったりして食べられますし、かさばらないので差し入れする方からしても便利です。 珍しいお菓子なら話のタネにもなりますし、お気に入りのサークルさんに好印象を持ってもらえる可能性も高まります。
大手サークル などは差し入れの対応ができず断っている場合もありますが、ようは相手の立場になって考えるのが、当たり前ですが大切でしょう。 せっかく良かれと思ってお金を使って買っていって、相手が困惑してしまっては親切心も台無しです。 回りの状況などを観察しながら、差し入れをするなら迷惑にならないものをチョイスするようにしましょう。
メッセージつきの差し入れの場合
サークル関係者が挨拶回りなどをする場合、自分のことを 認知 してもらったり、相手への応援や感謝のために、ちょっとしたメッセージを添えるという方法もあります。 口頭でしても良いのですが、イベ期間中は大勢と出会ったり挨拶をしますから、すぐに忘れてしまいます。 個包装されたお菓子などに、自分のサークル名や SNS の アカウント、相手へのちょっとしたメッセージを書いたり印刷したポストイット的な紙片を貼るなどは、比較的よく見かける方法です。
またこうしたメッセージつきの差し入れを貰った場合、別にイベ後に何らかの反応を必ず返す必要はありませんが、相手が好ましい人物だと思ったら、「差し入れありがとうございました」 といった返答メッセージを送ってみるのも、新しい同好の仲間との輪が作れるチャンスでしょう。 SNS などのアカウントつきで相手が公開設定していたら、人となりもある程度チェックできるかも知れません。 ただし女性サークルが男性の一般参加者からメッセージつきの差し入れを貰った場合などは、十分すぎるくらい十分に状況を見極め、できれば原則無視くらいの温度感で対応するのが良いと思います。
手渡し方にも、最低限のマナーが…
ちなみにこれは蛇足ですが、食べ物を手渡す場合、その品物は手荷物 (かばんや手提げ袋) から、手早く取り出すと良いようです。 ポケットなどから取り出すと、飴やチョコなどが溶けるという心配もありますが、何より 「口に入れるものを相手の体から取り出した」 というのが、気分的に良くない印象を相手に与える場合があるからです。
また手渡す際は、相手の本の上に無造作に置くような行動や、片手で持って相手の鼻先へ突き出すようなやり方も、避けるのが当然のマナー、常識の話でしょう。 別に冠婚葬祭のように堅苦しく緊張してマナーに気をつける必要もありませんが、こちらは良く相手を知っているけれど、相手はこちらを全然知らない…なんてのが当たり前の同人の世界。 自分の行動が相手にどう受け取られてしまうのかを想像し、せっかくの厚意や好意が逆効果にならないよう注意しましょう。
また受け取る方も、必要以上に恐縮したり遠慮する必要はありませんが、少々言葉遣いや態度が気に障ったとしても、大目に見てあげる余裕は持ちたいものです。 もちろん無理をして相手に合わせてあげる必要は全くありませんが、全国から年齢や出身地、職業など、これまでの人生では一度も関わったことがないタイプの人も大勢いますから、「こういう人もいるんだ」 と思う方が自分自身の精神衛生上でも得でしょう。 共通点は相手も自分も同じジャンルが好きなだけの、要するに赤の他人なのですから。