お嬢様御用達? リッチで華麗な 「縦ロール」
「縦ロール」 とは、主に女性 キャラ の 髪型 のひとつで、髪の毛 の両サイド部分に左右1本ずつ、もしくはそれ以上の数で、ゆるく 巻いた髪 の毛の房を垂らすようなスタイルになっているものです。 房の形状は円柱型か円錐型となり、ドリル と呼んだり、菓子パンのコロネに喩えることもあります。 毛の長さはおおむね ロング か セミロング や ミディアム ですが、ロリ なキャラの場合はまだ髪が伸び切っていないイメージとして ショート になったり、縦ロール部分も短いか巻き数が少ないものになることもあります。
この種の髪の造形は昔からありますが、圧倒的存在感があるのは、週刊マーガレットに連載され アニメ も大ヒットした山本鈴美香さんの人気 マンガ 「エースをねらえ!」(1973年) に登場するお蝶夫人こと竜崎麗香でしょう。 この他、1970年代中頃を中心に少女漫画の世界で数多く登場した縦ロールキャラは、お嬢様 (お上品で孤高で、ときにいじわるでもある) というキャラクターパターンを確立した存在でした。
お嬢様キャラのひとつの原点にして頂点、竜崎麗香
「エースをねらえ!」 の竜崎麗香は 金髪 の ポニテ にピンクの リボン、頬の両サイドのおさげとして小さめの縦ロールを装備し、スラリとした長身で ルックス は大人びた美女となっています。 全校生徒憧れの的で、テニスの腕は超高校級でテニス王国西高テニス部のエース、生徒会 の副会長で庭球協会理事の娘という圧倒的なお嬢様キャラです。 会話も一人称は 「わたくし」、その他 「〇〇じゃなくて?」「よろしくてよ」 などといかにもお嬢様言葉で、創作物のみならず、広く日本のお嬢様イメージの醸成にこれ以上ないほどの大きな影響力と存在感を持っています。
一方、ほぼ同じ時期に同じくマーガレットに連載された池田理代子さんの人気作 「ベルサイユのばら」(1972年/ アニメは1979年) に登場する貴婦人らの姿にも縦ロールが多数出現し、「エースをねらえ!」 と共に圧倒的お嬢様の テンプレート を作り上げた存在と云えます。 中でも悲劇の ヒロイン であるマリー・アントワネットは、竜崎麗香とともに日本における世俗的なヨーロッパ貴族風お嬢様の原風景そのものでしょう。
いじわるお嬢様、後年の悪役令嬢の元祖とも呼ばれるのは、「キャンディ♥キャンディ」(1975年) に登場するイライザ・ラガンでしょう。 孤児である主人公キャンディを引き取ったラガン家の長女で、兄であるニールとともにキャンディを いじめ る嫉妬深くて執念深いキャラとして描かれています。 作中で 「すさまじい子」 とまで呼ばれ、この種のキャラ造形のひとつを作った存在といってよいでしょう。
同じく1975年に連載が開始された 「ガラスの仮面」 の姫川亜弓も、縦ロールかつお嬢様というこの種のキャラの典型として認識される存在です。 幼少期から天才少女役者として知られ、主人公 北島マヤの宿命の ライバル として立ちふさがります。 ただしマヤを卑劣な手段で陥れた乙部のりえへの対応からも正義感溢れる存在であり、親の七光りといった自分の立場に甘んじることなく納得のいく演技にひたむきに向き合う姿勢などから、ファンからの人気も高い存在となっています。
これら1970年代の少女漫画における巨大な 作品 と魅力的なキャラたちは、その後少女漫画の世界から飛び出し、恋愛における細やかな心の動きの描写とともに、男性向けの作品などにも大きな影響を与えることとなっています。 この他時代的に近いキャラでは、「銀河英雄伝説」(1982年) に登場し、貴族でありながらラインハルトやアンネローゼらの良き理解者として振舞ったマグダレーナ・フォン・ヴェストパーレ男爵夫人も見事な縦ロールを持っています。
ちなみに縦ロールでは全くありませんが、現在のステレオタイプ的なお嬢様造形の広がりに影響を与えた存在に、「白鳥麗子でございます!」(1987年) もあります。 主人公 白鳥麗子の造形はこの時点までのお嬢様キャラの集大成というよりは誇張した パロディ のような作品でしたが、少女漫画にあまり触れない層にまでコミカルなお嬢様の 認知 を広げるひとつのきっかけとなった存在でしょう。
恋愛至上主義の時代とも呼ばれる1980年代は、後年美少女ゲームの世界でされたキャラの類型化・萌え属性 の整理のように、恋愛対象としての男性や女性の類型化や 攻略法、デートのマニュアル化などが若者向け雑誌で盛んにされた時代でした。 お嬢様キャラは 「タカビー」(高飛車な女性) と呼ばれ、いわゆる スクールカースト などとも緩やかに繋がりながら、「こういう人いるよね」「いるいる」 といったパターンが様々作られていました。
縦ロールは徐々に巨大化し、ある種のネタにも
髪色 はとくに問いませんが、竜崎麗香やマリー・アントワネット同様の華やかな金髪や、あるいはクールな印象のある 銀髪 あたりの相性が良いでしょうか。 肌 は美白が標準的です。 どちらにも気品や気高さ、ゴージャスさを見るものに印象として与え、一般にお嬢様や令嬢、ヨーロッパ風貴婦人、あるいはお金持ちや 生徒会会長 といった 雰囲気 を持つ 属性 として認識されます (和風のお嬢様やお姫様の場合は、黒髪ロング で 姫カット が多いでしょう)。
それに伴い、傲慢、高飛車、厳格、生意気、尊さ、ツンや ツンデレ といった萌え属性が性格や 設定 として付与されることが多いでしょう。 ギャップ狙いの場合は、表面上はそうでも中身は気弱でやせ我慢の泣き虫とか努力家・頑張り屋、物語 や シチュエーション として わからせ が用いられることもあります。
いったん縦ロールがお嬢様キャラの 鉄板・お約束 となると、その後は徐々にエスカレート。 年々大きく、また長くなり、髪の毛の房の本数も増える傾向にあります。 これは過剰表現やある種の ネタ にもなっていますが、縦ロールの本場? であるヨーロッパの法務官や行政官のかつらなどはロールしまくりな上に現在でもしばしば用いられており (ちなみに男性の場合は横ロールが多いでしょう)、ロール髪に対する歴史と伝統? を感じさせます。
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