寒いけど行かずにはいられない…だから 「防寒対策」
同人者たるもの防寒対策も抜かりなく (同人する子) |
「防寒対策」 とは、もっぱら冬に行われる 同人誌即売会 や産業展などなど、様々な イベント に 参加 する際に気を付けたい 「冬の寒さ対策」 のことです。 日常における防寒対策と内容は原則同じですが、大規模イベントならではの問題やノウハウなどもあります。
コミケ などの場合、夏場の 「暑さ対策」 は日射病や脱水症、熱中症など命に係わる体調不良や健康被害の恐れもあってとりわけ重視され、また 「過酷さ」(実際過酷です) がある種の ネタ としても触れられます。
運営側 は夏冬問わずしっかり注意喚起を行っていますが、参加する側の認識は夏場に比べれば冬場はいくらか弱くなりがちで、通勤通学時の防寒対策程度に収まりがりです。 当たり前の話ですが、冬場だって十分な準備や注意をしないと、無意味に体調を崩したり害したり、快適な参加ができなくなったりもするでしょう。
とくに若い人はともかく、ある程度以上の年齢の人、持病などがある人は、極端な 「温度変化」 が生じやすい冬にも、十分すぎるくらい十分な準備と対策が必要でしょう。 急な体調不良などで周囲に迷惑をかけることになる上、何より自分の健康が脅かされ、楽しいはずのイベントも台無しになります。
夏場同様に冬場でも、身体に不調を感じたら遠慮せず、早め早めに周囲もしくはスタッフに助けを求めましょう。 また周囲の 一般の参加者 も、そうした人がいたら無理のない範囲で積極的に手を貸すようにしましょう。 お客様ではなく、あくまでみんなが参加者なのだという心構えが大切です。 またこれも夏冬問わずですが、事前に 食事 はきちんと摂るようにしましょう。 何といっても体のエネルギー源ですし、空きっ腹で寒い中で待つのは心身ともにとても辛いものです。 朝食を取って参加するというのは、必須だと思うようにしましょう。
予想以上に寒くなることはままあること 「防寒対策」 の必要性
北海道や東北など寒い地域に住む人、アウトドア系の 趣味 をしている人やバイク乗りにとっては寒さに対する慣れもあって対策方法も自明なのかもしれませんが、南の暖かい地域に住んでいて、かつ朝から野外に何時間も延々と立ち続けるような習慣が日常にあまりない人には、冬のコミケ入場の待ち時間は予想以上の寒さとなり、かなり堪えるようです。 まして風が強かったり雨や雪でも降ろうものなら、体感温度は想像しているよりもずっとずっと厳しいものとなります。
一般に風速1メートルごとに体感温度は1度下がると云われますし、雨雪に濡れると気化熱によりさらに体感温度が下がります。 天気予報で5度くらいと云われても、風や雨などによって体感温度は氷点下といった状況は容易に起こりえます。 熱中症と違い、都会で命に係わるほどの低体温症や凍傷になることはほとんどありませんが、万が一もあります。 「防寒対策」 は、これに対応するものとなります。
外は寒く室内は暑い、極端な温度変化
基本的には暖かいしっかりした厚手の服を何枚か重ね着して寒さをしのぐことになりますが、入場が開始され人でごった返す室内に移動すると一転して蒸し暑くなり、上着などとても身に着けてはいられない状態になります (これは電車などの公共交通機関の車内もそうですが)。 その場合脱いで温度調節することになりますが、コートといった厚手の生地で作られた防寒着は折りたたんでも非常にかさ張り、とても邪魔なものになってしまいます。
混み合う 会場 の中での移動や 同人誌 などを大量に購入することを考えれば手荷物はなるべく少なくしたいですし、会場のコインロッカーなどがほぼ埋まっていることを考えると、服装も必要最低限にとどめたいと考えるもの。 当日の気温や天候にもよりますが、「無理は禁物」 といいつつ、このあたりのバランス調整はとても難しいです。
何らかの持病でもない限りは冬の寒さで凍えてその場で突然倒れる、凍死するといった恐れは比較的少ないかも知れませんが、風邪をひいたり、お腹が冷えて下痢になって列から抜ける必要が生じる、さらに会場に移動して温度変化で一気に体調が崩れることはちょくちょく耳にする話です。 もうそうなったら、冬コミならイベントだけでなく、その後のお正月も家で寝込むはめになるかも知れません。
軽度の低体温症であっても判断力が鈍る傾向はあるので、事前にあれこれ対策を練るのは大切です。 とくに顔色が悪くなる、震えるといった状態になり周囲の人から 「大丈夫ですか?」 などと訊ねられたら、自分の判断ではなく周囲の人の判断を尊重する姿勢を持ちましょう。 無理に我慢をして 「大丈夫です」 と強がっても、誰も得をしません。 また周囲にそのような人がいたら、声掛けできる余裕は持ちたいものです。 自分が万全の対策をしていれば、そうした余裕だって生まれるでしょう。
細かく調節できる方法で寒さ暑さを乗り切ろう!
厚手の服を着るより薄手の服を何枚か重ねて体温調整しやすくする、マフラーや手袋、帽子、耳当てや腹巻、厚手の 靴下 (登山用とかバイクのライディング用とか) などなど、寒さを強く感じる部分や体調に影響の大きい部分をピンポイントで暖めるのはとても良い方法です。
とくに都市部では防寒用と意識されることが少ない帽子は、100均の安いニット帽でも、あるのとないのとではかなり違います。 日本では一般に頭寒足熱とか云われて防寒用としては影の薄い帽子ですが、冬登山に帽子は必須ですし、体温の1〜2割は頭部から失われるなどとも云います。 脱着も容易で折りたためばコンパクトになりますから、コスパ にも優れたとても効果的な防寒対策と云えるでしょう。
一方、イベント開催中の コスプレ のように身に着けるものに制限があるような場合は、気軽に羽織ったり脱いだりができる厚手のコートなどはとても便利でしょう。 手荷物用のキャスター付きスーツケースや カラコロ を利用するなら、仮にコートがかさ張ってもさほど邪魔にもならないでしょう。 参加目的を明確にした 割り切り も肝心です。
なお夏冬共に、傘はさせない場合がほとんどなので (禁止のイベントも多い)、雨合羽 (レインコート) の類は持ち歩くようにしましょう。 人が密集して列に並んでいる時に傘をさすと、傘の広がる部分の骨 (露先) が目に 刺さり そうになったりしてとても危ないです。 また露先部分が他の人の体や持ち物に水滴を落として濡らして迷惑をかけてしまうなど、何かと トラブル の元です。
雨合羽は100均で売っているビニール製で使い捨ての安価なものでも大丈夫ですが、もうちょっとお金を足せばだいぶ立派なものが購入できます。 衣服や身体が濡れると寒さが倍増しますから、濡れないための対策をしっかり行いましょう。 ワークマンといった現場作業系衣料を扱っているお店なら、安価で高機能なものが手に入ります。 ただし夏冬のシーズンの変わり目とか梅雨の直前あたりではめぼしい商品はすでに売り切れだったりしますから、コミケ合わせなら早め早めの対策が大切です。
ちなみに雨が降らなかった場合でも、雨合羽をコートやジャンパーの下に断熱材代わりに着こむとめちゃくちゃ温かいです。 これはこれで場合によっては通気性がなくなってのぼせる原因にもなりますが、吹きっ晒しで異常に寒い時などは、ダメ元で試してみるのも良いでしょう。
「暖かいインナー」「ヒートテック」 は諸刃の剣
防寒や冷え対策として販売されている 「暖かいインナー」「ヒートテック」 と呼ばれるような機能性の高い下着類を選ぶのは賢い選択です。 重ね着するととても暖かいですし、生地自体は薄く、邪魔にもなりません。 しかし人気の高まりとともに 「ヒートテック信仰」 のようなものも生まれ、「これさえ身に着ければ大丈夫」 といった過信も生じているかも知れません。
また上着と違いインナーを外で脱ぐのは難しいので、蒸し暑い室内に移動した途端に灼熱地獄と化す場合があります。 一般的にこの種の衣料は速乾性に乏しいため (発汗によって発熱するので保湿性がある)、発熱のための発汗量を上回る大量の汗を室内でかいてから乾く間もなく寒い外の 待機列 に並んだりすると、今度は濡れた身体が芯から冷え切ったりします (汗冷え)。 運動による激しい発汗を伴うため 「冬山登山にヒートテックは禁物」 などと云われますが、当日の気温、自分の体調などを考え、無理のない範囲で工夫して取り入れるようにしましょう。
もし余裕があるのなら、コミケなどに参加する前に試しに着てあれこれシミュレーションや予行演習をするのも良いかもしれません。 何でもそうですが、新しい アイテム や道具を当日ぶっつけ本番で試すのは事故やトラブルの元です。 とりわけ暖かい地域からの参加では、これをやるとやらないとでは当日の快適さや健康トラブルへのリスクが大違いです。
ちなみに2003年に発売され、この種の機能性衣料として絶大な知名度と人気を誇るユニクロのヒートテックですが、その他の類似衣料ともども、洗濯などによって徐々に生地が劣化し効果が薄れるなど、いわゆる寿命があると云われます。 洗い方や使う頻度にもよりますが、1年からせいぜい2年程度が限度とされますが、一方で何度も洗って馴染んだ方が温かいという人もいて、感じ方は人それぞれです。 着慣れた人でも 「ちょっと効果がなくなってきたかな」 と思ったら、買い替えておくのも大切です。
なんだかんだで 「使い捨てカイロ」 は便利
防寒対策において力強い味方となってくれるものの代表が 「使い捨てカイロ」 でしょう。 元々カイロ (懐炉) は主にベンジンなどを燃料とした燃焼式が普及していました。 その後、火を使わず化学反応により発熱する便利で安全、安価な使い捨てカイロが1978年に登場すると一気に普及。 「ホカロン」 や 「ホッカイロ」「ぬくっ子」 といった名称で販売され人気を得るようになりました。
使い捨てカイロは寒い地域を中心に広く愛用されていますが、南の暖かい地方で、かつあまり外にでない若い人の中には 「体の一部だけを温めてもあまり意味がないのでは?」 などと感じ、一度も使ったことがないというケースも多いようです。 しかしお腹のおへその下あたり (丹田) や腰に貼れば、血の巡りにより徐々に暖かさが全身に廻りますから、あるとないとでは大違いとなります。 人によってベストな貼り付け位置がありますので、できれば事前に使ってみるのもよいかもしれません。 なおカイロ商品の注意書きにもあるように、肌に直接密着させるのは低温火傷の恐れがありますから、インナーを挟むとか布をあてがうなど、直接触れないようにしましょう。
使い終えたカイロは会場内にあるごみ箱に捨てるのではなく、必ず持ち帰るようにしましょう。 コミケ会場などのごみ箱は紙ごみが大量に入っているので発熱する使い捨てカイロの投棄は危険ですし、また東京ビッグサイトのある江東区では、使い捨てカイロは燃えないごみ (燃やさないごみ/ 不燃ごみ) として処理されます。 自治体によっては燃えるごみ (燃やすごみ/ 可燃ごみ) として出すよう決められている場合もありますから、移動先で適当に捨てるべきではないでしょう (できればリサイクルに出すのがいいかと思います)。 防寒とは関係がありませんが、この辺りは乾電池などの捨て方も同様です。
どのような防寒対策を行うにしろ、まずは自分の体調を万全に 整え ること、そして周りに迷惑をかけないようルールを守って参加し、それでもだめだったら躊躇せずに周囲に助けを求めるようにしたいものです。 ちなみにもっとも防寒対策が必要だと思われるのは明け方と、その時間帯を含む 徹夜 での並びですが、コミケでは 徹夜組 は禁止であり、防寒対策云々以前のお話なので、前日から会場近辺で待つようなことはしないようにしましょう。