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パソコンの大先生

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「パソコンの大先生だもんな」 しかしパソコンを使って何をしてるかと云えば…

パソコンの大先生にまっかせなさ〜い (寐津菟かき子)
パソコンの大先生にまっかせなさ〜い (寐津菟かき子

 「パソコンの大先生」 とは、引きこもり (ヒッキー) を主に指す言葉です。 付随して、オタク や 無職、ニート を指す場合もあります。 もっぱら ネット掲示板 などで使われる言葉で、要するに 「外に出ないで部屋に引きこもってパソコンばかり触っている人」 という意味になります。

 「大先生」 とはなっていますが、当然ながら賞賛するような使い方をする言葉ではなく、ネットスラング としては 「パソコンを使うことくらいしか能がない」「しかしそのパソコンだって、それほど詳しい訳ではない」(プログラムが組めたり、業務用ネットワークが組めたり、ビジネスソフトを自在に使いこなせる訳ではない) との、強い侮蔑・揶揄・嘲笑の ニュアンス を持っています。

 多くの引きこもりが掲示板や ネトゲ (ネットワークゲーム) に入り浸っている点で、引きこもりではないが生活の中心がネットとなっているような人、ネト充 (ネット充実) を指して使う場合もあります。 またファイルの 共有 (シェア) を前提とした Winny や eMule などの ファイル共有・交換ソフト を利用し、違法コピーのやり取りをしているような人を指す時もあります。

元ネタは2009年1月8日の毎日新聞記事で 「パソコンの大先生だもんな」

 2009年以降の流行語としての 「パソコンの大先生」 の 元ネタ としては、 2009年1月8日に毎日新聞地方版 (後に全国版) に掲載された記事 「つながりたい:/7止 引きこもり /岩手」(「年相応の暮らしがしたい」 中1から引きこもりで対人恐怖症の27歳がついに求人誌を手に取る」) の記事中フレーズからとなります。

「つながりたい:/7止 引きこもり /岩手」
「つながりたい:/7止 引きこもり /岩手」
(2009年1月8日/ 毎日新聞)

 この記事では、不登校や引きこもりとなった青年、およびその家族を支援する岩手県盛岡市のNPO法人の活動を前向きに紹介していました。

 記事タイトルとなっている対人恐怖症の27歳の青年は、小学校から中学にかけての 「いじめ」 が原因で引きこもり状態となっていたものの、NPO法人の支援や本人の努力によって徐々に明るさと意欲を取り戻し、求職活動に前向きな姿勢へと変化したそうです。

 そしてこの無職引きこもりから立ち直りつつある27歳の青年を紹介し励ますNPO理事長のセリフが、すなわち 「パソコンの大先生だもんな」 だったのでした。 これはNPO広場のパソコンの不調をこともなげに直した青年への褒め言葉だったのですが、青年はこれに対し、それまで通りの無表情ながらも、その奥にかすかな照れ隠しの笑みが浮かんでいるように見えたと記事には書いてあります。

 身内の冗談や軽口ならともかく、一般的には大の大人を 「○○の大先生」 や 「◯◯博士」 などと気安く呼ぶことは、慇懃無礼で逆に失礼にあたりほとんどありませんから、「子供相手ならともかく、完全に見下してバカにしてるんじゃないか」「こんな事言われても、ちっとも嬉しくないだろ」「いや、小中学の頃から引きこもりなら、その レベル から改めてリハビリするしかないんじゃないのか」 などと、ネットの掲示板などで賛否さまざまに話題に。

 またパソコンの不調とそれを直したとの記述も詳細がないため、どのくらい専門性があり高度な技術を要する処置だったのかわかりません (恐らく、パソコン素人のしょうもない トラブル を解決しただけなのだろう…との憶測を呼んでいました)。

 しかしそれはそれとして、掲示板 2ちゃんねる などの一部の利用者にとっても、ある意味で 「パソコンの大先生」 なる無理やりな褒め言葉を他人事と笑えない、思えない境遇にいることもあり、成句として テンプレ 化。 その後しばらく他人への揶揄、罵倒として使われるようになりました。

 なお2ちゃんねるの引きこもりとしてよく使われる名前 「ゆうすけ」 と合わせて、「ゆうすけはパソコンの大先生だもんな」 などと ネタ として使う場合もあります。 また2012年に連続して発生した遠隔操作ウイルスによる脅迫事件の容疑者として、2013年2月10日に威力業務妨害の疑いで逮捕された30歳の会社員も 「ゆうちゃん」 だったため、それに関連して触れられる場合もあります。

 ともあれ、筆者 もよくパソコン初心者に メール設定 などを教えては、「すごーい」「パソコンの大先生だ〜」 呼ばわりされてるので人事じゃありません><。

パソコンの大先生はこんな人…?

 大学や専門学校などで情報系の学問を修めたとか研究したとか、IT系で 難易度 の高い国家資格や民間の認定資格を取得したとか、長年に渡る実務経験があるといった研究者・技術者・熟練者としてのパソコンのエキスパートは世の中に大勢いて活躍しています。 しかしこの場合はそこまで本格的なわけでは全くなく、ド素人から見て 「ちょっとパソコンに詳しいよね」 程度なのが、パソコンの大先生でしょう。 パターンとしては、このような状況が考えられます。

高度なプログラミングができるわけではない。
ブログホームページ(ウェブサイト) の大雑把な作成はできるが、php や JavaScript が自在に書けるわけではない。
自宅の無線LANは構築できるが、業務用ネットワークが組めるわけではない。
ビジネスソフトを使いこなして整理された資料を作ることができるわけではない。
キーボードは ブラインドタッチ (タッチタイピング) で使えるが、あまり使わない記号やテンキーは見ないと打てない。 Enter は強く打つ。
偏ったカスタマイズやランチャーを多用した自分の 環境 に慣れてしまい、デフォルト設定 のOSや他人のパソコンがまともに使えなくなっている。
頑張って自作パソコンを組んだまではよかったが、性能・価格ともに、既製品に負けていた。 メモリと電源だけは勝っていた。
geocities などの無料ホームページスペースに昔作ったサイトが残ってるが、IDと パスワード を紛失しているので、削除することもできない。
何はともあれ、Windows だ。
使い慣れた古いバージョンのソフトウェアから離れられず、PC買い替えの時にOSのバージョンが上がって使えなくなる場合は、ダウングレードしてまで使っている。
デスクトップが散らかっている素人のパソコン画面などを見ると説教したくなる。
わからないことを質問され、「いつも家にいてPCばかり触ってるくせに、何でそれくらいわからないの?」 と云われると切れる。
子供の頃、ゲームの裏技とかパソコンを使った チート の方法を得意げに教えてあげて下に見ていた友人が、いつの間にやら大手 IT 企業でプログラマとして活躍していて、遠い存在になったように感じる。
よく考えたら2ちゃんとネトゲしかしていない。
パソコンの大先生と呼んでくれるのは、家族だけだった。

 すいませんすいませんすいません…><。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2009年6月12日)
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