どうせ給料日前には食べるものがなくなる… 「給料日前対策備蓄」
「給料日前対策備蓄」 とは、給料日の前に金欠に陥って食べるものに事欠く状態になるのを見越して、手持ちのお金があるうちに保存性の高い食品を買いだめておくことです。 貧乏人の生活の知恵というよりは、無計画にお金を使ってしまうだらしがない人間の最後の手段みたいなところがありますが、「給料日前対策貯金」(小銭を貯める) と並び、生き抜くための ネガティブ な ライフハック の一つとなります。
どのような食品が備蓄に向いていて何を選ぶかは人それぞれですが、調理に時間がかかる、あまり美味しくないといった 「お金がある時は避けがち」 な食品がふさわしいでしょう。 備蓄には、単に長期保存できるといった意味の他、「つい食べてしまって給料日前まで残らない」 のを防ぐ効果 (残存性) も大切です。 手軽で美味しい食品では、すぐになくなってしまいます。
乾麺・小麦粉・たまご・缶詰さえあれば…
備蓄する食べ物はいろいろですが、もっとも多いのは乾麺のたぐいでしょう。 とくに茹で時間が長いストレートタイプの乾そばとか乾うどん、乾パスタあたりが最適です。 これらは手元にお金があるうちは 「作るのが面倒だから今日はいいかな」 と スルー しがちで残りやすいですし、おおむね安価で保存性も良好なため、給料日前対策備蓄の最重要品目とされます。 袋に入ったインスタントラーメンやカップ麺も乾麺ですが、こちらは調理時間が短いためすぐに食べてなくなってしまうので不適格です。 同じようにレンジで気軽に調理できる冷凍食品の麺類も備蓄に向いていません。
また小麦粉も乾麺に劣らず重要な食品・食材です。 水を加えて焼くだけでお好み焼き風の何かが作れますし、具なしでもソースさえかければそれなりに美味しく食べられます。 安価なキャベツあたりを加えればちゃんとしたお好み焼きにだってなります。 前述した乾麺もそうですが、炭水化物ほぼそのもののために満腹感も高く腹持ちもよく、費用対効果 (コスパ) は抜群。 給料日前サバイブを行う上で重要な食材のひとつだと云えるでしょう。
給料日前備蓄に適した食材の考え方 |
生たまごも困窮時の貴重な栄養源として欠かせないものです。 前述した乾麺やお好み焼きに加えることで栄養価が爆上がりしますし、焼いたり茹でたりしても単体で美味しく食べられます。
安価で保存性が極めて良好なのも選ばれるポイントです。 適切な管理をすれば、冷蔵庫保存で産卵後に夏なら2週間前後、春秋なら3週間、冬なら1ヵ月以上は生食できます。 保存の際は購入時の透明パックのまま冷蔵庫 (できればドアポケットじゃなく庫内) に入れるのが良いようです。
たまごは完全栄養食品とも呼ばれ、ビタミンCと食物繊維以外の必要な栄養が全て入っているとされますから、とりあえず1日1個たまごを食べてさえいれば、栄養失調で著しく体調を損なったり死ぬことはないだろうという確固たる信頼感があるのも心理的に大きいです。 スーパーマーケットなどで特売品に選ばれやすいのもポイントでしょう (それはそれとしてちゃんとバランスの良い食事を心がけましょう)。
缶詰も、給料日前対策備蓄において重要な アイテム のひとつです。 しかしこちらは おかず であり、食べるためには別途白米が必要となることが多いでしょう。 乾麺などに比べてもコスパに劣り、しかもふたを開けるだけで喫食が可能と気軽なこともあり、人によっては給料日前まで残らないとして重視されない傾向もあります (味が濃いもの、しょっぱいものが苦手な人なら残るかも)。 ただし保存性だけは抜群に高いので、お金がある時にまとめ買いしておくと、乾麺ばかり続く給料日前の食事にアクセントを与えてくれるかもしれません。
この他、補助的な食品として、10食分100円ほどで売られている生みそタイプのインスタント味噌汁、袋入りの煮干しなども手元にあると心強い食品です。 味噌汁はご飯に添えると満足感が向上しますし、いざとなればごはんのおかずとして味みそのように使うこともできます。 煮干しは小腹が空いた時のおやつとして優秀です。 手元にお金があると、わざわざ煮干しをかじろうとは中々思いませんからストックとして残りやすく、給料日前の食間時のアクセントに最適でしょう。 栄養価の高さも見過ごせません。
一方、困窮生活や給料日前の粗食の代表ともされる食材に、野菜のもやしと食パンの耳があります。 いずれも極めて安価で量も多く、貧乏人の味方ではありますが、いずれも日持ちしない食材であり、備蓄には適していないでしょう。 ただし備蓄食品を連食している時に、「今日はちょっと気分を変えたい…」 という場合には、有力な選択肢となります。
なお 「ふりかけ」 や 「チャーハンの素」 といったサブ食材も備蓄品として有望ですが、これらは白米があるのが前提のアイテムなため、白米特有の問題もあり、人や 環境 によって価値判断の基準がかなり異なります (後述します)。
日本人にとって備蓄食料として最強なのは 「米」 ですが…
腹持ちが良く喫食後の満足感も高く、保存性にも富む極めて優秀な食品に米 (白米) があります。 日本の主食であり、とりあえず炊き立ての米さえあれば何とかなると思う日本人は多いようです。 当然、給料日前対策備蓄の主役になっていてもおかしくはないのですが、そもそも日常的に 自炊 するような人は特段に備蓄を意識せずとも家に米はあるでしょうし、そうでない人の場合、まとまった量 (5kg とか10kg とか) を買おうとすると数千円するため、二の足を踏むケースも多いようです。
本当に貧乏だと、長い目で見たらそちらの方が安上がりなのに、そこに考えが至らない、あるいは数千円のまとまったお金が捻出できないといった境遇に陥りがちです。 一人住まいでそこそこ忙しく、かつお金が少ないやら体調がすぐれないやらの気分的に落ち込む状況が続くと、ご飯を炊いて食べるという当たり前の行為が、実は結構ハードルが高いものだと思い知ったりもします。 時間に余裕のある時にでもまとめて炊いて1食分ずつ冷凍しておくと便利ですが、慣習化していないとけっこう面倒なものです。 当たり前が幸せ、を感じる瞬間でもあります。
白米を食べるのは別途おかずが必要ですが、炊き立てならばそのままでも、あるいはちょっと塩を振りかけるだけでも結構おいしく食べられるものです。 マヨネーズやケチャップなどの調味料だけでもイケます。 さすが主食です。 それでもどうしようもない場合は、握り飯にする、冷や飯をおかずに温かいご飯を食べる、ごはんにおかゆをカレーのルーのようにかけて食べるなどがあります。 それが何日も続くと辛いものがありますが、たまに食べると結構おいしかったりします。 またごはんだけはあると云う前提なら、安価な 「ふりかけ」 や 「チャーハンの素」、瓶詰めの 「のり佃煮」 や 「いかの塩辛」 などのご飯のお供関係の食材が、給料日前対策備蓄用の主役として 急浮上 するでしょう。
防災備蓄としての意義も高い給料日前対策備蓄
給料日前対策備蓄の品々は、そのまま防災備蓄としても活用できるものが多く含まれています。 若い頃に 趣味 やらに散財しすぎて給料日前対策備蓄に勤しみ、その後経済的に余裕ができてもつい保存食を買い溜めてしまい、家族や同居人から笑われたり困ったやつ扱いされることもありますが、ちゃんとその都度食べきれているのなら、あまり目くじらを立てなくても良いでしょう。
食料や日用品などを多めに購入してストックし、古くなったものを消費し新しいものを補充するといったローテーションによって一定量を常に確保することは、防災用語でローリングストックと呼びます。 また防災用にも使える物品やサービスを日々の生活に取り入れることをフェーズフリーと呼びます。 こうした取り組みが結果的にせよ緊急時の対応にも利用でき防災が進むなら、むしろ有意義な試みでしょう。 もしキャンプや登山が趣味のうちなら、それらの道具類も併せるとサバイバル能力が飛躍的に上がります。
実際、2011年の東日本大震災や、2020年の新型コロナ感染症の流行などでは、一時的とはいえ一部地域で商店の棚から食品などが消え去る状況も生じています (都内のうちの近所でも本当に棚から食べ物が消え去って結構 ビビリ ました)。 直接の被災地ではなくインフラ施設が物理的に健在であっても、大災害が起こって流通が混乱すると短期的にせよ食べるものが簡単に手に入らなくなる状況は生じます。 「電気水道ガスさえ止まらなければ1週間程度は食いつなげる」「仮にインフラが全部やられても数日なら何とかなる」 というのは非常に心強いものがあります。
南海トラフ地域をはじめそう遠くない将来に大規模震災が予想される中、万が一の備えとして心がけるのは有意義なことでしょう。 国も在宅避難 (安全なら自宅に留まって避難する) を念頭に、1週間分程度の食料備蓄を推奨しています。 各自治体でも、3日分程度の水や食料の備蓄を最低限の自助努力として呼び掛けているケースが多いでしょう。
ちなみに 筆者 はお金を計画的に使えないタイプなので、若い頃から給料日前対策備蓄に励んでいます (コミケ などの 同人イベント でのお買い物用も兼ねて、小銭も貯めています)。 これで過去に救われたことは何度もあります。 冷蔵庫内の食品を含めキッチンの一角が超ミニコンビニや地方の乾物中心の個人商店みたいになっていて、元々出不精なこともありますが、いつでも2〜3週間程度なら自宅に立てこもれる強固な防御体制を維持しています。 在庫がだぶつきそうな場合は、消費期限が近くなる前に近所のスーパーなどに設置してあるフードバンクの投入箱に、その場で買ったお菓子なんかと一緒に入れて寄付しています (中抜きされるわけのわからない募金よりずっといいですよ)。
新型コロナ感染症騒動の時はたまたま マスク やらアルコール除菌シートやらの箱単位の未開封在庫がありました。 買い占めなどによる不足が生じた際に友人らに 「こんなこともあろうかと」 と配ったり近所の児童施設などにプレゼントして喜ばれましたw 人生でたった一度でもこうしたことができただけでも、備蓄していた甲斐があるというものです。