同人用語の基礎知識

真面目系クズ

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表面的には真面目だけど裏には黒いものが… 「真面目系クズ」

 「真面目系クズ」 とは、一見真面目そうに見えるけれど、中身は クズ な人のことです。

 学校や社会の規則はおおむね守り、品行方正で几帳面、真面目さだけが取り柄なくらい真面目で原理原則にのっとった正論を喋り、誰もが一目置くような理想的な目標を語ったりもするけれど、実際の行動や中身が全く伴わない人を指す ネットスラング です。 不良・つっぱり・ヤンキーといった、一般的に社会から疎まれる人を指す DQN と対比される言葉で、誰か第三者を指して罵倒する使い方もありますが、どちらかというと強く自認・自称する 概念 となっています。

 真面目な顔の裏でどす黒い何かを内面に持って自ら苦しみ葛藤している場合もあれば、それを打ち消すように真面目であろうとしすぎて誰も反論できない正論ばかり口にしたり友人らの悪さの チクり (密告) みたいなことをしてしまったり、結果的に人の期待を裏切ってしまう、約束が守れない、自分に甘く土壇場で逃亡する、あるいは常日頃から現実逃避している、他者とコミュニケーションが取れないといった自分自身の不甲斐なさで自分が許せなくなるような激しい感情を伴う場合もあります。 表の顔と裏の顔や内心、理想と現実とのギャップが大きすぎる場合、救いようがないほどの強い自己嫌悪を持つのが特徴でしょう。

 もちろん見た目が不良やヤンキーで少々悪いこともするけれど、本質は真面目だったり優しい人も大勢いますから (単に生まれ育った 環境 によって善悪の基準が一般とはずれているだけだったりもする)、逆に真面目そうに見えても中身は醜悪な人だっているのが当たり前です。 でもそれが何で俺なんだ、自分なんだという気持ちは、潔癖で真面目であろうとする人にとっては耐え難いことなのでしょう。 とくに若いうちは、自分がクズであると真正面から受け止めて認めるのはとても辛く、「まだ本気を出してないだけ」 と取り繕ってみたり、代償行為としての正論で自分を飾り立ててごまかしたくなる気持ちは痛いほどわかります。

あいつは不良でいい加減なのに何で人気があるんだ…俺は真面目で誠実なのに…

 自分が 「真面目系クズ」 であるのを強烈に意識するのは、学校生活における他者からの視線、特に異性からの目でしょう。 不良でヤンキーなクラスメイトが何故かモテる。 掃除当番をさぼったり他人に対して悪態をつくのに存在感があるし人気もある。 要領がよくて何だか先生とも仲良くやっている。 それなのに真面目で他人に丁寧に接する俺は空気扱いで注目すらされない…。 こうした境遇に理不尽さを感じ、じゃあ俺もと学校のルールを破ったり他人に悪態をついてもやっぱり注目されず、逆に非難されてしまう。

 もちろんここで、「勉強は俺の方ができる」「スポーツなら負けない」 など社会的に評価される長所があれば、自らを 「真面目系クズ」 と呼ぶほど 「こじらせる」 ことはないのかも知れません。 しかし実際は勉強もたいしてできないし運動神経も平均かそれ以下でダメ、そしてしばしば容姿に自信がないともなると、妬み嫉みから敗北感・劣等感まっしぐらです。 いつしか善人的な体面を取り繕うだけで、心の中には ゲス な考えが充満していきます。 結果、引きこもりがちとなったり、こっそり嫌がらせをしたり、匿名の 掲示板 など 身バレ しない場所で悪態をついたりするようにも。

 こうなると、そもそも 「真面目」 という自分の取り柄すらも疑わしく感じられ、ネガティブ な感情がとめどなく溢れ、自己肯定感もなくなり、取り柄が何もない正真正銘のクズではないかと悩みを深くする結果となります。 そして何の救済もないまま時間が過ぎると、人格形成などにも大きく影響を及ぼす深刻なものになり、自虐・諦観としての 「真面目系クズ」 を自称するようにもなってしまうのでしょう。

誰だって一度はそういう気持ちになる…「真面目系クズ」

 こうした感情の揺れや心の渇望は、誰だって思春期の頃には多かれ少なかれ経験するものでしょう。 子供の頃の全能感がいくたの敗北や失敗を経て失われ、離人症的な感覚 (自分を必要以上に客観視してしまう) に苦しみ、自らが思い描く 「あるべき自分の姿」 からかけ離れた境遇の自分がいることを受け入れる辛さ。

 多くの人はそこから親の愛情を感じたり、あるいは友人・恋人に恵まれてあれこれ 支えられた り、没頭できる趣味や生きがいを見つけるなどしてありのままの自分を受け入れ、先に進んでいくでしょう。 しかしこれらは相当部分が運のうちで、運がなければ、あるいはネガティブ思考すぎてチャンスが巡ってきても素直に受け入れられなければ、暗闇の中でもがき続けることにもなるでしょう。

 2ちゃんねる などの掲示板の利用者には、こうした心の闇や生きづらさを抱える人が少なくないのか、「真面目系クズ」 なる救いのない言葉や概念は、身につまされる共感できる考え方・言葉として語られることが多い用語となっています。 筆者 はそれなりの幸運に恵まれ周囲に助けられましたし、今となっては年も年ですから諦めもつき、こうした感情からは抜け出せました。 しかし昔を思い出すと心が苦しくなるというか、ほんとね、自分じゃどうしようもないのですよね、こうした感情は。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2007年7月12日)
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