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青春コンプレックス

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未練と後悔…あたしの青春はいったいどこに… 「青春コンプレックス」

 「青春コンプレックス」 とは、中学生から高校生くらいの頃に 「これぞ 青春」 と自他ともに思えるような甘酸っぱい思い出とか、胸がドキドキするような体験がなかったことに劣等感や引け目を感じたり、「青春がなかった」 という満たされない思いが後々まで心の中に暗い部分を作ってしまうことです。 またその原因を形はどうあれ自分に求め、「こうすればよかった」 などと強い自責の念や後悔が生じることもあります。

 例えば異性との恋愛やそれに近い交際がなかった、親友と呼べるような友人、ゲラゲラと笑い合えるような仲間がいなかった、ぼっち で孤独だった、文化祭とか体育祭などの 学校行事 で存在感もなく、部活などに打ち込んでもいなかったなどになります。 恋愛を例に具体的に云えば、彼女彼氏と熱愛や性行為までしないまでも、せめて手をつないで下校してみたかった、体育館裏で告白したりされたりしたかった、お互いの家に行き来して勉強会をしたり、休みの日に遊園地に行ったり、バレンタインで手作りのチョコを作ったりもらったり、昼休みのお弁当や下校途中の喫茶店で飲み物や食べ物の一部を交換して間接キスでドキドキしてみたかった、みたいな感じですね。

 特別に キラキラ していなくてもいいけれど、せめて人並みでいたかった、平凡でもいいから少しくらいはときめくものが欲しかった、どうして自分にはそれがなかったのだろう心の渇きがいつまでも続くというわけです。 人によっては孤独どころか いじめ を受けて絶望しかなかったとか、引きこもり でまともな 学校 生活が送れなかった、生きている意味すら感じられなかったといった場合もあります。

 中高生くらいの年代は多感で傷つきやすく、それゆえに自分の隣で楽し気に青春を謳歌している (ように見える) クラスメイトなどへの憧れや嫉妬、不公平感、引け目や敗北感で得た心のしんどさは学校を卒業し社会に出てからも重しのように心の中に残り続けることも少なくありません。 高校卒業時点では、まだ大学や専門学校といった 「生徒・学生としての最後のチャンス」 が残っていますが、社会人となると 「はい! 青春タイム終了ー!」 みたいな最後通牒を突き付けられる感が強いです。

 その結果、街中で見かけた高校生カップルや グループ を見ては切ない気分になったり、学園ものマンガアニメ、ドラマなどを見るのが辛いといった状態をずっと引きずることもあります。 とくに1987年から1990年にかけてテレビ放映されたコカ・コーラ社のテレビ CM 「I feel Coke」 シリーズのような人間模様は、見ると嫉妬や劣等感のあまり苦しくなるという人は少なくありません。

思春期に承認欲求が満たされず、自己肯定感も低いまま

 青春コンプレックスの 厄介 さというか 予後の悪さ は、若々しく輝かしい時代に良いことがなかったという 「後悔」 や 「未練」 だけでは済まない点でしょう。 若い頃、とりわけ人格を形成する思春期の頃に異性や友人から認められたり肯定されたり 愛される といった触れあいや交流は、承認欲求 を満たしてくれる心の栄養のようなものです。 結果として自己肯定感が低くなり、この 「後悔」 や 「未練」 と 「自己肯定感のなさ」 がスパイラル的に絡み合って一層心を締め付けます。

 またそうなった原因を自分に求めた時、引っ込み思案・コミュ障ネクラ な性格とか、勉強や体育、部活も中途半端だった自分の無力さや無気力さ、おまけに背が低いとか太っているとかニキビがあったとか、何らかの ルックス に関するコンプレックスがあった場合、それらも前述した ネガティブ なスパイラルに組み合わさって、もうどうしようもないほどの自己嫌悪を引き起こしてしまいがちです。 そしてそれらは 「青春という輝かしい時代が過ぎ去った今」 となってはもはや取り戻すことも挽回するチャンスもありません。

 ここでネガティブで ゲス な考えが頭の中に充満して拗らせてしまうと、それはそれでさらに自己嫌悪が募って辛いものですし (状況によっては 真面目系クズ みたいに呼んだりもしますが)、悪いのは自分ではなく周囲の人間だったと 他責 したり、大人になって承認欲求を満たそうと 自己顕示欲 を爆発させて奇行に走ったり ネット放火 を繰り返すのも、それはそれで周囲に対しても迷惑な存在になり、ますます孤立して過去に目が行ってしまいます。

 このあたりは 「時間が解決してくれる」「仕事や 趣味 に集中して、そちらで成果を上げて心を満たせばいい」「過去に囚われるのは現在が満たされていないからで、自分磨きして恋人を作るなりして現在を幸せにすれば解決する」 などなど、一般でよく云われる解決法くらいしか処方箋はありません。 とくに現在が満たされていれば過去のあれこれが相当程度軽減されるか、あるいは 「そんな頃もあったな」 と思えるようになるというのはかなり正しいです。 とはいえ青春コンプを発症している人もそんなことは十分に分かっていて、それでもなお消化しきれずに苦しんでいるのでしょうから難しい問題です。

 本人に非がないのに交通事故のように襲ってくるいじめや仲間外れはともかく、幼なじみ がいたりそれなりの人間関係を周囲と結べているのに青春らしいトキメキがなかったというのは、かなりの部分、運次第です。 また自分と比べて恵まれているように見える コミュ強スクカ 上位の リア充 たちも、それぞれがそれぞれの悩みや心の渇きを感じていて、アニメやドラマのような青春時代を過ごせた人などごくわずかでしょう。 隣の芝生は青く見えるものです。

 筆者 も若い頃はそれなりに拗らせた人間だったと思いますが、結局は変えられない過去への執着をどう切り離すかであり、早ければ早いほどその後の人生も明るくなります。 青春コンプを抱えている人は結構多いのですが、できれば愚痴を云い合うのではなくお互いの良いところを褒め合うことで、心穏やかな生活を営みたいものです。 他人を褒めたり認める人には、同じように他人を褒めたり認めたりする好ましい人が自然と集うようになります。 そもそも20代や30代くらいだと中学高校くらいの辛い思いが頭を支配しても、40代50代となれば20代30代の頃の辛い思いや楽しい思いが頭を支配するようになります。 未来の自分に新しい青春コンプを手渡さないためにも、今できることを頑張るようにしましょう。

 またこの文章が 同人用語サイト のそれだからというわけではありませんが、趣味として創作活動にぶつけるのはとても良い方法のひとつです。 コンプレックスは創作のとても大きなエネルギー源です。 ただまぁ、青春コンプを持った身としては、現在がどれほど恵まれ幸せでも、やっぱり全てを切り離すのは難しいです。 ただそれを含めて 「自分や貧しい青春を許せる」 ような時期がいずれきますから、今できること、やるべきことをコツコツやるしかなさそうです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2008年8月1日)
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