おいジジイ、水と食料をよこせ!「モヒる」
「モヒる」 とは、無法状態で暴れまわり略奪したり、他人に迷惑をかけることです。
元ネタ としては、マンガ や アニメ で大ヒットした 「北斗の拳」(武論尊/ 原哲夫/ 集英社/ 少年ジャンプ/ 1983年〜1988年/ アニメ/ 1984年10月4日〜1988年2月18日/ 109話+43話) に登場し、村を襲い村人を苦しめる 「モヒカン族」(モヒカン刈りにトゲトゲのついた革ジャンを着こみ、バギーやバイクで移動する 雑魚敵) からとなります。
この作品では、別に 「モヒカン族」 という名前が付いていたわけでもなく、またこうした雑魚敵の全てがモヒカンだった訳でもないのですが、特徴として分かりやすいので ネット の世界でしばしば話題に登り、モヒカンが動詞化。 ある意味でキャッチーな ネットスラング となりました。 使われるようになったのはもっぱら2000年代になってからで、「モヒる」「モヒった」 の他、「モヒモヒる」 などと重複して表現する場合もあります。
なお似たような意味、使い方をする言葉に、同じ北斗の拳のモヒカン族を由来とする ヒャッハー! があります。 こちらは、そのモヒカン族が叫ぶ奇声から生じた言葉です。
ネトゲでアイテムを奪うマナーのない利用者なども
この 「モヒる」 ですが、「ネトゲ」 などで他人の迷惑を考えずアイテムダッシュする人 (モンスター やエネミーの落とした アイテム をダッシュで移動して奪い取る) や、一部の 馴れ合い の グループ で徒党を組んで迷惑行為を働く人、やることなすことルール無視の 厨房 などを表して使う場合が多いようです。
それ以外の場合は、ネットの 掲示板 などで DQN と呼ばれる乱暴者の短絡的な犯罪などを指して使う場合もあります。 ただしいずれのケースでも 「ヒャッハー!」 の方が言葉としてインパクトがあり結果として頻度も多く、あまり目立たないイメージです。
一方で、他の プレイヤー や NPC (ノンプレイヤーキャラクター/ Non Player Character) からアイテムを受け取る、奪取することそれ自体を、多少オーバーに 「モヒる」 と呼ぶ場合もあります。 中でも村を作り物資の増産に努め、時に他の村をゲームルールの範囲で襲って物品を奪うシステムを持つゲーム (Travian/ トラビアン など) では、プレイヤーに悪意がある、ないに関わらず、他の村を襲う、キャラ からアイテムを奪うことを 「モヒる」 などと呼んでいる場合もあります。
ネットにおける 「モヒカン族」「ネットモヒカン」 って何?
2006年、ネット上のいわゆる お祭り について、祭りの対象をよってたかってバッシングする人たちを、「ネットモヒカン」 と呼ぶとの話題がでたことがあります。 この言い回しは元々、パソコン通信 の時代によく見られた、ネチケ君 (ネチケット を金科玉条とし、これに反した人を 「正義は我にあり」 とばかりに得意顔で指摘し批判・攻撃する空気の読めない人) のような ニュアンス の言い回しでした。
元ネタは、2005年6月14日に otsune氏によってエントリーされた 「ネットのお宅くんたちの理屈は気持ち悪いので聞き入れるつもりは有りません」というありがちな遮断」 でした。 ネットをサザンクロス・シティに喩え、ネットを良く知らないで入ってきた一般人が不用意な発言などを行い、ネット世界の強者である原理主義的なネットジャンキー、ネットオタク、すなわち 「モヒカン族」 に襲われている、その対応などについて触れられたものでした。
この時には直接 「ネットモヒカン」 との呼称があったわけではありませんが、このエントリーが話題となる中で、その後様々な関連用語 (偽モヒカン族やメタモヒカン族、ムラビト、手斧など) が作られたり、意味が 拡散 することに。
さらにその後、「現代用語の基礎知識2006」 の 「はてなダイアリーキーワード100」 に 「モヒカン族」 が選ばれたことからネット上に広がり、特定対象を大勢でバッシングする 「ネットイナゴ」 のようなニュアンスで受け止められるように。 これらの言い回しは 「はてな」 界隈 で大きな話題となり、様々な考察も行われていた (mohican グループ) ものの、ネット全体ではすぐに収束。 その後あまり普及はしませんでした。