かわいいしっぽがゆらゆら揺れる 「ポニーテール」
「ポニーテール」(Ponytail) とは、頭髪 をゴムなどの髪留めによって後頭部でひとつにまとめ、そのまま垂らしたアップスタイルの髪型のひとつです。 略して 「ポニテ」 あるいは日本語名で 「総髪」、両サイドからしっぽを出す ツインテール との対比で 「シングルテール」 と呼ぶこともあります。 ある程度の長さの頭髪を手軽にセットできる髪型であり、日常使いとして外出時に用いることもあれば、スポーツなどで一時的に髪をまとめたい時、部屋でくつろぐ際の気楽で気取らない髪あしらいとしてもよく見かけるものとなっています。
名称は馬のポニーの尻尾のような形になることに由来します。 同じような髪型やその名称に 「ひとつ結び」 がありますが、それを含めて後頭部の上の方で束ねるものをポニーテールと呼ぶことが多いようです。 襟首あたりの下の方で束ねる場合はローポニーと呼んで区別することが多いでしょう。 結び目の上の部分 (トップ) を浮かしたり (膨らませる)、逆にぺったんこにする (ぺたんこ)、でこぼこにするなどのアレンジもあります。 前髪についてはあったりなかったりで、これはカットによってできるかできないかが決まります。 前髪を眉毛あたりで切り揃えると、自然な形で前髪なし (デコ出し) ポニテを作るのは難しいでしょう。 逆に完全におでこを出さずに薄く前髪を垂らす感じにすることもあります (シースルーバング)。
結んだしっぽ部分のあしらいはいくつもあり、そのまま垂らした場合、結び目の位置 (高さ) によっては 「くノ一」(クノイチ/ 女忍者) と呼ばれることもあります。 三つ編みのように編み込んだり、編み込んだ後に髪の毛をある程度の房 (毛束) 単位であえて引っ張って崩すのは 「ゆるふわ」 みたいに呼ぶことがあります。 崩し方にセンスや技術が必要な上、ベストな崩しを固定するためにあれこれ整髪料が必要など、編み込み部分のボリュームアップや柔らかさ、抜け感 のためとはいえかなり大変なアレンジだと云えます。
なお後頭部ではなく側面の左右どちらかで束ねる場合はサイドテール、左右それぞれからひとつずつ束ねる場合はおさげ、あるいは前述したツインテールと呼びます。 ポニテとツインテが合体したような3つテールならトライテールや三つしっぽです。 しっぽ状にして垂らさずに丸める場合はお団子とかお団子ヘアと呼びます。 これらは単独でセットされることもあれば、組み合わされる場合もあります。 例えばお団子ツインテールみたいな感じですね。 また一般的にポニーテールは女性の髪形だと 認知 されますが、男性のいわゆるロン毛と呼ばれる髪型で行う場合もあり、その場合は俗語として 「ちょんまげ」 や 「まげ」(いわゆるお相撲さんなどが行う髷とは異なります) と呼ぶこともあります。
ありふれた髪型だけに マンガ や アニメ といった創作物の キャラクター でもよく見かけます。 おかっぱ やおさげなどに比べると活動的な女の子として描かれるケースが多いのですが、金髪 で大きな赤い リボン を使った描写などは、可愛らしい美少女の 定番 のヘアスタイルだと云っても良いでしょう。
可愛らしく色っぽい、年齢を問わず愛されるポニテ
しっぽのような髪の房が後頭部にちょこんとついて揺れる様は、とても愛らしいと感じられるものでしょう。 またシンプルなヘアバンドで留めるだけでなく、女性っぽい髪留めやリボンなどを用いたり、しっぽの部分を編み込むといったアレンジなどで、より一層の可愛らしさ、女の子らしさを強調することもできます。
その一方、髪全体をひとつにまとめることから、左右の耳や首の後ろのうなじ部分が 露出 し、そこに独特のお色気や魅力を感じる男性は多いようです。 これは普段隠れがちな部分が見えるからだとされることが多く、いわゆるチラリズムの魅力だと理解されているようです。 また前髪からもみ上げのあたり、耳の前方あたりの髪が短く細く垂れる おくれ毛も、ポニーテール特有のものではないとはいえ、合わせてこの髪型の魅力を高める役割を果たしていると云えます。
とくに日ごろはダウンスタイル (結い上げずそのまま髪を下した髪型) の女の子が、スポーツとか風呂上がりとかで一時的にポニテ (やアップスタイル) にした場合の破壊力はあまりに甚大すぎるとはよく聞く話です。 このあたりは服装 (体操着とか浴衣とか) のインパクトも大きすぎて相対的に過小評価されすぎているきらいがあります。
女子小中高生の間でもポピュラーな髪型ですが、一部の学校では前述したうなじの露出が色っぽすぎる、男子の劣情を喚起するといったよくわからない理由で、校則で禁止している場合もあります。 その一方、大学新卒の就活や入社式などの際は、黒ずくめのリクスー (リクルートスーツ) に 黒髪 のポニテは、ある種の定番ともなっています。 こちらは 地味 に仕上げてまじめさを出したり、変に目立たないようにして横並び意識する、清潔感 を高めるためといった動機の元、1990年代後半のバブル経済崩壊後の氷河期前後に普及し定着したものだとされています。
ポニテは女性の髪型の中では日常使いのカジュアルなものだとされ、例えば結婚式といったフォーマルの場でのお呼ばれヘアスタイルとしてはマナー的にいかがなものか? みたいな意見もあります。 しかし前述したアレンジやヘアアクセサリーなどで華やかさやフォーマル感を演出できますし、あまりにシンプル過ぎるものでなければ、ありなしでいえばありといった意見が多いかもしれません (結婚式でも何らかのパーティーなどでも、普通 によく見る髪型です)。
ただし花を モチーフ とした アクセサリー は、結婚式の場合は式の 主人公 である花嫁に配慮して避けるのが一般的でしょう。 このあたりは実際に自分が友人の結婚式などに参加する際にはマナー本や サイト を見て確認もするのでしょうが、社会経験に乏しい若者がマンガのワンシーンなどで無意識に描くと、ツッコミ が入りやすいかもしれません。
誤ったポニーテールは頭痛を生じたり、髪や頭皮を痛める原因にも
ポニーテールの結び方がきつかったり毛を無理に引っ張ったり、あるいは毛の流れに逆らった結び方などで頭皮が引っ張られ、頭痛を起こすことがあります。 これは俗にポニーテール頭痛 (ポニーテール症候群) と呼びます。 またこれらを日常的に繰り返すことで頭皮への負担 (引きつりによる血行不良) から髪の健康や成長が妨げられたり、場合によっては牽引性脱毛症と呼ばれる ハゲ が生じたり進行することもあります。 結んだ時点でちょっと違和感があるような引っ張り方は時間経過とともに必ず 痛く なってきますから、あまり強く結ばないことが大切です。