少女から老女まで守備範囲が広い万能? スタイル 「ひっつめ髪」
「ひっつめ」 あるいは 「ひっつめ髪」 とは、前髪を含めた全ての 髪 を根元から後ろに引き詰めてひとつに束ねるアップスタイルの 髪型 のことです。 ひきづめ髪や漢字で引詰め髪と書くこともあります。
前髪を薄く残すこともありますが、おおむね デコ出し (デコ出しヘア) となりがちな髪型のひとつであり、ロング や セミロング といった長めのヘアスタイルが多い女性が、生活する中で邪魔になりがちな前髪を含めた長い髪のあしらいのひとつとしてよく用います。 後ろの束ねた部分は ポニーテール とか、束ねた上でまとめたものは お団子 と呼びます。 髪の長い男性、いわゆるロン毛で行われることもあります。 その場合、後ろで束ねた髪はちょんまげと呼んだりします。
創作物の世界では髪をまとめた キャラ が何人かはいますし、ひっつめも1人や2人くらいは登場するものです。 髪の長さや束ねた部分をどうあしらうかで幼くて子供っぽい、あるいは垢ぬけない イモ っぽいキャラになるか、それとも都会的で大人っぽい知的で凛々しい お姉さま になるかは様々です。 フォーマルな場でも用いられるひっつめですが、あくまで日常生活、とくに前髪が邪魔になるスポーツ系の部活を行う際にもよく用いられる印象が強いため 制服 や ジャージ などとも相性が良く、おたく な人たちの間ではしばしば ロリ といった部分も含めた 萌え要素 としても扱われます。
便利だけれど、ひと昔前はあまり評価されなかったひっつめ髪
ひっつめは、小さな子供から若い女性、中年から高齢者まで、多くの女性が年代を問わず行います。 しかしおでこをはじめ顔ががはっきり出ることから若々しくなる場合もあれば、人によってはシミやしわなど難があっても隠すことができずに実年齢以上に老けて見えたりもするスタイルでしょう。
ひと昔前の女性の多くが前髪を上げて後ろで縛るといった髪型をしがちだったため、「おばさんくさい」「しみったれて見える」「お母さん みたいな髪型」 と、あまり評判の良いものではありませんでした。 髪の手入れが行き届いていなくても後ろに束ねれば何となくまとまることから、おしゃれに無頓着な層が無造作にやっていたことも影響しているのでしょう。 とくに 白髪 で髪の毛がピンピン飛び出すひっつめお団子頭で、両方のこめかみ部分に湿布のような四角形で白いもの (頭痛に効くとされた貼り薬) を貼っている姿は、昭和 のおばあちゃんを象徴するもののようになっています。 意地悪ばあさんスタイルですね。
しかし前髪が長いと何かと不便ではあるし、女性の多くが会社勤めなど人と会うような仕事を行うようになると、時間がなくても簡単に髪をまとめられ、また日々の髪の手入れも楽なひっつめも再評価されるように。 様々にアレンジされる中でバリエーションも増え、日常使いながらとてもおしゃれなものにも変化しています。 ちなみにステレオタイプな 腐女子 を描く場合は、おおむねひっつめに メガネ といった形が多いでしょう。 これは悪意を持って描かれる場合もあれば、当の腐女子が半分 自虐 も込めた 自画像 として描くこともあります。
黒っぽいリクスーにひっつめポニテは就活女子の新フォーマルに
1990年代にバブルが崩壊し、それまでの華美でいかにも女性らしい派手な髪型が避けられ 地味 が好まれるようになります。 なかでも就職難と呼ばれた頃に新卒者の間でひっつめが 「就職活動に最適な髪型」「清潔感 があり、まじめに見られる髪型」、なにより 「その他大勢として振舞える悪目立ちしない無難な髪型」 として扱われるようになります。 黒や黒っぽい リクスー (リクルートスーツ) に 黒髪 のひっつめポニーテールといった髪型は、就活のシーズン (面接や内定式、入社式など) には街にあふれる若い女性の 定番・季節性ファッションのような扱いにもなっています。
これをもって 「個性がない」「量産型 だ」 と批判する向きもありますが、別に本人らもしたくてやっているわけではないので (けれどみんなやってるし自分だけ違うと浮くのが怖い)、その意見も一方的で空しいものでしょう。 実際、いつもの髪型でチャレンジしたらよい感触が得られず お祈り されて、黒リクスー黒髪ひっつめにしたら内定が出たみたいな話が積み重なってこうした風潮やある種の 自主規制 が生まれ部分もあるので、批判するなら画一的な姿でないと評価しない企業側の方をこそでしょう。 とはいえこうした時代が長く続いたことにより、このスタイルもまたひとつの萌え要素になっているのは面白いと云うか切ない部分ではあります。 地味で禁欲的な部分が 刺さる 人も結構いるのでしょうね。
なおよくある ひっつめの特徴としては、髪は後頭部で耳より少し下あたりの位置で束ねることが多いでしょう。 またうなじやあご付近の高さからおくれ毛を引き出します。 完全におでこを出したくない場合は、前髪を薄めに下ろし、形がおかしければヘアアイロンでリバース巻きにするなどして整えます。 まとまらない髪があった場合は、目立たない ヘアピン (アメピン) で固定するのも良い方法です。 なお束ねた部分の高さを調整することで、その人にあった可愛らしさや大人っぽい上品さ、知的なムードを演出することもできます。
一方、あまり髪の毛を強く引っ張ったり、あるいは毛の流れに逆らった結び方などで頭皮が引っ張られると、頭痛を起こすことがあります (ポニーテール頭痛 (ポニーテール症候群)。 またそれが続くと牽引性脱毛症といった、抜け毛や薄毛、ハゲ の原因となることもあります。 引っ張って結んだ時点でちょっとキツイといった場合、しばらくすると必ず 痛く なりますから、あまり無理はしないようにしましょう。 また自宅で前髪がうるさいなら緩く結んでなるべく ヘアバンド なども併用する、外出時にその時間が取れれば、一時的に髪をほどくといった休憩時間も取りたいものです。