自画像から自虐、そして差別的な言葉へ… 「チー牛」
「三色チーズ牛丼顔」、あるいはその略である 「チーズ牛丼」「チー牛」 とは、牛丼チェーン 「すき家」 で販売されている 「3種のチーズ牛丼」 を注文したり食べてそうな顔、といった意味の言葉です。 具体的には、「すいません、三色チーズ牛丼の特盛に温玉付きをお願いします」 と注文する男性みたいな顔、あるいはそういった顔や 雰囲気 の男性 (陰キャ) を揶揄したり、「どうせお前はそういうヤツなんだろう?」 などと決めつけて 煽ったり 罵倒するような使い方をする言葉、ネットスラング です。
言葉が生まれた発端としては、2018年7月19日に 5ちゃんねる (2ちゃんねる) の人気掲示板 「なんでも実況J」(なんJ) のスレッド (なんJ 昼のニート無職部 part3) に 画像 (黒髪 で メガネ をかけた若い男性の イラスト/ いびりょさんの 自画像) が貼られ、その画像や様々な反応の レス が注目を集めたことに始まります。
なお 2025年はじめには、男性に対して口汚く批判しチー牛呼ばわりする女性とおぼしきネット利用者 (端的に云えばフェミニスト風のツイフェミと呼ばれる人たち) を、カウンターやある種の ミラーリング として 「豚丼」 と呼ぶようにもなっています (後述します)。
「三色チーズ牛丼顔」 発端となった書き込み
301 :風吹けば名無し:2018/07/19(木) 17:11:15.64 ID:0V7RAyaFa.net[6/19]
就労移行支援で面白かったのは利用者の若い男が皆同じ顔をしてた事
ザ・陰キャって顔
眼鏡
黒髪
子供のような 髪型
覇気のない抜けた顔
(悪い意味で)童顔
大人なのに中学生のようで気味悪い
10人いたら8人がそんな顔
https://i.imgur.com/akAJmjk.jpg
人間顔で分かるんやなって
あまりにも俺すぎる…身につまされるイラストへの共感
この スレッド では、スレッドタイトル にあるように昼から 掲示板 に集う ニート や無職が、過去の仕事での失敗談や就活の悩み、日々の生活やさらには人生について、愚痴ったり相談したり答えたり語ったりする内容のものでした。
そこに貼られたイラストの男性像は、いかにも似たような境遇の人にいそうな風貌となっており、また画像を貼った人の特徴を箇条書きしたコメントも的確なものとなっていました。 「こういう顔のやつおるよな」「ワイやんけ」「ワイやん…」 との身につまされる共感を呼ぶものであり、大きな注目を集めることに。 それは おたく や ヒッキー にいそうな顔であり、童顔であまり明るい感じではない冴えない男性といった風貌です。
当初は 自虐的 な受け取り方が多かったものの、おおむねフラットな扱いでもありましたが、その後このレスは画像とともにコピペされて広がり、まとめ系 ブログ によっても拡散。 ふたば☆ちゃんねるではこのイラストを用いた様々な コラ も大量に作られ、ある種の 祭り の状態に。 さらに掲示板にこの話題で大量のスレ立てによる 荒らし 行為までが行われ、掲示板利用者らから強い反発が生じるなど、ネガティブ なイメージがこれ以上ないほど生じることとなりました。 以降は荒れやすいネタとして触れるとしても 「例の画像」 といったぼかした扱いがされ、掲示板などでは強く忌避されるような状況にもなっています。
なお2020年7月28日に SEGA の 公式 な放送でこの言葉が関係者によって使われ、それによる 炎上 も起こっています。 この炎上はかなり大きなニュースとなり、ネットメディアで取り扱われる中でヤフーニュースなどでも紹介され、ツイッター でもトレンド入り。 以降は一般層にも 「おたく」「根暗」 を悪しざまに表現する負の言葉としてこの 「チー牛」 が徐々に広がることとなりました。
男性嫌悪で多用される負の言葉として、また対義語に 「豚丼」 も
それからしばらくすると、今度は主にツイッターなどの SNS において、ミサンドリー (男性嫌悪) の文脈で用いられることが増えることに。 これはフェミニスト風の意見を口汚い表現で 書き込む 女性とおぼしき利用者らが、もっぱら萌え絵を 「女性差別だ」「性的搾取だ」 などと批判する中で、それに反論してくる男性とおぼしき利用者らを罵倒するために使うようになったものです。
チー牛以前はこれまでの罵倒語としての 「おたく」 がよく使われてきましたが (他には キモイ とかモテなさそうとか)、おたく趣味が一般化しておたくという言葉にさほど負の ニュアンス がなくなり罵倒としての 「効き目」 がなくなって来たこと、そもそも2020年代になっておたくが罵倒語として使えると思っている時点で時代錯誤に陥っており、とくに若い世代に 老害 として批判されるようになってきた点もあるのでしょう。 その代わりに使える言葉に、ネットで忌避されがちなチー牛があったということなのでしょう。
一方でそれへの対義語として2025年はじめから 「豚丼」 も使われるように。 これは直接的にはチー牛を連呼する女性が サブアカ に 投稿 していた写真に写っていたふくよかな手から体形を予想した投稿に端を発しており、単純に牛丼屋の 定番 でもあるメニュー同士で意趣返しのカウンターをした部分もあれば、当時 多くの ネット民 に受け入れられ広がった背景に、同じ時期となる2024年暮れから2025年冒頭にかけて炎上した、とある豚という文字が名前についたラーメン屋さんでの女性客と店側の トラブル の影響もあったのかも知れません (店名にある豚と女性差別を受けたと主張する女性客の容姿を揶揄したもの)。 というわけで、あくまでごく一部の狭い世界での話とはいえ、女性vs男性が、豚丼vsチー牛になってしまいました。
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