同人用語の基礎知識

ふー、びっくりした

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聞こえる…サイレントマジョリティの声が大きく…「ふー、びっくりした」

 「ふー、びっくりした」 とは、あまりに予想外、まったく予期しなかった意外な反応に驚き、たじろぎ、思わず口から出てくる驚愕を表す言葉です。

 例えば自分のごひいきの アニメ などが世間では予想外に不評で、ネット 上の 掲示板 などで激しい批判、バッシングにさらされている時などに、ファン が 「ふー、びっくりした」 と レス書き込み、レスポンス) をしたりします。

元ネタは 「石田衣良の白黒つけます!!」

MSN毎日インタラクティブ 2006年10月31日
MSN毎日インタラクティブ 2006年10月31日
「石田衣良の白黒つけます!!」

 元ネタ ですが、2006年10月31日に毎日新聞サイト 「MSN毎日インタラクティブ」、および同日の毎日新聞 「暮らし豊かに 役立つページ いきいき生活欄」 に掲載された作家の石田衣良さんがご執筆のコラム、「石田衣良の白黒つけます!!」 において掲載された 「中国、韓国と仲良くした方がいい? しなくてもいい?」 の中のフレーズ、本文書き出し部分の 「◇ふー、びっくりした」 からとなっています。

 このコーナーではあらかじめ二者択一の質問を 設定読者 からアンケートの答えを投票形式で募集し、その反応を石田衣良さんが軽妙な文章でまとめるという形になっていました。 そこで 「日本は中国や韓国と仲良くすべきか、そうでないか」 を募ったところ、「しなくてもいい」 という意見が全体の過半数を大きく超え、その結果に 「ふー、びっくりした」 ようです。

 そして 「仲良くすべき派」「しなくて良い派」、それぞれの意見を載せ、「ぼくはつぎの10年間で、現在の日米関係と同じくらい日中関係・日韓関係は重要になると思う」 とした上で、

今回のこたえは数字のうえでは 「しなくていい」 派が圧倒的だったけれど、応募しなかった多数のサイレントマジョリティを考慮にいれて決定させてもらいます。 中国・韓国とは仲良くしたほうがいい。 あたりまえの話だよね。 メール をくれた 「多数派」 はあまり反日報道やネットの情報に踊らされないほうがいいのではないかな。

 と結論。

 「アンケートの意味ねえじゃん」「回答者をバカにするにも程がある」「アンケートに答えなかった人の意見が分かるなんて、どこのエスパーだよ」 と掲示板 2ちゃんねる などで大きな話題に。

かねてからの 「毎日新聞」 の論調に不満を持つ層を直撃

 元から毎日新聞の親韓・親中・反日の姿勢に疑問を抱いていた ネット住民 や、当時盛んにマスコミが煽っていた 「韓流」 への反発、小泉純一郎首相の靖国参拝問題や、2002年の日韓 共催 ワールドカップ、2004年のサッカーアジアカップやその後の中国での反日暴動などで反中・反韓のムードが盛り上がっていたこともあり、コラムの話題はその後、ある種の お祭り となってしまいました。

 その後ネット上で盛り上がる中で、「サイレントマジョリティ」(Silent Majority/ 物言わぬ静かなる多数派) も面白おかしく使われるようになり、「さいれんと☆マジョリティ」 といった 「エロゲー」 のタイトルのような記述がされたり、さらには サイレント魔女リティ と当て字され、萌え美少女化された魔女っ子 キャラ まで登場するようになりました。 まとめサイト なども作られ、「2ちゃん」 だけでなく人気画像掲示板 「ふたば」 や他のコミュニティなどでも、魅力的な イラスト などが発表されていました。

 なおこの 「祭り」 が発端で流行ったその他の言い回しには、「でも、○○の意見はほぼ一点に集中している」「それ、ほんとなのかなあ」「○○は□□した方がいい? しなくてもいい?」 などもあります。

ところでアンケート結果をよく見てみると…

 ところでこの記事で一番面白かったというか興味深いのは、アンケートの結果 (正しく集計されたという前提で) が詳しく性別、年齢別に紹介されているところの数値の違いでしょう。 全体では

 「仲良くした方がいい」 42.8%  「仲良くしなくてもいい」 57.2%

となっているんですが、年代よりも性別で結果に大きな違いがあります。

 男性は全年齢合わせて66.4%が 「しなくていい」 なのに対し、女性は同じく全年齢合わせて64.2%が 「した方がいい」 となってます。 多少の違いはあるものの、これは各年代ともに男女それぞれの共通した特徴で、男性に比べ女性の方が圧倒的に 「仲良くした方がいい」 と考えている人が多い結果になってます (アンケート回答者自体は男性が多いので (有効投票数 9,010/ 男性 6,284人/ 女性 2,726人)、全体でも 「しなくていい」 が多くなってます)。

 ただし、70代以上の女性だけは、「した方がいい」 が僅か29.0%で、「しなくていい」 が飛びぬけて高い71.0%となってます。 この71.0%というのは、10代以下の男性が叩き出した 「しなくていい」 87.6%に次ぐ非常に高い顕著な数字となっています。

 ネットで頻繁に反中反韓情報に触れている学生や若い社会人などの男性と同じ拒否反応を、おそらくは日ごろネットなどやっていないであろう70代の女性が示しているんですね。 予想するに、この年代の女性のサンプル数が少なすぎ、少数の意見結果が極端な形で出ているだけだとは思うのですが、それにしてもこれは、一体なぜなのでしょうか。

終戦の頃に年頃だった女性の、サイレントな声

 70代と云えば、終戦の年におよそ10歳〜19歳。 外地や日本国内にいて銃後を守っていたであろう戦中・戦後を体験している世代の女性 「のみ」 が、他の年代とは際立って異なりここまで高い拒否反応を示しているのは…。 例えば終戦直後の福岡の悲惨さ、満州や中国、朝鮮半島から命からがら引き揚げてきた日本女性らが、懐かしい日本の国土を見た後に、なぜ引き上げ船から次々と博多港に身を投げて命を絶ったのか。

 一体彼女らの身に何があったのか、あるいは同時代・同世代の女性として何を感じていたのか、二日市温泉郷の二日市保養所の存在をはじめ、思い当たるフシはいろいろあるけれど、今となっては表立って語られない、歴史の色々な悲劇への 「示唆」、予断や政治的な思惑を持たず謙虚に耳を澄ませば聞こえてくる、真の 「静かなる多数の声」 を感じますね。 もちろんこれも、石田衣良さんが発揮したエスパー能力のような、根拠のないものですが。

 ちなみに客観的データとして総理府などが発表しているデータでは、中国や韓国に対する日本国民の感情は悪化し続けており、毎年調査を開始して以来最悪の数字を塗り替える状態となっています。

 「つぎの10年間で、現在の日米関係と同じくらい日中関係・日韓関係は重要になると思う」 とは全く思いませんが、一方で年を追うごとに日中・日韓の関係が重要になるのは間違いないでしょう。 ただしその関係の重要性が、「より友好的になる」 ことはないでしょうし、むしろ互いの緊張感が高まり、危機管理の上で無視できない関係になる未来像しか、現時点では思い浮かびません。

 そうした危機に至らないためには、様々な人々の知恵と努力が必要になるでしょうが、「自分の都合の悪い意見はなかったことにする」「日本側が相手に合わせて譲歩さえすれば関係は良くなる」 と、過去数十年間やってきて失敗している方法を未だに改めないようでは、ますます関係改善や悪化の歯止めは難しくなるのではないでしょうか。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2006年11月2日の日記の再構成です)
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