同人用語の基礎知識

まさかとは思いますが、この「〇〇」とは、
あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。

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読み進めるうちに… 「まさかとは思いますが、この「〇〇」とは…」

 「まさかとは思いますが、この「〇〇」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。」 とは、真偽不明、あるいはあるかどうかもわからないものについてあれこれ 書き込み をしている人に対し、「それは幻覚や 妄想 ではないのか」 と突っ込んで冷やかしたり、揶揄するような意味の言葉です。

 例えば 掲示板 で 「週末は彼女とデートする」 などといった 投稿 があれば、「まさかとは思いますが、この「彼女」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。」 と レス をして、「それは妄想だ、嘘だ」 と決めつけて揶揄するなどが代表的なパターンです。 あるいは自分の主張に都合の良いありもしない敵を作って、それに対して反論して論破したふりをすること (いわゆる 藁人形論法・ストローマン論法) を行う人に、同じように 「そんな奴はいない」「作り話するな」 と侮蔑・罵倒に使ったりします。

 なお似たような意味で使われる ネットスラング として、「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」 という言い回しもあります。

「まさかとは思いますが…」 元ネタは 「精神科Q&A」 から

「Dr 林のこころと脳の相談室」 のエントリー 【1087】家の中にストーカーがいます
「Dr 林のこころと脳の相談室」 のエントリー
【1087】家の中にストーカーがいます

 こうした言い回しの 元ネタ は、精神科医・医学博士であり、一般向けの著作も多い林公一さんが運営する 「Dr 林のこころと脳の相談室」 という ホームページコンテンツ、「精神科Q&A」の内容からです。

 このコーナーは林さんが自らの知見を活かす形で、医療相談ではなくあくまで質問に対して可能性が高い事実をありのままに淡々と伝えるというスタンスで運営している 「Q&A」 となっており、直接的には、2006年11月に掲載された 【1087】家の中にストーカーがいます」 というエントリーの一節が語源となっています。

 このエントリーでは、ある女性が同じ家に同居する38歳の弟について長文の メール で質問をしていました。 その弟は7〜8年にわたって定職に付かず家におり、姉である質問者に様々な嫌がらせや監視・ストーカー行為を行っているとのことでした。 常に姉の行動に目を光らせ、1階2階の上り下りや洗面所、風呂、部屋などへの行き来にもいちいち自分の後をつけてきて、その都度気味の悪い声で笑う、ドアを強く閉める、ことさらにラジオや掃除機を大音量で鳴り響かせる、廊下に座り込むなど日常生活に支障をきたす レベル の行為を続けており、さらに年々エスカレート。 このような奇行に走る弟は統合失調症ではないのかとの内容でした。

 この質問について林さんは、メールの通りならば確かに弟には統合失調症の可能性があるとしながらも、姉である質問者にここまで長期にわたって執拗で手の込んだ嫌がらせや監視をし続けるのは想像しにくいと指摘。 またそれらの行為をずっと受けながら同居している質問者の生活も想像しにくく、「○○が自分の行動を監視し、いちいちそれに合わせて嫌がらせをする」というのは、統合失調症の方の典型的な被害妄想の訴え」 だとして、むしろ姉である質問者の方に解せないところがあると指摘します。

 「まさかとは思いますが、この「弟」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。」 と疑問を呈し、「メールの文章だけしか情報がない精神科Q&Aではこれが限界」 とした上で、そもそも弟などいないか、いてもメールのような行動はとってないと予想され、むしろ質問者である姉自身の統合失調症を強く示唆する結論となっています。

「家の中にストーカーがいます」 が大きな話題に

「こころと脳の相談室名作選集 家の中にストーカーがいます “こころの風邪”などありません、それは“脳の病気”です」
「こころと脳の相談室名作選集
家の中にストーカーがいます
“こころの風邪”などありません、
それは“脳の病気”です」

 このエントリーが ネット で公開されると、元々このサイトに人気や知名度があったこと、質問者がメールで書き記した様々な嫌がらせ、監視やストーカー行為のデティールの細かさと、それが質問者の 脳内 にしかないのではないかとの恐ろしさ、何より弟の統合失調症を疑う姉の方にこそ統合失調症の疑いがあるという、まるでどんでん返しのような読後感もあり大きな話題に。

 2ちゃんねる などの掲示板や はてな といった ソーシャルブックマークサービス などでは折に触れ何度も話題となっており、そのまま 「まさかとは思いますが、この「〇〇」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。」 あるいは単に 「まさかとは思いますが」 という言い回しがアレンジされて使われるようになっています。

 なおこのエピソードを含め、「精神科Q&A」 に寄せられた質問と回答を55件収録した 「こころと脳の相談室名作選集 家の中にストーカーがいます “こころの風邪”などありません、それは“脳の病気”です」 も2013年12月に出版されています。

ありふれた病であり回復も見込める 「統合失調症」

 統合失調症は100人に1人とも云われるほど 「ありふれた」 病であり、必要以上に恐れたり、何らかの差別的感情から本人や近親者が無いものとして無視したり恥じたりする必要はないでしょう。 初期段階からの適切な治療によって 回復 が見込まれ、かつて無理解から生じていた不治の病といったイメージも徐々になくなってきています。

 一方で、旧名称である精神分裂症という言葉のイメージや、適切な治療が受けられず重症化した発症者による迷惑行為やメディアによる犯罪報道などに表面的に触れることで、過度の恐怖やいわれなき差別が生じやすい状況は依然として続いています。 略語の 誤変換当て字 である 「糖質」 を露悪的にことさら使って揶揄したり、こうしたエントリーを怖いもの見たさ的にただ見るのではなく、どうせなら関連情報などにも目を通し、病についての正しい情報が広まることが期待されるといってよいでしょう。

 ちなみに 筆者 は以前、「統合失調症患者には世の中がこう見える」 といった専門機関が監修したシミュレーション映像を何かの機会を得て見たことがあります。 正直、それはそれは恐ろしいもので、これが一時的にせよ日々の生活の予期せぬタイミングで 「現実のもの」 と感じられる形で何度も目の前に現れたら、正気というか、合理的な思考や判断を保つのは難しいと思わせるレベルでした。

 病気 でそのような状態に陥っている人には心から同情を感じるし、自分だってたまたま発症していないだけかも知れません。 自分の周囲にそうした人がいたら声を掛けられる人間でありたいと強く思います。 本人は何も悪くないのですから。

 早めに専門の医療機関に相談し、適切な投薬などによって症状は大幅に改善し、寛解し、そのまま再発せずに治ることもあります。 一方でいつまでも放置したり、薬の服用を勝手に止めるなどすると、症状が悪化し、日常生活にも支障をきたすようになることもあります。 家族や友人などにこうした病気の人がいると周囲も辛いものですが、何より辛いのは本人です。 同じように 「ありふれた病」 である双極性障害 (躁鬱病) もそうですが、なるべく早く専門の医療機関とつながれるように心がけたり、お互いに支えられる範囲で支えたり、周囲に助けを求められるように努めたいものです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2007年10月29日)
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