映画の世界からはじまった 「R指定」
「R指定」 とは、映画 作品 などで見るものに年齢上の条件を課す、鑑賞制限のことです。
「R指定」 の 「R」 は 「Restricted」(リストリクテド/ 制限された) のことで、もっぱら映画の世界で使われてきた言葉です。 現在、単に 「R指定」 と呼ぶ場合は、多くの場合、18禁 の意味、「性的要素があります」 の意味で使われています (現行 「R-18」 の意/ 後述)。
ところでごく初期の 「R指定」 の頃は、15歳をひとつの基準とし、15歳未満の者は 「R指定」 がついた作品は保護者同伴でなければ見てはいけないといった制限でした。 アメリカの映画産業の業界団体が行うようになったもので、ポルノ映画などとは違う一般の映画で、一定以上の性的表現、暴力表現、薬物使用表現、グロテスク表現などが含まれる作品に付けられるようになりました。
他の規制指定に、成年作品を示す X指定 というのもありましたが、こちらは1991年頃に原則廃止。 R指定規制の制度が変わり、細かく区分されるようになり、現在に至っています (作品の傾向ごとに区分けすることは レイティング と呼びます)。
アメリカ統治下の1945年に設置を示唆され策定
日本ではアメリカ統治下の1945年に、占領軍GHQの指導と要請により、マスメディア検閲の一環として自主的な審査機関とその審査基準の設置が行われ (「映画倫理規程」(1949年) と 「映画倫理規程管理委員会」)、これが後に現在の 「映倫」(「映画倫理規程」 と 「映倫管理委員会」) となりました。
その後個別の映画ごとに作品内容を吟味し、区分の必要なものに対して 「映倫マーク」 をつけ、さらに一部の作品には 「R指定マーク」 を付けるよう発展していきました。 現在は映倫を通さなくては事実上の 商業 映画上映は行えず (映画館が加盟する 「全興連」(全国興行生活衛生同業組合連合会) との申し合わせによる)、「R指定」 された作品も上映の際に観客を制限して上映するようになっています。
これらの 「規制」 は、表現の自由 に直接関わる問題だけに、あくまで業界の 自主規制 となっているのが特徴で、その後類似の倫理規定やその管理団体が、他のメディア、例えばビデオ (ビデ倫) や ゲーム (CERO) など映像関連企業の集まりや出版 (出版倫理協議会) の世界にも登場。 呼び名などは異なるものの、同様のシステムとして広く行われるようになりました。
日本における 「R指定」 の区分け
現在の 「R指定」 区分は、日本の場合は次のようになっています。
「R-18」 18才未満の者の鑑賞を禁止 いわゆる 「18禁」
「R-15」 15才未満の者の鑑賞を禁止
「PG-12」 12才未満は保護者同伴が望ましい (PG/ Parental Guidance)
性的なもの、グロテスク表現などを含むの意味で広く使われるように
こうしたマークは本来、映画や出版など一部の業界団体のものでしたが、その後 同人 の世界などでも、子供向けポルノ追放運動 などを契機にサークル関係者などの自主的努力により、おのおのが 「同人誌」 の 表紙 などに 「R指定」 マークをつけたり、成年コミックマーク を付けるなどの自主的な 「レイティング」 を行うようになっています。