同人用語の基礎知識

シャドウバン/ 隠れBAN

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アクセス傾向や周囲からの指摘でやっとわかる隠れた BAN 「シャドウバン」

 「シャドウバン」 とは、ネット のサービスなどにおいて、運営者 側が問題があると判断した アカウント に対して行われる表示にまつわる無言・黙示的な制限、パージ のことです。 「隠れBAN」 と呼ぶこともあります。

 一般的なネットサービスでは、アカウントの利用者や利用方法に問題があった場合、一時的な利用制限 (後に解除される可能性のあるアカウントの凍結) や恒久的な利用の拒否、会員資格の剥奪 (BAN)、あるいは 書き込んだ コメント の削除や非表示化などがされます。 これらは適正なサービス提供のための妥当な判断であれば必要なものですし、問題行動を繰り返す利用者を追放・出禁 とすることは、他の利用者を守ることにもつながるでしょう。

 通常にこれらの処分は、当事者である利用者や会員に処分内容を記した通知を行ったり、通知せずとも ログイン ができなくなる、それまで使えていた機能が使えなくなるなどでわかるものです。 また本人以外の利用者も、アカウントが凍結されているとかコメントが削除されたなどが、アカウントの ステータス の状態から容易に判断できるでしょう。

 一方 「シャドウバン」 の場合は、利用者には通知などはなく、ログインもこれまで通り 普通に 行え、使える機能の制限などもありません。 自分が見ている画面はこれまで通りで、アカウントのステータスも変化なく、周囲の人間も気づきません。 しかし確実に制限は加わっており、少しずつ少しずつ、徐々にアカウントの 「異変」 に気づくようなものになっています。

表示順位が下がる、検索やランキングに反映しない…

 ありがちなシャドウバンのパターンとしては、そのアカウントの発したコメントなどの表示順位や優先度が下がる、他の利用者の タイムライン への反映がしにくくなるなどがあります。 削除や表示されない (非表示・透明化) わけではなく、そのコメントの URL へ飛ぶと確かに表示はされているけれど、順位や優先度が下がって 「表示されにくくなる」 ので、自然と他の利用者らの目には入りにくくなります。

 また検索やランキングに反映しない、あるいは反映しにくくなるといった処理もあります。 こちらもよくよく調べるとちゃんと反映していたりもするのですが、これまで通りの検索やランキングの選定アルゴリズムでは考えられないような不自然な表示位置となり、こちらも他の利用者らに見られにくくなってしまうでしょう。 また 「おすすめ」 や 「トレンド」 などを表示するタイプのサービスで、それまでは同じアカウント・同じようなコメントでおすすめやトレンドに頻繁に表示されていたのが、急にされにくくなったりもします。

 これらは一つ一つは小さな処理・異変でもそれらが複合し、また徐々に強められることで、そのアカウントの影響力は下がり続け、それまで何度も バズり を繰り返してきた有力アカウントの存在感が急速に失われる異常事態になってしまいます。 場合によっては自分以外からはまるで見えなくなってしまうほど厳しいものもあります。 まるで学校の 「いじめ」 における 「無視」 や 「仲間外れ」 のような状況です。 直接的な暴力や制裁 (BAN) は受けていないけれど、真綿でじわじわと首を絞められているような、何やら運営側からの陰湿さも感じられる処分となります。

アルゴリズム上、一定の操作はあっても良いとは思いますが…

 例えば ツイッター などの SNS では、大勢の フォロワー を持つ著名人や インフルエンサー の持つ影響力があまりに大きすぎ、単純に他利用者からの反応だけを基準に表示順位やランキングを定められないという部分はあります。 例えば芸能人といった著名人が 「おはよう」 という挨拶をするだけで数万から十数万の反応が常にありますから、機械的に反応数だけで選んだら、著名人の挨拶だらけになってしまうでしょう。 これではフォロワー数などのブーストが存在しない一般利用者の有益なコメントが、挨拶の中に埋もれてしまいます。

 しかしツイッターなどの大手コミュニケーションサービスが世論を大きく喚起するような言論プラットフォームとして機能している現在、不透明で運営側の恣意的とも受け取られかねないコメントの表示順位や検索結果、おすすめやトレンドへの表示操作は、ある意味で言論操作や世論誘導にも悪用されかねない危険なものだとする考えだってあります。 また一部のアカウントをシャドウバンで 「冷遇」 するのなら、逆に一部のアカウントを 「優遇」 することも考えられるでしょう。

 デマやフェイクニュースを垂れ流したり、詐欺や誹謗中傷、それに近い違法行為を行う 害悪 な存在だと見なされるアカウントもありますから、どこまで自由で透明性のある運用をすべきかは、古くて新しい難しい問題です。 表示順位を決めるアルゴリズムのポリシーやルールを明らかにしすぎても、それを悪用したデマやフェイクが溢れることにもなります。

 ほとんどのネットサービスは民間企業が運営しており、極論すれば 「シャドウバンが嫌なら他のサービスを使え」 と云えなくもありませんが、多くのコミュニケーションサービスがある種の言論プラットフォームとなっており、また運営側も自由な対話の場を標榜してサービス展開している以上は、ある程度の透明性、少なくとも処分を受けた相手にそれを告げるくらいの透明性は、邪推を生まないためにも必要なのではないかと思います。

萌えっぽいイラストの閲覧数が急に減った…?シャドウバンの疑い

 「シャドウバン」 自体は、もっぱら おたく萌え っぽい 18禁イラスト などを 投稿 していた利用者から、「最近おかしい」「急にイラストを見る人が減った」 などにより、何となく 認知 されていきました。 シャドウバン以外のアカウントの凍結処分が吹き荒れた時期もあり、「ツイッターの運営から嫌われているのでは?」 との疑念もあって、その疑いは強まる一方でした。

 しかし一方で、表示位置や検索結果、ランキング、トレンドなどは刻々と リアルタイム で変わりますし、アカウント利用者の活動内容も様々なため検証も難しく、「シャドウバンなるものが本当にあるのかわからない」 という状況があります。 単に人気が落ちてきた利用者が、被害妄想から 「運営に操作されている」 と 陰謀論 を唱えているのと区別がつかないのですね。

 その後様々な利用者らからある程度客観的な検証なども行われ、「恐らく何らかのアルゴリズムの操作はあるようだ」 との憶測は生じていましたが、確証にまでは至らない噂話の域はなかなかでないものでした。

 しかしその後、ツイッターが買収 (2022年) され経営者が変わったことで、様々な状況が劇的に変化。 それに伴い、過去のあれこれが関係者らの暴露の形で表沙汰になり、それでも細かい部分に断定できるほどの根拠はないものの、「一部とはいえない規模で運営者側がアルゴリズムを手動で変更して、シャドウバンどころか特定のアカウントの優遇・冷遇を社員個人、あるいは組織として恒常的に行っていた」 ことが次々に発覚。 それまでは 「被害妄想」 だと思われがちだったシャドウバンも、存在は疑いようのない事実だったとの認識も高まりつつあります。

 とりわけツイッター側が萌えキャラ絵とか保守的な言論を冷遇し、ジェンダー・フェミニスト問題や人権・差別問題、左派・リベラル的な言論や発信者、メディアなどを優遇していたとの様々な状況証拠が積み上がり、元よりそれぞれの立場で鋭く意見が対立しがちな テーマ なだけに、虚実入り乱れた意見が噴出することとなっています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2020年12月21日)
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